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FANBOXやFANTIAを使うなら、まずは無料の近況報告からでいいんじゃないのって話

タイトルで全部いってますけど、クリエイター支援サービスの使い方に迷ってる人の補助線として有用っぽいので詳しく書きます。

きっかけはこのツイート(添付画像はリンク先からの引用です)

何の気なくつぶやいただけでしたが、FANBOX運営の方がリツイートしてくださいまして、たぶん検索で見つけてくれたんだと思いますが、驚いたのと同時にサービスの中の人も同じような危機感をもっているのかもと詳しく書こうと思います。

前書き。
この記事は2018年5月に作成しました。現在の当該サービスを取り巻く意識や前提に違いが出ているかもしれません。上手いこと差し引いてお読みください。



まず最初に、FANBOX運営の公式ブログにある「pixivFANBOX正式にオープンしました。ファン数UPマニュアルを公開します!」に、クリエイター支援サービスを利用するにあたってすごい大事なこと書いてあるから、FANBOXに限らず類似サービスで支援を募る人なら絶対読んでほしい。

重要なのはコンテンツをみんなに観てもらうこと
コンテンツを無理に差別化しようとしない
ファンからの支援が力になっていることを伝えよう

これ! ほんとこれ!(全文は記事でみてね。もっと詳しく解説してるよ)

常々思うんですけど、たびたびこの手のサービスで見かける「いつかなにかやりますけど決まったことはありません。支援してください」ではじめて数回だけメイキング記事を有料クローズ記事で更新して止まるより、「週一回、無料オープン記事で近況報告します。作品は各メディアでみてください。支援してください」の方が、支援者に対して百億倍誠実だし、続けやすいし、ファンも喜ぶよ! サービスはただの集金機能があるだけのブログ扱いでいいよ!!

冒頭のツイートに続けてそう呟いたらじわじわ伸びて、RTしてくださったアカウントを見るとプロ作家さんにも多く反響をもらえたようです。また反応をみていると、「なるほど」「そういわれて救われた」というコメントがぽつぽつありました。みんな結構悩んでたんやん。

そうなんですよ、最初にがっつりした有償特典ありきでなくとも、最初から「集金機能があるだけのブログです。これといった特典はまだありませんが、ちゃんと更新して近況をお伝えします」と宣言して、納得してお金を出す人がいるならなんの後ろめたいことはない。

そもそもが、普段インターネットお絵かきマンを観測するマンをしているわたくしの周りで、2018年4月に一般開放の始まった「pixivFANBOX」の影響でか支援サービスをはじめるクリエイターがぐっと増えました。

これ幸いと目に付いたクリエイターに支援していたところ、解放から約3週間たって、まー辞める辞める……サービス開始キャンペーンを打ってる最中で、「来月から辞めます」「夏までに辞めます」と宣言し始めた方が多いこと多いこと。

はっきり宣言する人はまだいい方で、おそらく今後は無言で更新しなくなる人が増えていくでしょう。合わないことを無理に続ける必要はないけど、でもまだ折り合いのつけ方はあるんじゃないかなあ、と思うことも増えました。これが、自分が言うところの「危機感」です。

いまFANBOXを辞めようとする人や、先行していたファンティアEntyでウォッチしていたのに気がつけばフェードアウトした人の大半は、振り返ってみて「お金をもらうんだから見返りとして有償特典をあげないと」あるいは「たくさんの人に支援してほしいから有償記事をたくさんつくらないと」というドツボにはまっている人が多かったように思います。

本当にずっとプラン遂行を続けられる人ならいいけど、少数の誰かへの見返りだけを理由にリソース割くのは大変だし、それに振り回され、身動き取れなくなってアカウントごと止まってしまう人が多かったように思います。

実際の運用を想像してみましょう。たとえば、入会者だけに送付する特典を思いついたとして、送付するならいつどのタイミングで送るのか、住所はどうやって確認するのか、送料や製造費はいくらかかるか、イベント参加時に手渡しするならイベント参加できない支援者はどうするのか、そもそもあなたはいつイベント参加するのか。

