表と、裏
参道には表と裏がある。
かみさまの歩く道、にんげんの歩く道。
裏と表。
にこやかにしているぼくも、おこっているきみも、
実は本当の顔を隠しているかもしれない。
だがしかし、
にんげんは、そんなことを知ってはいけないし考えてもいけないんだ。
そんなことを考えていたら、誰とも関われなくなってしまうから。
「きみが好き」と言うぼくも、裏では別の子に「あの子は何考えてるかわからないよ」と嘲笑っているかもしれないでしょ?
「あなたのこと、苦手だから」と断るきみも、裏では別の子に「恥ずかしいからつい冷たくしちゃうんだけど、すごく嬉しいんだ」とはにかんでいるかもしれないでしょ?
裏と表。
実は、そんな駆け引きをしなくても通じ合う人もいたりするんだ。
通じ合う、というよりも「すべてを信じているから特に気にならない」と言う方が正しいのかもしれない。
裏と表。
裏で彼女の悪口を散々人に言ったその口で好きだと言ってキスをする。
裏と表。
裏で普段は言えないような惚気を散々人に言ったその口で好きだと言ってキスをする。
思っている以上に人は鈍感で、敏感。
知らなきゃ良かった事はたくさん。
それを知ってしまった時、さて、どうする?
わかるかい?人に悪口を言った時点で「人から見たときの、きみとぼくの関係性」は作られるんだ。
どんなにふたりが好き合っていても、周りから見たら「かりそめ」の仲にしかもう見えないんだよ。
僕は、裏でも表でも君を想うよ。
嘘偽りなく、君を想うよ。
人間社会では生きにくいだろうけどね。
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