一つ前の記事読んで「やってみようかな」と思った人への補足。

先日公開した記事が、想像を超えてたくさんの方に読まれたようです。

びっくりするくらい概ね肯定的な反応ばかりを目にしているんですが、自分としてはあの記事を読んだクリエイターが、

「えっ……使ってる道具や近況を、定期で報告しないといけないとかマジ無理……むずい……」

となっても、それもまっとうな反応だと思います。

私は、支援者や支援金はあなたへの期待の表れだという旨を書きましたが、自ら支援を募った以上、期待を寄せてくれた支援者ともちゃんと向き合ってほしいという考えが根底にあります。

また、期待に応えるのは創作活動に打ち込むことだけですが、応えるためには期待に向き合うことも必要になってくる。成果物をみせてはい終わりということではなく、スタンスを明らかにすること、支援金の用途をみせること、支援者への経過報告をすること、特典をつけることも、その全てがクリエイターが支援者と向き合うための手段であると思います。

その中でも先の記事で提示した「支援金の用途をみせること、支援者への経過報告をすること」は動作としては負担の少ない類ではありますが、それらは俳優やアイドルが舞台やイベントの最中に「あなたを見てますよ」とアクションしたり「みんないつも応援ありがとう!」と叫ぶようなものに性質が近いかもしれません。

支援者がそれで嬉しくなるのは確実だけど、一方で目の前にある舞台上のことだけに集中したいと思うクリエイターもいるでしょう。そういった一種のタレント性を負担に感じて、かえって本業に集中できなくなると判断する人がいるのも当然のことです。

あの記事を読んでその辺を察して「やっぱりこれ合わなさそうだからやーめよ☆」と思えた人がいたら、それはそれで将来に生じたかもしれないトラブルやストレスを回避したという意味で成功かなと。

そういう仕組みを知った上でやってみたい、自分には合いそうと思ったクリエイターには、初心者でもやりやすい、負担の少ない、続けやすいだろう例を最後に示したと思います。

とはいえこれも、スポーツを始めようと思ってる人に「アスリート級の訓練しないでいいから、まずは定期で5分間の軽運動から始めようぜ!」といってるようなものなので、やってみると意外に難しい、最初は良くても続かないという真の辛さが。

ごめん、そこはどうしようもないんだ。続けることが何より大変だっていうのは、どこも一緒なんだ……。

その大変さを超えて、自分に支援者がいることを確かめて、支援を感じつつ創作に打ち込み、なお余りある感謝がそこにはあって、あと制作リソースも残っていたら、そこではじめて有料会員向けの特典を検討しはじめても遅くはないんじゃないのって思ってます。

ここ数日は自分の観測範囲でも支援プランを見直したり、終了宣言していたのにスタンス説明を添えて近況報告用に再開したり、とりあえずと軽い内容で初めてみたという人がほんのり増えた気がして、少なくとも「リッチなものを用意しなければならない」という空気に対して、わずかにでも何か変えられたのかな、だったら書いてよかったなと思っています(自意識過剰かなあとも思ってます)

余談ですが、あの記事を書く上で念頭にあったのは、クラウドファンディングの目標達成者やアドバイザーの人たちの話でした。

クラウドファンディングも主催の知名度と特典の豊富さがあれば成功するなんて思われますけど(その側面も大いにありますが)、実際のところは、完成像や目指しているものがわかりやすい企画概要と、納得できる予算の用途と、適切な報告をする誠実さこそが、「よおし、支援しよう」と思える動機につながると思っています。

実際の達成者の話・失敗したプロジェクトの話を聞いても、これはそう遠くない見解のようです。

CFと支援サービス系とでは異なる点は多々ありますが、しかし支援する側と支援される側が互いに信用をもてるかどうか、結果両者が満たされてハッピーな関係になれるかどうかの分水嶺については、あまり違いがないように感じています。

以上のような点を踏まえて、変な話、支援された側は支援されたことで生じるストレスや負荷からは、完全に逃れえないものなんだと思います。それに見合ったリターンが本当に生じるかどうかも、まだまだわからない状況です。

「だからこの手のサービスは今後続かないと思う」という意見もありました。根拠については同意するので、自分もなんとも言えません。そのうちツールやサービスそのものが全く違う形に変容する可能性も往々にあるでしょう。

そうはいっても、支援したい気持ちと支援が必要な状況が全くなくなるわけないので、そこに橋渡しのためのちょうどいいやり方をずっと考えていくしかないのかなと。いま挙げた負担たちを解消しつつ、でも支援する側される側が気持ちよく集中できる手法も、いつかみつかるかもしれない。そういうこと考えたいよねって、一利用者おもいます。

特にオチはないんですけどそういう話でした。

ついでに書いておくんですが、もしあの記事を理由に「こういう効果があるから、有料制限を無料開放にしなさいと迫る人」が現れても、嫌だなーと思ったらやらないで全然いいです。

月額制とはいえ有料特典とは知識や情報、データを含む「ものと金銭の交換」ではと書きましたが、「ものを売ったり買ったりするのは楽しい。」とも書いておるのでな。そういう楽しさも楽しんで欲しい。

できるだけクリエイターの負担にならず、可能な限り創作活動に集中できる道を模索しようと考えて書いたので、クリエイターの負担になるような解釈は本末転倒です。そういう人はあの記事の主旨を誤ってとらえてますんで。そこはよろしくだよ。

さらにいうとあの記事を読んで「そうか! つまり俺はなにもしなくてもいいんだな!」と言い出すクリエイターや支援者がいたら、そいつはそいつで何も読んでません。

「当人が飽きてきて『なにもしないをする』に陥るのを回避せよ」という話であると念頭においてもう一回読み直してください。そういうのが一番不誠実な態度だからやめろって話だよ!

それでは、みなさまの健やかな活動の糧になりますよーに。