また、仮に管理者の頭の中には詳細な構想があっても、支援者にわかる形で伝えないことには、それはいつか不安や不信に繋がりかねないのも注意です。

ノウハウや技術提供系も実は相当に労力いりませんか、定期でだせる量がありますか。メイキングも毎回違うことを書けますか。他人がわかる形にまとめるの結構大変ですよ。あと、有料記事で公開すると構造上絶対にバズんないのにSNSでノウハウ系は鉄板バズネタだから、下手すると後者で開陳する方がやりがいが大きい可能性がありますが耐えられますか。

そもそもの考えとして、プランの返礼品として「こういうものを見返りとして差し上げますので、支援というお金をください」という形をとると、それは単なる「購入」であり「もの(知識や情報を含む)とお金の交換」なんじゃないのか? とも思うわけで。もちろんそれも立派で大事な経済活動で、ものを売ったり買ったりするのは楽しいし、最初からそう展開するのも何も間違いではないです。

でも、やるなら相応の金額を示すべきでしょう。通常、プロに何かを頼むなら「万円」の予算は必要なはず。月額数百円が相場のサービスでどのくらいの人が集まるか不明な段階では、なかなか見通しも難しい相場ギャップではないでしょうか。

今挙げたような例とは、継続して活動するには不向きだったり、見積もりしづらく扱いが難しいもののように思います。それでいてよく特典として使われてしまうので、うっかりすると継続できず、継続できないことにプレッシャーを感じて自らアカウント閉鎖……という負の連鎖いっぱい見てきた。

もっと掘り下げていわせてもらうと、支援したい側として「支援」のお金の出し方・出され方ってそうじゃないんじゃないかな~~~。

パトロン(支援者・後援者)としての究極の形は「みんなが知ってるあの有名な絵、俺の支援金で買った画材で描かれたんだぜ」「いまや誰もが知るクリエイターだけど、みんなが知らない頃から俺は応援していて今があるんだぜ」ってことに、喜びと誇らしさを見出すことなんじゃないかなあと個人的には思うわけで。

支援者側もこういった心理やその経緯を(時に失敗があることも含めて)ポジティブに楽しめないと、支援するという形態をどうやっても楽しめないと思う。誰がどこまで成功するかなんてわからないし、作家が筆を折る可能性はどんなに尽くしても常にある。それを踏まえて楽しもう。

クリエイター側も、支援サービスを使う意味を「お金をもらう代わりに見返りを」だけだと思わないでほしい。それはいったん普段の仕事や活動でやってください。支援者のことは、これからの活躍への期待だったり、安定した生活を送ってほしいといういたわりだったり、いい仕事してくれたなってねぎらいだったり、そういったものをお金の形で伝えようとしている人だと思ってほしい。

自身の普段のクリエイション活動継続こそが本来の返礼品であるなんですよねやっぱり。支援するような熱心なファンにとっては、あなたが作り続けることこそが第一の見返りだし、逆の見方をするとあなたの普段の活動の結果としてファンがいるわけです。

「普段の活動」とは、プロならお仕事だったり、同人屋なら頒布物を作ることだろうし、ネット上で何かしら投稿することでもなんでもいいです。「自分はこの活動を続けたい!」「こういうことを達成したい!」と思い、その鏡として支援者がいる、この構造は常に忘れないようにしてほしい。これ、作り手にとってはかなり厳しい言葉にも聞こえるかもしれませんが、だが本当にそうなんだ……。

とはいっても、「普段の活動をまじめに続けることはもとより、もらったお金に対して具体的にわかる形で礼を示したい」という気持ちが支援されたクリエイター側にわくのも道理。そこで、先の記事の最後にあった「ファンからの支援が力になっていることを伝えよう」が大事になってくる。

