されど💓あまちゃん

朝ドラ『あまちゃん』からはや七年。
七年という月日が経っても、あのドラマの印象は薄れない。

なぜだろう？
ふだん自分は朝ドラを視る習慣はないし、殆んど興味がない。
よく、あなたが選ぶ朝ドラベスト○○…とかランキングするけれど、他にまったく比較対象がない…

そんな自分は、こと『あまちゃん』に限っては（再放送で）一話も逃さず録画し、Blu-raydiskやポータブルＨＤにバックアップして、後生大事に保管しては時々再生して、しみじみニヤニヤしているのだ。

『あまちゃん』にやられた理由が、最初はわからなかった。
ドラマがコミカルで面白いから？
でも、そんな理由で朝ドラを録画するような人間ではないし…

それは、再放送で完全録画する前に出た結論だが、それはやはり主役のアキである能年玲奈（のんちゃん）にやられてしまっていることが判明した。

『あまちゃん』というドラマは、あの東日本大震災の年を追体験することによって、なんとなく避けていた震災のトラウマみたいな気持ちの曇りを、スッキリ晴らす役目を果たした特別なドラマだった…、とも言えると思う。

そういう『癒し』効果を担ったナース的存在として、アキ＝能年玲奈（のん）が心に染み込んだのか？というと、そこは否定はできない。

ただ、バラエティー番組でののんちゃんのキャラクターが、全く予想外であったため、ますます気になって、この娘はいったい何者なんだ？と、他の出演作品を片っ端から見始めた。

『動物の狩り方』『カラスの親指』『グッモーエビアン』…
何と、それぞれの映画でキャラクターが全くちがう…。
その推察は『ホットロード』で実証された。
確かに姿形は同じだが、作品ごとに新しい人格が「生まれ」ている…、という印象だ。
それはアニメ『この世界の片隅に』のすずさんでも言える。

だから天野アキが、この世界の片隅のどこかで、まだ明るく生活しているんじゃないか？なんて妄想を、いい年しながら抱いているのだ。

『あまちゃん』の続編を望む声も多かったが、今年放映された『星屑の町』の主役である愛ちゃんに、どこかアキのイメージを重ね合わせることもできた。
折しもコロナ禍による影響は避けられなかったと思うけど、ネット配信やディスクによってリベンジを図って欲しいと思う…

アキという存在は、人々があきらめているような世の中の状況でも「オラ、あきらめねえ」と、ハザードをブルドーザーのようにグイグイ掻き分けていくような底力を持っていた。

そういう力は、震災と同じようにコロナで弱っている人々の心にも効くんじゃないか？
ラジオで、桃井かおりさんや大友良英さんから「救世主」とご指名を受けたり、『八日で死んだ怪獣の12日の物語』で放った「人類ってこんなもの？」というご本人の言葉から期待が膨らむ…

また新たな人格が、12月に「生まれる」みたいだ。
のんちゃんがのんちゃんを演じるんじゃない底力を、あらためて見せつけてほしい…