見出し画像

壺阪寺

朝起きていつもなら9時ぐらいにホテルを出るんだけど旅の最終日は全体的にしんどく、旅の疲れかチェックアウト11時ギリギリまでホテルにいた。
知らない町で知らない場所に行く時に一番大切なアプリは乗り換え案内とこの一連の奈良旅が教えてくれた。
みんなはもう使ってるかもしれないけど、旅での使い方はこうだ。乗り換え案内を開いて「到着」を入れる。この日の場合は「壷坂寺」。「出発」を押すとすぐ下に「現在地をセットする」とあるのでそれを押すと最初のページに戻って出発が現在地になっていて検索するとそこまでの電車バス徒歩全ての行き方がズバリと出るのだ。マップも出る。行きたいところがひらめいたらこれを使ってみてほしい。
大和八木駅近くのホテルを現在地にしてから壷坂寺にすると、大和八木駅前からバスで32分、壺阪寺口バス停から徒歩で22分と出てまーそんなものかと。ホームページのアクセスを見ても「壷坂山駅からバスかタクシーで」と書いてあるしなーと行ってみると、降りたバス停は「壺阪寺口」で山の麓!。本当に壷坂寺の口。

画像1

バスの運転手さんに降りる時にびびって帰りの反対側のバス停はどこですか?と聞くと、「お寺に行かれるんですか?それなら上にバス停があるので帰りはそれに乗ってください」と。小さいパニックになって、とにかく誰もいない山を登っていくと、

画像2

うねうねと曲がった山道歩いている人は誰もおらず、時折車が通り過ぎるだけで怖くなってきた。友人ががよく、女一人で山道を歩いてたら変な事故や事件に遭うから気をつけろといつも旅前に言っていてこういう場面になるといつも心細くなる。

画像3

今回の旅でリュックを新調したのでそれで壷坂寺まで行こうと思ったけど行きのバス停前にコンビニがあり思い直して自宅に送ったんだけど、ほんまにそうしてよかったと焦りながら思っていた。

画像4

途中、バスが山上から降りてくるのにすれ違う。あー、あのバスか!乗り換え案内を過信していたなと悲しくなった。でも壷坂寺のホームページもバス停名を書いてくれたら良かったのにとも思うんやけどな!

25分ほど山を歩いて駐車場が見えた時は本当にうれしかったわ。なんとかたどり着いて入山する。

画像5


壷坂寺は「壺坂霊験記」って歌舞伎や浄瑠璃でも上演される演目の舞台となったことでも有名なお寺。ここは眼病に効くと言われていて、その壷坂霊験記も全盲になった夫を支える妻が、毎晩夜中にいつも居なくなるのを男ができたんちゃうかと疑った夫が問いただした所、壷坂寺にお百度参りに行って夫の目が治るように祈っていたと。それを聞いて、自分が不甲斐ないせいでこんなことになったと満願の日に壷坂山から滝壺に身を投げると、妻も追って身を投げた。すると壷坂寺の十一面観音さんが助けてくれて目も見えるようになって夫婦幸せに暮らしましたとさ。。。って話。この話はめちゃくちゃヒットして浄瑠璃から歌舞伎、浪曲、講談と何度もかかって聖地巡礼的に壷坂寺はたくさんの参拝者であふれたらしい。

画像6



でも夜中に壷坂寺まで真っ暗な中登ってお百度参りとか狂気の沙汰やわ。男がいた方がマシや。。。死ぬでほんまに。。。私が明るい時に怖々登った壷坂山は、壷坂霊験記の道なりやったんやなぁ。。。よくできた話やw

がんばって登った壷坂山の上にある山寺の壷坂寺は行ってみたらもー、変なお寺で!

画像7

歌舞伎のあのイメージで古刹の山寺かと思っていたら、半分がでかいインドの大理石の石仏!それもたくさん!たくさん!なんでも前の和尚がインドのハンセン病の病院に寄付をしたり社会貢献していてインド政府から贈られた仏像とか。。。ほんまかなこんな大きい仏像送るんかな。途中からは調達してきたんちゃうの?インドに壷坂寺の工房があるとも何かで読んだしな。。。(本当はどうなんだろう

画像8


日本にあるインドの石像みたいなやつってここからやってきてるんやー。神社の狛犬は日本で作られるより海外からの輸入が安くて多いと聞いた事があるけど、神社仏閣用のこういう工房ってあるんやなぁ。

画像9


そんな中、ここの三重塔は一番古い建築物でとても風情が良い。

画像15

色の落ち方も私好みでいいのに、その横にインドがあるとチグハグで、壺阪寺は天竺から来た仏像と書いてるけどそれも笑えるし、インドの仏教はもう衰退して何もないのになともったいない気持ちになったわ。

画像10


そして壷坂霊験記に出てくる有名な十一面観音はなんかゴテゴテしてて、ほんまこれなんかな??っていう。特別拝観でお身ぬぐいができて写真、SNSもOK。目の神さんやから目がぱっちり。うーむ。。。。思ってた観音さんとはえらい違う。。。室町時代の樫材の寄せ木造りらしいけど。。。

画像11


そうそう、和辻哲郎の「古寺巡礼」の最初にアジャンタ遺跡の壁画ことがでてきてすごく褒めてたけどこのお寺はアジャンタ遺跡風に作ったと言う納骨堂もあった。本物もこんな感じなのか???

画像12

今流行りの日本ってすごいやろ、ってのは嫌いなんだけど、土門拳はインドの仏教美術、中国韓国美術などと見比べて、シルクロードの最終地点の日本で仏教文化は華麗に花開いたのだと書いていて、私もそうなんだろうと思ってたんだけど、のっぺりインド工房の大仏たちを見てると、日本の仏像たちは国内でガラパゴス的にどんどん緻密で面白くなっていくいつものあれか!「iモード」みたいな(古いw)と更に思えてきた。フェノロサみたいな外国人に認められてからまた喜んで復興してきたことも含めて日本らしい。

画像13


などと考えてたら1時間に一本のお寺の前からの「壷坂寺前」 バス停からのバスもちょうど出たとこで次のバスまでお茶屋でうどんでも食べてビール飲もうと思ったら土曜日なのにコロナでなのか休業中で、もう一度でかい仏像を見たりしていた。

画像14

今度「壺坂霊験記」を見るときはこの風景を思い出しながら見るぞと思いながら。。。

21.6.12


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?