返すべきは「代金に対する商品」ではなく、「あなたの支援がちゃんと私を支えています、というメッセージ」ではないかと思うんですよ。正直パトロンサービス使ってるクリエイターでここ意識している人はほんっとーーーーに少ないし、これつかんでる人ほど長くいい感じに続いているなって思います。

半ば冗談でプランの説明に「好きなジュースを買える」「栄養ドリンクが買える」と書いてる人いますけど、それを時々でいいからほんとに買ってきて、写真に撮って、「皆さんのご支援でほんとに買いました! これ飲んで今日もがんばります!」と一言添えるだけで、多分パトロンの人たちめっちゃ喜ぶと思う。

飲食じゃなくても、ペンタブレットの芯とかペン先、鉛筆、絵筆、制作に必要になるこまごまとした消耗品を買った報告でもいいでしょう。

だってそれこそが「私の支援金で、みんなが認めるあの名作が生まれたんだ!」ですよ。支援者の醍醐味ですよ。クリエイターの血となり肉となり道具や環境となって、やがて作品として昇華される様を眺めて浸ることが、パトロンの真の楽しさなんじゃないのかと。

クリエイター側も消耗品の補填をあげた小額プラン+近況報告でゆるく立ち上げて、あとは創作に打ちこむ。もしそれでファンが増えて支援金があまるようになったら、今度は制作環境を整える費用に回していくとかね。

そうやって小さく達成しやすい目標からはじめてモチベーションを維持し、時々達成報告すると支援者としても支援金がクリエイターの助けになっていることがわかって嬉しい。

まずは月1! いつでもいいけどあらかじめ更新日を決めとくと、支援者を待たせなくていいね! 思いついた時に気まぐれにだと「いつくるんだ……?」ってなっちゃうからね! 報告も大事だけど、まずは「報告するための機会を設けること」が大事! その後は、できそうな範囲で月数回~週数回くらいに頻度上げていくといいんじゃないかな。

もちろん、有り余る知識や情報、商材を湯水のように流しても尽きない人なら、最初から特典がっつりプラン組んで有料会員を集めて商売するのも全然いいよ! そっちの方が人目を引くのは確かだよ! でも、それをちゃんと続けるには結構な労力が要るのを忘れないでってこと!

(ここまで読んで「被支援者のこと甘やかしすぎじゃね」と思った人もいると思いますが、そうじゃねえの! 入金窓口が開いてないと入金したくてもできねえの! せっかく窓口あけたのに初手で無理めな開け方して維持できずにやっぱ閉じちゃった~ってなんやねん! って話です)

(「自分は馬力のいるプラン組んでばりばりやっぞ~」と思ってる人も同様に、「そうはいっても自分が維持できる出力レベル」の見極めは大事ですよね)

これら労力に見合った支援規模が集まる補償も、最初は誰にもありません。繰り返しますが、プロに制作を頼むなら「万円」単位は必要ですけど、支援サービスの相場と何人の支援者がついてどれくらい経てば達成するか? と軽く計算してみると、誰もがなかなか最初からアクセルベタ踏みみたいな使い方はできないはず。

SNSでもコミケか単行本発売時期に、ぽつっと宣伝するだけで精一杯のクリエイターもいるじゃないですか。それみて心配してくれるような人向けに「今日はちょっとおいしいランチ食べました。近々何か発表できそうです」とクローズドな場で近況報告する。支援者はそれ見てほっとする。そういう関係を繋ぐメディアツールであってもいいと思うんですよ。

続けていくうちに「あ、これなら喜ばれるし、無理しなくていいし、いいかも」と思える特典をみつけられたり、「長く続けられたし、いっちょ奮発してみっか!」という機会が生じることもあると思います。その時こそ特典をつけましょう。でも、それが自分にとってどういう形をしているかは、根付き始めたサービス形態を前にほとんどの人はよくわかってないと思う。

