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フィンランドでカメラを忘れた話(後編)

(前回より)
 旅行の帰国直前、ヘルシンキでカメラを忘れた俺氏。帰国してフィンランドの忘れ物検索会社に問い合わせをかけてみたが、果たしてその結果は……

●探し物は海の向こうに

 問い合わせから6日経った。一向に返信が来ない。仕方がないので、捜索範囲をホテルに広げてさらに追加で5ユーロ払ってみる。

 しばらくしたある日、メールが届いた。 
 捜索にはさらに情報が必要で、カメラの中でどこで写真をとったか、とかより詳細を送るようメールが来る。ポーランドやスウェーデンでの写真を撮って、ストラップはこんなので、等と返信を送る。これはそれっぽいのがあったということなのかと多少期待が高まる。

 遂にそのメールはやってきた。追加情報を送った翌日、忘れ物会社から探していたカメラが見つかった第一報が届いたのである。さすがにほっとした。会社が言うには日本へ発送するので送料が手数料込で144ユーロとのこと。高くついたがまあ仕方ない。

 無事見つかったはいいが、ここで問題が。支払いは銀行振り込みかクレカ払いなのだが、海外送金は手数料がかなり高いのだ。ネットで探ったところ5千~8千円ぐらい。クレカは手数料はかからないが、どうもカード情報を平文で送るようなのでセキュリティ上わりと危なっかしい気がする。
 結局、何らかの理由で悪用されても影響が最小限になるように、たまたま持っていた解約寸前のクレカ情報を入力し、番号や有効期限などをpdfで画像化して情報を送ってみた。

●立ちはだかる最後の関門

 程なくして国際物流会社のTNTから発送通知が来た。ヘルシンキ→トゥルク→リエージュ→成田と順調に貨物が運ばれていたが、そうはやすやすと東京に運ばせないみたい。
 TNT日本事務所から着信。

TNT氏(日本語)「こちらTNTですが、フィンランドから恐らく忘れ物のカメラが届いているのですが」
俺氏「はい」
TNT氏「カメラの値段が600ユーロと記載されていましてですね、このまま日本に持ち込むと関税が2万円ほどかかってしまうのですが」
俺氏「帰国時に別送品申告書を提出しているんでそれで手続きお願いできますか」
TNT氏「分かりました。それでは別送品申告書とパスポートのコピー(出入国期日がわかる部分のコピー)を送ってください。手続きには少なくとも届いてから3営業日かかります」

 説明しておくと、日本に外国から輸入される品物には原則として関税がかかり、それは個人の送付でも例外ではない。たとえば海外からお土産や生活物資を免税で別送する時には、入国時に配られるあの黄色い紙に予め申告する必要がある。当然「忘れ物」も同様の扱いを受けるのだ。実は最初はそんなこと知る由も無かったのだが、帰国途中に必死でネットで情報収集していた時に見つけたのだった。

 帰りの機中では必ず戻ってくる確証は無かったが、書いて損することはないと成田の税関でその旨を申告、荷物受け取って出る所にいる税関のお兄さんが対応してくれた。すんでのところで余計な費用を払わずに済んだ。

●感動?の再会

 こうして1週間ぐらいかけて最後の難関、成田空港を通過し、無事カメラが手元に戻ってきた。忘れてから30日後、1万kmの旅路を経ての再会である。

 というわけで、なんとか無事に戻ってきたのはこれ幸いでした。要因として、
・忘れ物をした範囲が絞り込めてた。
・忘れ物をしたところが相応に治安の良い国だった。(届けられる率は高い)
・忘れ物インフラが整っていた。(日本以上にシステム化されている)

というのが考えられ、もしかしたら自分が外国人で、日本で同様の忘れ物をした時以上に戻りやすかったかもしれませんね。
 こうした治安の良さ、社会の安定性は平和と繁栄があってこそ。市民社会の充実を肌で感じました。平和が一番だし、それを守るための努力を忘れてはいけないという感慨を持っています。

 大層なことを言っていますが根本的には忘れ物をしないのが一番なのですかもしれませんが。

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