実際「あなた」と言わないニホンゴ

ドイツにいたころの話。

会社で4ヶ月間日本に行くことになった子に日本語を教えていた。かわりに僕もドイツ語を教えてもらうという仕組み。

日本語を教えるとまず思うのは、多くの状況で日本語は主語を省くということだ。

「私」と「あなた」で話をしている場合、自分のことを話すときに「私は~」をあまり言わない場合が多い。

ましてや「あなた」「君」など極めて使用頻度が低い。丁寧語で話す間柄でも、親しい友達でも、二人称代名詞を言わないか、代わりに名前を直接言うか、名前を言って注意を惹いてから言いたいことを言うか。 (地域によっては、親しみを込めて「あんた」などと呼ぶところもありますね。「あなた」という言葉は少し冷たく聞こえるため使わないのかも。)

例えば、週末の予定を聞くとき。

「週末は何するの?」と主語を省いたり、

「Aさんは週末何するの?」と名前を言ったり

すると思う。

僕が見せてもらったニホンゴの教科書にはこれは載っていない。日本人が外国人の日本語をマネするときはちょっとしたアクセントと共に、「アナタは週末は何をしますか?」と言うとそれらしくなるのは、日本人はアナタという言葉を会話の中であまり使わないからだろう。

で、なぜ?と理由を聞かれると無意識でそうしているから良く分からない。考えた結果、「私」と「あなた」で話している場合、「あなた」について聞いているのが明らかだからいう必要がない、という説明をした。

という説明をしているうちに、こういった主語を省くことや、普段意識していない言葉の使い方が、漠然とイメージする日本人らしさ、を決めているのではなにかと思った次第。

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