マガジンのカバー画像

短編集

5
フィクション、ノンフィクションにかかわらず、書いた物語を更新。 不定期更新。
運営しているクリエイター

#2000字のホラー

夢十夜『ある男の背中』

二畳ほどの見慣れた脱衣室。 私は洗面台の鏡に背を向け、しきりに映し出された背中の様子を見ている。 背には黒い楕円形があった。楕円は握り拳ほどの大きさをしており、その色は深く、土砂降りの雨に打たれた古い礼服を彷彿させた。 「なんなのだこれは」 私は訝しげにそれを見つめた。吸い込まれるような楕円だった。しばし見つめたのち、手を伸ばし、触れようとした。しかし、楕円は肩甲骨のちょうど真ん中に座しており、四十肩持ちのこの身体ではどうにもこうにも、届きそうになかった。どうしたものか

#私の不思議体験「パラレルワールドに行った小学3年生の夏」

この体験をしたのは、確か私が小学3年生の頃だったように思います。 なにより随分と前なので確証が持てませんが。 小学時代の私は、結構不思議な体験をする体質だったみたいで、誰もいないのに外から歌声が聞こえたり(このとき、窓を開けると歌声は止まりました)する子どもでした。 母も小学時代に人魂を見たことがあると言っていたので、もしかすると私のうっすらとした霊感は母親譲りなのかもしれません。 長々と前置きを話していてもしょうがないので、そろそろ始めましょう。 私の不思議体験私の