コンピュータ囲碁苦難の歴史と、AlphaGo登場により人間超えを果たすまで

囲碁において、今は多くのプレイヤーが、人間のどのプレイヤーよりも強い囲碁AIを使って検討するのは当たり前の光景になりました。有名な囲碁AIとしてはGolaxyやKataGoがありますが、これらはiPad程度の性能でもプロの先生より強いと思われます。でも、実は8年前にAlphaGoがスーパーコンピューターで李世乭先生(当時世界最強の一人と言われていた韓国のプロ棋士)を5番勝負4-1で倒すまでは、人間トップに囲碁AIが勝つにはまだまだ時間がかかると思われていたのです。

私は2005年9月頃に卒論の研究室配属が決まってから囲碁AIを研究し始め、修士課程を2008年3月に卒業した後も趣味で細々と続け、2013年4月に博士課程に入り直してさらに研究を続けたものの、2016年3月にAlphaGoが李世乭先生に勝つのを目の当たりにし、その後博士課程を卒業してから囲碁アプリ制作に手を出したりしたものの結局目立った成果はほとんど出せませんでした。囲碁AI界のつらぽよ勢ですが、囲碁AIがアマチュア初段にも満たなかった頃から世界最強プレイヤーを超えるまでを目の当たりにしてきた人間です。そして今では人間プレイヤーとして囲碁AIをフル活用しています。自分が体験してきた歴史をまとめてみたくなったので、noteで何回かに分けて書いてみることにしました。ひとまず第一回はAlphaGo登場までですが、もしよろしければ読んでみてください。

ここから先は

3,489字 / 13画像

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?