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『自意識とコメディの日々』オークラ

友達から借りた本。
いつからだろうか、「本の貸し借りなんて大人がすることではない」みたいな思い込みがあった気がするけど、大人になってまで本の貸し借りができる友人関係とか、その友人と知識をシェアするみたいな感覚がとても心地よくて、いつからか大人になってこそみんな本の貸し借りをしたほうがいいんじゃないかとさえ思っている。

元芸人で、現在は放送作家として活躍されているオークラさんの自伝的エッセイ。
オークラさんといえばお笑いが好きな人であれば当然名前は聞いたことがあるはずで、僕もその程度だったけども「放送作家」という見えにくい仕事柄も相まって、あまりパーソナルなことはよくわかってなかった部分があった。

バナナマン・東京03・ラーメンズ・おぎやはぎetc
いわゆる【東京芸人】たちとの関わりから、現在のお笑いシーンの一部を築き上げるまでの半生は、個人的にとても刺激的でワクワクしながらあっという間に読み終えてしまいました。

以前、ラーメンズの小林賢太郎が好きという記事を書いたが、

オークラと小林賢太郎もこんなに関わりが深かったことは知らなかった。
上記の記事をアップした時はまだ小林賢太郎演出の作品が例のオリンピックの舞台で見られるはずだったのに、諸々の事情で叶わなくなってしまった。
そんな気持ちを晴らすように、去年10月の自店の3周年記念のカンバッヂは小林賢太郎オマージュのカンバッヂを制作したりもした。
(ちなみに基本デザインを作ってくれたのも、この本を貸してくれた友達)
そんな思いもあって、オークラと小林賢太郎の若き日の関わりを知っていくと妙に感動したし、章の最後に書かれていた一文にはグッとこみ上げてくるものがあった。

コバケンがなにかのクリエイティブディレクターになったら、どんなモノを生み出すのだろうか?その才能を絶対に腐らすべきではない。

自意識とコメディの日々 P.152

オークラさんは本書の中で何度も「自分の好きなものと好きなものがつながる快感を実現したい」(意訳)ということを言っているが、僕にとってもまさにこの本がそれで、うわぁ!オークラさん、この人とも繋がってるんや!え!この人とも!?とまるで「僕を興奮させるために書かれた本である」と錯覚してしまうような驚きとワクワクがほぼ全編に渡ってあった。
佐久間さんとか星野源とか。

自意識とは他者と接することで生まれるものだと改めて感じました。他者と接し、好きになったり、嫌いになったり、尊敬したり、見下したりして自己が形成されるわけです。

自意識とコメディの日々 あとがき

自意識って基本的にはネガティブな要素というか、できるだけ排除していきたい感覚だと思っている。(僕は)

オークラさんもそれをわかったうえで、それでもどうすることもできない自意識と向き合い続けて、成功したり失敗したり嫌になったり必至になったり、そしてこの著書を通じてさらに自分の自意識と触れ合い、関わった人すべてに感謝する、と言っている。

自分も自意識が邪魔でしょーがなくなる瞬間がたくさんあって、こんな自分じゃなければよかったのにと毎日思いながら生きてるけど、それでも頑張ってるとオークラさんのようなすばらしい日々を作れる可能性があるんかなぁ。とめちゃくちゃ勇気をもらえました。
「この本を書いてくださってありがとうございます」
って初めて著者さんに言いたい気持ちがでてきたかも。
(言わないんかい)
(いやまじで、ありがとうございます)

まもなく借りた友達にこの本は返すけど、自分でも持っておきたい一冊です。

よろしくお願いしますと言わざるを得ません。