イラストは手作り料理
僕の両親は仲が悪い。
厳密に言うと父親が母親を嫌っているだけなのだが…
食事の際、その父親は「美味くない」などとしか言わず要らないものはその皿を指で弾く。
それを見て僕と母親はもちろん不快になる。その対抗策として僕は食事中にもきちんと母とのコミュニケーションを取り、この料理のコレが美味しいなどを意識的に言葉で伝えるようになった。
そうして気付いたのが、「おいしい」と言ったものが食事に出る頻度が高くなり、その味がますますおいしくなっているということだ。
もちろん頻度に関しては僕が子供だという理由は少なからずあると思うが、その味の向上は伝えることで生まれた結果に違いない。
また、これはイラストにおいても同様のことが言えると気付いた。食事つまりイラストが提供され、能動的に当然のものとしてそれを捉える人が多い。
イラストレーターが「いいねとRTは確かに嬉しいが感想をくれ!」というツイートでバズっているのをよく見かけるが、一般的な人からしてみると生み出された絵はある意味で現実味に欠けるのかもしれない。つまり、イラストとは神絵師という言葉のように「住む世界が異なる神の産物」と自ずから考えてしまっているように思える。
「イラストは手作り料理」
遠くに感じる神絵師のイラストとはその人が生み出した手塩にかけて作った料理だ。
誰しも一度は料理を作ってもらったことがあると思うが、それは当然のことではなく感謝しなくてはならない。言葉に出して伝えなくてはならない。
シンプルな「美味しい」「可愛い」でいい。
ちょっと勇気を出して「味付けが美味しい」「目の描き方が可愛い」ならもっといい。
生み出したその言葉が料理を、イラストをより素敵なものにしてくれる。
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