あたし、松茸が食べたい!
◯:アルノ、そっちはあったか?
ア:見つかんな~い。ってかここにほんとにあるの。松茸
◯:ネットの情報とか、エゴサで書いてあったから多分ある
ア:多分じゃ不安なんですけど~
○:しゃねぇだろ。そんな情報たくさんあるんだからひとつひとつしらみつぶしに探していくしかねぇだろ。ほれ、口動かす暇があったら手を動かせ
ア:は~い
なんでこんなことになっているかというと、事の発端はつい、3時間前の事だ
俺は大学の講義が終わり、帰ろうとしていると
ア:ねぇ、◯◯
◯:ん?
こいつは中西アルノ。アルノとは小学生の頃からの仲良しでよく家族ぐるみでも、よく遊びに出掛けているくらいの仲で周りからは夫婦だとか言われよくからかわれた
ア:今って秋じゃん?
◯:まぁそうだね
ア:よく、秋って食欲の秋とかって言うじゃん?
◯:言うね
ア:だから、あたし松茸食べたい
◯:はぁ?なんで急に...
ア:だって秋の味覚食べたくなったんだもん
◯:秋の味覚って松茸以外にもたくさん他にもあるだろ。サンマとか
ア:サンマじゃスーパーとかに売ってるじゃん。だから松茸が良いの
こうなると意地でも曲げようとはしないので
◯:ハァ 分かったよ。松茸ありそうな場所探しておくから着替えてこい。それと軍手、リュックサック、虫除けスプレー、ビニール袋も用意しておいて
ア:分かった!!
そういってアルノはぱぁっと笑顔になり、走って自分の部屋に戻っていった
その間に俺は松茸ありそうな場所をひたすら検索し、目ぼしい場所を見つけ、所有者の人に連絡すると快く許可を貰えた
準備を済ませ、車で向かった
ア:どこ向かってるの?
◯:ここら辺で目ぼしい場所検索したり、エゴサしたら○○ってところが一番実績とか報告が多かったからそこに行く
ア:ふぅ~ん。でも、そんなこと入っても良いの?
◯:それは大丈夫。そこの所有者の人に聞いたら快くOKしてくれたし、アドバイスまでもらった
車で数時間移動してようやく着いた
ア:着いた~
◯:ドライブしに来た訳じゃねぇぞ。ここからが本番だぞ
ア:分かってるよ。よぉし、松茸探すぞ~!
○:おい!勝手に入っていくな。まだ、挨拶が済んでねぇんだよ!すみません。うちのが...
「いえ、構いませんよ。それでありそうな場所ですが...」
その後も所有者の人から松茸がありそうな場所についてのアドバイスを受け、○○へと入っていった
ア:ねぇ、ほんとにあるの?松茸
○:絶対じゃないし、むしろあったらラッキーぐらいだろ
なんて言ってると
ア:あっ!あった!あったよ!○○!
○:マジか...幸先が良すぎるだろ
ア:ほら、これ松茸でしょ
○:あぁ、形も香りも間違いなく、松茸だ
ア:ほんとに生えてるんだね。あたし、初めて見たよ
○:アルノ、近くをじっくり探してみろよ。ここにひとつあったら近くに群生してるらしいから踏まないようにな
ア:うん!
見つけた松茸をビニール袋に入れて周囲を注意深く探してみると、そのすぐ近くに
○:アルノストップ!お前の足元にあるから
ア:えっ!どこ?
○:左足のところ
ア:えっ、これ?
アルノが探すと、落ち葉に隠れるように松茸が生えていた
ア:よく見つけたね。あたし、ぜんぜん分からなかったよ。でもこれは言われなきゃ分からないよ
○:だな
その後も、時間の許す限り夢中になって松茸を探し周り、気づけばすっかり夕日が顔を隠そうとしていた
○:アルノ、そろそろ終わろうか。時間も良い感じだし
ア:そうだね。それにしてもまあまあ取れたね
○:だな。これは俺らだけじゃ食べきれる量じゃないからお隣さんとかにお裾分けするか
所有者の方に挨拶と取ってきた松茸をお礼として渡し、俺たちは帰路へと着いた。そのあと、取ってきた松茸をお隣さんや友達に配り、その日の夕食はいつも以上に豪華だった
fin...
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