所謂『AV新法』についてー「アングラが増える。」説は本当か?ー

0.切っ掛け

1.上記ツイートに対しての反応1

”「契約もなく違法行為をする」というそもそもAV新法の網にかからないところにいってしまうというわけです。”

1.についての解説。

まず、”「契約もなく違法行為をする」というそもそもAV新法の網にかからないところにいってしまう”は誤解である。
『AV新法』という俗称から「AV(業界)に関する法律」と思われがちだが本法における「AVの定義」は以下の如く広範である。

2 この法律において「性行為映像制作物」とは、性行為に係る人の姿態を撮影した映像 並びにこれに関連する映像及び音声によって構成され、社会通念上一体の内容を有する ものとして制作された電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては 認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用 に供されるものをいう。以下同じ。)又はこれに係る記録媒体であって、その全体とし て専ら性欲を興奮させ又は刺激するものをいう。

第二条.2

簡単に言うと。

「性行為映像制作物」=僕や貴方が趣味で撮った”性行為に係る人の姿態を撮影した映像”全て、というのが正確。
つまり、『AV新法の網にかからない』”性行為映像制作物”は無い。という事。
前提から間違っている推論では正しく理解する事は出来ない。

2.上記ツイートに対しての反応2

2.についての解説。

”①契約の無い全ての「性行為映像制作物」(個人/同人含む)の【販売】は今後、違法とされる。”
本法で契約の無い全ての「性行為映像制作物」【販売】は確実に違法となった。

第二十一条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、六月以下 の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第五条第一項の規定に違反して、説明書面等を交付せず若しくは提供せず、又は同 項各号に掲げる事項が記載され若しくは記録されていない説明書面等若しくは虚偽の 記載若しくは記録のある説明書面等を交付し若しくは提供したとき。
二 第六条の規定に違反して、出演契約書等を交付せず若しくは提供せず、又は出演契 約事項が記載され若しくは記録されていない出演契約書等若しくは虚偽の記載若しく は記録のある出演契約書等を交付し若しくは提供したとき。

第五章 罰則

”②海外で撮影して海外から発信←”アングラ市場”にとってハイコストですね。”
220614AV出演被害防止・救済法 国会審議、塩村議員の質疑において言及がある。
塩村「海外配信のプラットフォームについてお伺いします」
2:22:00辺りから

3.上記ツイートに付随した反応

謎の図に対する解説。

先ずはココから

① 厳格で公正な契約を業界自浄化のために自ら課した。
この辺が【適正AV業界イジメ】とされる要因であろう。
『真面目にやってるAV業界をイジメないで【違法AV】を取り締まれよ!』
ごもっともであるが、【適正AV】を法規定(何をもって【適正AV】とするか)せずに【違法AV】は決定しない。

つまりは、【違法AV】を厳に取り締まる為には【適正AV】を法規定が必須であった。という事。
どれ程立派な業界の【自主規制ルール】でも立法には適用されない。

②現行の法でも取り締まれる。
現行法でも取り締まれる件もある。が正確。
現行法で取り締まりが困難だった、個人/同人撮影、海外プラットフォーム、違法アップロード、リベンジポルノ等々への対応が容易/簡略化された。
何故なら【正規の契約/届け出を経ていない「性行為映像制作物」の販売】即違法であるから。

先程も記したが、前提から間違っている推論では正しく理解する事は出来ない。のだ。

以上の前提から推論するとAV新法後では『一個人が趣味で撮影した「性行為映像制作物」でも販売にあたる限り正規契約/届け出がなければ罰則ありの犯罪となる。

4.最重要な【罰則】の存在。

①真っ当に作品を作る会社に有利
正規契約/届け出/販売等が行われている限り【適正AV業界】は国家に認められた職種と法により定義され、それ以外は【違法AV】として厳に取り締まれる。

②粗悪な公表者は淘汰され
ここで塩村議員は慎重に言葉を選択している【公表者】。

違法アップロード者”が射程に入った言葉である。
現実的に【適正AV業界】の収益を減らしているのは”違法アップロード者”である。

そして。なんで国が(政治家がではないよ)前のめりになってるかといえば。

アングラ界隈は【ローコスト・ローリスク/ハイリターン】だからAVに手を出すのです。
【ハイコスト・ハイリスク/ローリターン】の違法AVからは撤退していく事が推測される。
①ハイコスト
ここでの”ハイコスト”部分が【適正AV業界】にも関連がある部分。
契約/届け出/待機期間等々。
違法AV界隈/個人には困難な事ばかりだが、ココを無視すると逮捕。
今までは《その他の違法性》(レイプや暴行等)が無ければ事件化できなかった部分。
②ハイリスク
AV新法の罰則がとにかく強力である。(案件によっては1億円)

③ローリターン
そもそも、闇で撮影し闇で販売する界隈が儲けが大きいワケが無いのだ。
今までは、闇で撮影し半ば表で販売できていた。故にハイリターンもあり得たのである。
しかし今後、闇で撮影し闇で販売
で儲ける為には1作あたりの単価が高額でなければならない。
違法AVが表で販売される事を今回のAV新法は封じる狙いがあるのだ。

5.新人女優の参入

前述の通り①ハイコスト=手間がかかる。であり途中でキャンセルされる可能性等から『適正AVに新規女優が参入し辛くなった』事は事実であろう。
ソレもAV新法の狙いであるので当然の意見である。
しかし、その事をもって『貧困女性が闇AV界隈に流れる』事と連結はできない。
闇AV界隈が縮小するからだ。受け皿そのものが無くなるのである。
一部識者においては『受け皿そのものが無くなる』事を危惧する意見もある。
それは「表AVでは通用しない女性達」へのまなざしである。
「表AVでは通用しない女性達」が収入を得る為の受け皿が”弱小AV界隈”であったというのも現実だと思われる。

この世界には様々な事情から「真っ当な仕事には就けない」人々が存在するのである。

【適正AV業界】という『真っ当な会社』(塩村議員)には入れず、闇AVという「受け皿」も無くなっていく事で「真っ当な仕事には就けない」人々はどの様に収入を得ていけるのだろう。

終わりに

以上の様な事から今後を推測すると近々に【見せしめ検挙】が行われるだろう。
闇AV、違法アップロードがハイリスクであると周知するために。

そして、適正AV業界は既得権益化していく。優良な税金徴収先として。

AV新法は『AV業界の法律』では決してない。
性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律なのだ。

性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成』の為にAV業界/女優/スタッフの皆さんは煩雑な手続きに苦労なさっている事だと思います。

皆さんの苦労が実る為にも【違法AV/違法アップロード】には厳しく対応してください。

追記6/20 塩村議員に「概ねまとまっていると思います。」と頂き一安心しました。

追記6/19

図解追記


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