いつもお金について考えている。

いつもお金について考えている。当たり前だ。いま私が使っているiPhoneは私が働いて稼いだお金で買っているわけだし、もちろん私が食べるご飯や私が着る服や私が使う電気に関してもまったく同じである。

私はだいたい1ヶ月に12万円ほど稼ぐ。手取りだ。そのうち家賃が5万円。光熱費が1万円。食費が1万円。お酒とタバコが1万円。交際費が3万円。携帯代や雑費などが1万円。これでちょうど12万円。貯金はできないし、とくにする気もない。

これで案外、豊かに暮らしている。お酒とタバコをやめて交際費も抑えればもっと豊かな食事ができるだろう。あるいは貯金して北欧産の高級ソファでも買うか。そんなゴミを買ってどうするつもりだとファイトクラブのブラッドピットに叱られそうだが。

会社の先輩で700万円の車を所有している人がいる。700万円を私の手取りの12万円で割ればおよそ58ヶ月。58ヶ月間働きつづければ私も700万円の車に乗ることができる。だいたい4年半くらいか。

先日、その先輩に誘われて風俗に行った。いきなり下ネタで申し訳ないが、だいたい1,5万円くらいだった。気持ちよかったが、とくに好きではない人との行為だったので精神的な満足感は得られなかった。

もちろんこれまでにも何回か風俗に行ったことはある。でも私はどちらかといえば精神的な満足感を得るほうのが好きなので、これまであまり利用したことはない。

一回につき1,5万円だ。月に二回利用すれば私の交際費と同額である。私は寂しがり屋なので交際費に投入するが、そうではない人は風俗や一人焼肉なんかで満足なのだろう。結局は各々が脳汁をどう出すかというだけの話しで。

フリーターの先輩が「フリーターじゃ格好がつかない」と言っていた。格好がつかない? あなたは格好をつけるために生きているのか。いや、そうじゃない。そもそもみんな格好をつけるために生きているのではないかということに話しながら思い至った。

それでは私はだれに対して、あるいは何に対して格好をつけているのか。それはやはり死ぬ瞬間の自分だろう。死ぬ瞬間に「おまえの人生ダサかったな」と言われたくないから、私はたぶん必死に格好をつけている。

700万円の車に乗る人生ではたぶん格好がつかない。そんなことじゃ死ぬ瞬間の私は納得しない。1,5万円の風俗も同じだ。もっとべつの、もっと有意義なことをして生きてくれと、死ぬ瞬間の私が喋りかけてくる。

いまは走馬灯で村山さんが出てきてくれたら嬉しいなと思いながら生きている。これでいいのかわからないけど、ビビりながらでもなんとか格好をつけて生きていくしかないのだろう。

1Q84、1巻が読み終わりそうです。