やろうと思ったなら、まずはできる範囲でやってこうぜ。支援したい人はそれでも支援してくれるはず。

有償支援サービスは新しいところが注目されるたびに二次創作でお金を集めるのはどうなのとか、税金がどうとかとか、個人情報がどうとか言われるけど(それはそれで大事な問題だが)、どう考えても「お金を払ったのに全然プランどおりに更新されないぞ!」と支援者とクリエイターでもめるケースが一番多いし早いし現実的な問題だろ常識的に考えて、と思ってるので、その手のトラブル避けるためにもいっぺん「クリエイターと支援者の健全な関係を築くには」を考えてほしくてこれ書きました。

最初からモリモリ有償特典プランで支援を募ったけど無理筋で更新止まってフェードアウトしてお金出してたファンからの不信を買うより、まずはハードル低めに始めてゆるく長く続ける形を探るほうが、ファンの信頼も安心も買えまっせ。きっと。

追記。

FANBOX運営公式アカウントさんから、この記事への返答いただきました!

私たちはこれまで1年間、一部のクリエイターさんと1対1で協力してFANBOX運営してきました。そこでファンが増えるために効果的なことは「FANBOX上にリッチなコンテンツを投稿すること」ではなく、「今までのように作品を創ってpixivやTwitterのように投稿し続けること」だと実際の数値を見て学びました。

やっぱりそうじゃん——————!!!!! 数が証明している!!!!!!!

全文はこちら。

実際に支援サービスを利用しているクリエイターさんの、実体験を交えた運用記事だよ! こっちこそ読んで!

最近はサービス側にも運用の知見が溜まってきたのか、かなり具体的で現実的なプラン設計が公式ヘルプガイドに掲載されています。こういうのをみて「ファンとの間柄をどうありたいか」と考えるといいかもね!

第三者から支援を募る上での失敗例として、短期型クラウドファンディングには多数の前例があります。月賦の支援サービスとは詳細は異なりますが、根底に流れる考え方は同じだと思うので、ぜひ参考にどうぞ。

また「支援者が思わず支援したくなるor支援したくなくなる例」についても、やはり短期型クラウドファンディングには多数の前例が見受けられます。できることできないことに(主に想定予算規模から)異なる点は多々ありますが、成功するための姿勢などは非常に参考になると思うので、よければこちらもどうぞ。

あとは、機能や空気を知るためにも、自分自身が誰かの支援者になって様子を見るのも大事かと。自分が好きな作家さんはもちろん、うまく使っていて活況のある(と思われる)ところに飛び込んで、どういうことを・どれくらいの頻度で書いているのか、肌感覚を養うのも大事。

使い方も人や立場でそれぞれなので、いろいろ飛び込んで使い道を探ってみるのもいいと思うよ!

その後の話。


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私はbotになりたい。/たまに同人誌だす方のオタクです。役に立つ話はしません。 https://twitter.com/natukusa

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コメント (7)
そういえば昔pixivブログってありましたね

FANBOXに関しては支援機能をpixiv本サイトに追加するという形でなく、ほぼ単体のサービスとしてリリースした意図が謎いです。pixivさんが示されているコンセプトは理解できるのですが・・・
こんにちは。
私も最初に試験運用が始まった時にはpixivブログを思い浮かべました。
クリエイターと活動報告メディアとの相性は良いので常に需要があるんでしょうね。
ブログはイマイチ振るわず終了してしまいましたが…。

サービス構造や開発の裏側がどうなってるかは知るよしありませんが、「そうするしかないからそうなっているのだ」というのが往往にして真相だと思います。ネットサービスは特に。
人が飽きるまでに整備が追いつけば生き延びてそうじゃないなら死に行くのは、歴史が教えてくれてるはずなので、開発が学習していることを祈って見守るしかないかなと思います。
とても参考になります……
こんにちは。
プロで活躍されている方のお目に留まって恐縮です。これだけが良い方法というわけではありませんが、これがヒントになってより良い状況に繋がればいいなと思います。
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