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覚醒とアドレナリン 1

私を新たな覚醒の始まりに導いた30代の人妻かおり(仮名)との再会

大学4年の秋
年末まで今のアルバイトをし、翌年からは内定した就職先で春の入社までアルバイトをする。

店がオープンして、まだ客の居ない地下のフロアーでタバコを吸いながら、新しい環境に気持ちは昂っていた。

オープンして1時間程経った頃に、ひと組のカップルが来店
私は普段は人と話す事を極力避けている、ただ仕事は、割り切っていた。50代くらいであろうカップルと談笑をしていると、係に案内され、1人の女性が地下フロアーへ
階段の真ん中くらいから足元のヒールが見え、、、
あの日の上品な30代の女性だった

カウンターの私よりの1番端に、私は
いらっしゃいませ と言いながらメニューを手渡した
女性も私に集中した視線ではなく自然な感じの対応

きっと、店が終わる頃、また車で待っているのだろうと
いう予感は的中した。
女性は無言で、私に、待っているからね 
という事を私に知らせる為に入店をしてきたのだろう

アルバイトが終わり、着替えをし一本火けて
どうしよかを考えた。結論は出なかったが、店を出る
あの黒いベンツが、以前と同じ場所に停車していたのを
直ぐに見つけ、ひと息吸い込み足元でタバコを揉み消した

女性は車から降りて私を出迎え
ごめんね、、迷惑だよね
わかってるんだけどね、、、

私は女性に、車のキーと言いながら左手で
よこせよ と言った。
車に乗り、エンジンをかけ、右ウィンカー
走りだしたが、ラブホテルへ行くつもりはなかった
かと言って食事っていう雰囲気ではなかったし、むしろ
空気は若干重めで

何時までに、ここに戻ってきたい?
また、前回くらい?

女性は
いいの何時でも、
できればなんだけど、、、今日は
今日は帰りたくないの
ごめんね 我儘だよね、ごめんなさい
今日、来ちゃったのも迷惑だよね

私は、何も答えなかった
私が答えるのではなく、女性が決めることだった

走りながら
あのさーちょっと行きたい所があるんだけど
いい? ここからだと30分もあれば着くんだけど

女性は
うん、ありがとうと言いながら涙ぐんでいた

なんで泣くんだよ?

女性は
ごめん
ごめんねと言いながら、さらに泣いた

私は
別に怒ってるんじゃないから
謝んなよ、ラジオつけていい?何でもいいから音が欲しかった。チューニングしていると
ポリスのメッセージインアボトムが流れていて
この曲、好きなんだよ

女性は、ようやく笑える様になった
平日の早朝3:00前、辺りは暗く、ヒトは居なかった
行きたかったのは、シーサイドにできたPubで
どんな雰囲気なのかだけ見たかった。缶ビールでも
飲みたかったが、自販機でブラックコーヒーと
温かいミルクティーを買って車に戻る。

アイスコーヒーなんて、、、寒くないの?

私は無言で、温かいミルクティーを手渡し、再び、車の外に出て、一本火けてプルトップを片手で
冷たい風だったが寒いのは嫌いではなかった。

女性は、車から出て
私の胸に顔を埋め、ぎゅーってして

私は女性を抱きしめながらタバコを一息
冷たい海風が煙を払い、暗い夜に消えていく

あのさー
いっこ提案があるんだけど、いや、、、
何個か聞きたい事があって、それにきちんと答えて
くれたら、

たら? たら?なーに?
傍においてくれるの?

私は、いや
傍におくとか、おかないとかの話しじゃなくてさー





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