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白山市へ行って、ハッカソン見て、思ったこと

あ、でもハッカソンのこと、何も出てこないです。^^;

前々から思っていたことだけど、頭の中でもうちょっと鮮明になってきたのでメモっとく。

そもそも日本の今の規模と人口減少速度と保守性から言って、技術と経済で世界の最先端に立つのは最低50年くらいはまず無理じゃない?と思う。
世界の注目を集めるシリコンバレーや深センが日本に作れそうにないなら、特に地方は何らかの歴史資産や自然資産をベースにしたもので出してゆくニッチ戦略で行くしかない。

でも、地域文化がまるごと消えてしまえばそれもできない。そして、それが消えようとしているのが昨日行った白山麓だ。

石川県の場合、金沢は、中心部を大改造した(100年前に戻したというほうがいいかも)ここ30年の努力と新幹線効果で、政令指定都市以外でここほど栄えている場所はない繁盛具合だが、金沢城址を中心にした半径5kmから外に出た途端に人影は消え、10km離れると空き家が目立つことでは、他の地域と大差ない。

東京は極端な少子化傾向だが、地方からの流入超過が続くおかげで成り立っている。地方都市は金沢も含め、周辺市町村からの流入と、東京大阪への流出がところてんのようになってほぼイーブンで推移している。
つまり県庁所在地ではないところは一部の例外を除き、軒並み流出過多で減り続けている。

白山市は、平成の大合併によって、小さいが加賀平野のど真ん中にあり、金沢の隣の衛星都市としての人口と百万石の一部をなす田んぼと工業都市として戦後急速に成長した松任市(まっとうし)が、そこから手取川をさかのぼって白山に至る全ての過疎町村を飲み込むようにして誕生した。
その面積は石川県の3割弱を有するほど広大だ。
とはいっても、人口は10万人。県の3割弱の面積に県人口の1割にも満たない人が住む。

そして、10万人の多くは加賀平野に集中し、白山麓はどんどん減っていっている。
あらためて調べてみてびっくりしたが、その昔毎週のようにスキーに通い、いくつものスキー場で賑わっていた旧白峰村、尾口村、吉野谷村の3村の地域の人口は合計でもう2000人しかいない。

例えば、旧尾口村の場合、明治4年の時点で2085人、1999年がピークだったようで3800人、そこから19年たった現在はたったの470人。100年で2倍近くになって、その後20年で1/8まで減ってしまった。災害や大規模事業など特に急減要因があったわけではないにもかかわらずだ。
急な減少ペースは今も止まらず、ここ4年間で14%も減っている。このままいくと20年もしないうちに自然消滅する。

コンパクトシティ論に私は基本的には反対だが、地域の機能を維持して経済的均衡を保つにはある程度の集約は必要かなとは思う。
なので、集落の単位で消えていくところが出てくるのはある程度は仕方がないと思う。
が、合併前の3村は、行政単位としての「村」で、相当な面積と多くの集落を有する「地域」であり、これを「不要」と言ってしまうと、何百年も前から営み続けてきた「地域」が消滅するということになる。

カメラマンだったころ、尾口村も白峰村も何度も取材に行った。
名物の堅豆腐とか、無形文化財の人形浄瑠璃(でくまわし)とか、白山にめったに撮れないイヌワシ追ってとか(ええ、撮れなかったですとも)温泉が吹き出す自然岩の噴泉塔とか。雪の露天風呂に入浴するニホンザルとか、ダムとか、もちろんスキー場の取材も。
地域には独自の文化があり、白山に素人が登れるのもそこに登山道が整備されているから。

地域が消えるということは、江戸時代やその前から培われてきた文化がまるごと消えてなくなるということだ。
今回はこれに気づいてかなりの衝撃を受けた。

そして、白山に隣接する旧尾口村も旧白峰村も、面積は広い。ここが無人になってしまえば半径10kmを軽く超える道のりが荒れ果てた廃道になることだってありえないわけではない。

ここで冒頭の考察に立ち返るわけだけど、ニッチ戦略と独自性と言いながら、日本三名山の一つと言われる白山の麓が、こんなのでいいんかなと思うのだ。白山麓の文化がまるごと消えるわけだから。

貴重な地域の文化資産が消えてしまうと、その上に成り立っている次の文化も影響を受ける。つまり金沢の栄華もそう長くは続かない。
日本の将来を冷静に考えた場合、世界の中で生き残るためのニッチ戦略を本気で考える時期に来ていると思うし、そのためには、地方のことは地方で、とか、自治体が決めることですから、とか言っている場合じゃないよね、と思うのです。

っていうか行政主導で解決できる問題ではないですね、たぶん。


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