古典芸能のちから 新作能『媽祖』

ーアフターコロナの世界へと挑戦:

              京都観世会館2022年4月2日(土)開催予定

片山九郎右衛門氏 新作能『媽祖』ーMASO-

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片山九郎右衛門氏の新たな挑戦は新作能『媽祖』。コロナ時代に多くのお舞台が公演中止を余儀なくされ、古典芸能・能楽の世界のみならず、多くの演劇人が絶望的な思いを余儀なくされた。感染症の時代、コロナ禍のやむないこととはいえ、二度三度と続く公演の延期、焦る思い、先の見えない不安、そうした社会状況の中で、片山九郎衛門氏は20年前、かつての台湾の友人樊潔兮(Jessie Fan)さんとの約束を思い出す。「媽祖を能にしてほしい・・・」。海の女神『媽祖』MASOを新しく能の作品にすること。長年あたためてきた構想があり、その思いは大きく膨らみ、ここに壮大なMASOプロジェクトが始発する。そして2022年4月2日新作能MASOは京都観世会館でその全容を明らかにする。構想・作舞・片山九郎右衛門氏。脚本・玉岡かおる氏。海を越えた壮大な物語が今始まる。

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コロナ禍で閉ざされた世界へ希望の灯をともしたい、そういった祈りのような気持ちが、新作能媽祖MASOに託されている。公式プログラムによると、天平時代の称徳天皇の時代の物語、令和の時代にふさわしい時代設定である。海の女神媽祖が世界へとどのような祈りと喜びの心をとどけるのか、慈悲のおもいを胸に九郎右衛門氏の媽祖の能舞に注目したい。アジア友好と能楽の歴史への万感の思いを込めて、媽祖は何をどう人々の心へ伝えていくのか。

京都観世会館:2022年4月2日(土)昼の部(13:00)・夜の部(17:00)開催予定

新作能〈媽祖〉のあらすじ(公演情報より)
 疫病や戦乱、外寇(がいこう)に見舞われる天平時代。菩薩の心を広めるため諸国に百万塔(ひゃくまんとう)を納めたいと願う称徳帝(しょうとくてい)は、大伴家持(おおとものやかもち)を筑紫へ派遣する。航行の安全を祈るため立ち寄った住吉の社で、海難を予知し人々を救う黙娘(もくじょう)という巫女と、そのふたりの従者を伴って難波津より船出をするが、一行は途中嵐に遭遇する。
 荒天に神通を得た黙娘は、赤き衣をまとい船の行く先を指し示し、従者もろとも姿を消す。筑紫へ無事たどり着いた家持が黙娘に感謝しつつ百万塔を納めると、海の彼方より神となった黙娘〈媽祖〉が二鬼神(きじん)を従え飛来し、喜びの舞を舞う。すると住吉明神も海から出現し、さらに外つ国(とつくに)まで菩薩の慈悲を広めるために旅発つよう家持を誘うのであった。

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