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素晴らしき哉 乗り鉄の世界

 突然だが、自分は何者か、とアイデンティティを問われたときに、何だろう? とふと思うことがある。そんなわけでここには「ボヘミアンエンジニア」としての自分語りをつらつら書こうと思うのだが、とりあえずは唯一に近く最大の趣味である鉄道乗りつぶしについて書こうかと思う。

 「乗りつぶし」って何?と聞かれるかもしれないので簡単に説明しよう。日本にはJRで約2万km、民鉄(JR以外)で約8千kmの鉄道路線が走っている。これらを全部乗るだけ、という取り立てて単純な趣味だ。基本的に自己満足の世界なので、細かいルールは自分で決めればよく、気楽でもある。国さえ決めれば国外でやっても構わない。とはいえ山手線や新幹線ならともかく、日南線や留萌線など、常人なら地元に住まない限りまず乗らない、そもそもどこにあるか分からないような路線も乗るというところに鉄オタというか、乗り鉄の真髄がある。基本的には休み休み旅行していろんな路線に乗りに行くという形が多い。ちなみに今のところ乗車率はJR線91.5%、民鉄線89.9%である。さて、なぜそんな趣味にハマったのかというと、小さい頃から鉄道が好きで…という紋切り型の表現もあるかもしれないが、あと一つのきっかけがある。それは、『みんなの市町村』という本の存在である。

 この『みんなの市町村』という本は、図鑑みたいな厚さで計6冊。北海道から沖縄まで当時約3600あった市町村ごとに産業、地勢、文化などを紹介していくという児童向けの地理の書で、なんかの拍子で見つけて小学校の図書室でむさぼるように読んだ覚えがある。細かい内容はほとんど覚えてないが、例えば北海道のチミケップ湖とかいう秘境があるぞ、あるいは三重県の香良洲町(当時)なんか、小さい三角州の街とかすごいなー、とかほとんど地元札幌しか知らなかった自分にとって、日本にいろんなところがあるという、未知への好奇心を刺激させられた本だった。まだネットもろくに無い時代、限定された文字情報だからこそ、実際にどんな雰囲気なのか行って確かめてみたいという気持ちがふつふつとわき起こった。とはいえ小学生なんて親の制限の下でしか動けないから、大人になっていろんな所へ行って実際どんなところかやる、という気負いがだんだん高まってきた。そんなわけで、小学校の卒業文集には「日本全国すべての市町村を訪れたい」などと書いた記憶がある。

 高校の頃に初めて友人との旅、ひとり旅を経験するなどしたが、わりと普通のままに時は流れ、東京の大学に進学し、迂闊にも(?)工学部社会基盤学科などという旅好きが集まる学科に進学してしまったことから旅行熱は再燃。その後平成の大合併で市町村そのものは半分になったものの、分かりやすいメルクマールとして鉄道を使ってその土地を訪れるという乗りつぶし趣味に出会い、同行の士を得て、さらに「乗りつぶしオンライン」という記録サイトを紹介されて管理が容易になったこともあり、大学3~4年位から東奔西走、社会人になった今もヒマを見つけてはあちこちに出て現在に至っている。

 そういう原点があるので、乗りつぶしと一言で行っても、ただ列車に行って乗って戻ってくるだけではダメなのである。(というかぶっちゃけ列車に乗ってるだけなら苦行でしかない)観光でも用務でも、その土地土地の雰囲気を感じてこそという思いがあるため、いろいろ時刻表とにらめっこをし、最も満足できそうな旅程を考えるのだがそれもまた醍醐味。こうしていくと、有名どころも無名どころも等しく素晴らしいものに出会えていくのだ。以下、そうした乗りつぶしの果実でもある感動したモノ・コトを挙げていく。

●自然・風景篇

(1)落石浜松フットパスの草原(根室線落石駅)

(2)磐越西線の田園風景

 初夏に稲がすくすく育って、農家でもなんでもないけどホッとするとやはり日本人だなと。

(3)室戸岬の夕陽(阿佐海岸鉄道甲浦駅または土佐くろしお鉄道奈半利駅からバス)

 周辺の宿泊客は自分一人、海に沈む夕日を眺めていると世界を独り占めした気分。

●味覚篇

(1)みやま亭の海鮮料理(近鉄志摩線鵜方駅徒歩)

(2)回転ずし(名前失念)(七尾線七尾駅前)

(3)中国飯店飯店餃子(東武宇都宮駅・JR宇都宮駅徒歩)

※営業しているかどうかは予め調べて行ってくださいね。

次回以降(あれば)乗りつぶしに限らず思い出深い旅をつらつら書いていきますかね。







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