静かな図書館。

私が高校生の頃、住んでいた街には
きれいできちんと整備された図書館があったので、私はよくそこで、まとめて何冊か本を借りに行ったし、テスト勉強で入り浸ることも多々あった。

図書館の人のことは、何も覚えていないけれど、誰もいない空間の中で、本と出合ったときのことはよく覚えていたりする。

記憶の中にある図書館は、私にとって居心地が良かった。

利用者が少なくて、いつもがらんとしていた。

音のない、沢山の本と私だけの静かな空間。

小説は無数にあって、好きに選んだ物語を好きな時に好きなように読んだ。

本棚から、本を抜き取った瞬間などがふと記憶に蘇る。

あの時のあの瞬間に少し戻りたい。

本と私だけの時間が好きだったのかもしれない。

人間に興味のある人は、図書館の思い出というと、そこで出会った人との会話や顔見知りの人のことなどが思い浮かぶのかもしれない。

図書館にいる時の私は、人との思い出はほとんどない。

本が全てだった。

それ以外は、視界に入っていなかった。

何かに真摯に向き合って書いた人の文章に純粋な気持ちで触れていた。

知らない大人の人が書いた文章に、まっさらな気持ちで、たくさん出会えた。

自分で、何かを選んでいくことの勇気や覚悟や迷いなんてものは、この頃は、全くといいほどなくて、何も考えていなかった。

なんとなく見つけた本が、なんとなくどころではなくなって、作家の描いた思い出は、私の思い出になったし、作家の経験は、私の知識になっているようなところもあったかもしれない。

目をつぶって、そっと目を開ければ、違う世界にワープしていた。

物語の中は、楽しかった。

ずっと永遠に出会うことのない人がいる。

まだそんなこともわからずに、そういう人の作った遊びの世界に入り浸っていた。

私は、大人になって、その世界をつくる側に立ちたいと思った。

誰に教えられたわけでもないけど、見たことのない世界を文章で作ってみたいと思うようになった。

思い返せば、私という人間は、成長したようでいて、そうでもなかったかもしれない。

小学生の頃、校舎のひとけのない場所で壊れたピアノが置いてあった。

昼休みに1人、ポツン。

音と音をつなげて、好きな音を探った。

デタラメだった。

今の文章も構成は、めちゃくちゃで
デタラメに楽しく綴っていて
1人で楽しい。

帰れない場所や
戻れない時間を想って
私の記憶は、私の好きに散らばったまま。

たまに眺めてるけど、そのうち消えていく。

どんどん増えて、どんどん消える記憶。

消える前に残したい。

空腹を満たすように言葉が欲しい。

ただ生きていくなんて、できないよ。

未完成のまま。

うまく収まらない。

電車にのって流れていく景色をずっと見ていたら、あの時と同じ、違う世界にワープする。

いつもの駅にもうすぐ着くから

って私。

慌てないでおりるよ。

この街には、私の好きだった図書館はないけど
私は、この街が好きで。

新しい物語の中にいるけど、あの頃の私もまだここにいる。

静かに私は立っている。










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