長い目で見たらプラス。

3月生まれの人って免許取るときに大変だよね。うちのお母さんは3月生まれ(しかも後半)だからめちゃくちゃ大変だったらしい。18歳にならないと路上に出られないからだ。

ただ4月には入社が決まっていた。しかし足がない。お母さん(私のおばあちゃん)も仕事に行っちゃうし、彼氏(私のお父さん)も当然仕事。

それでどうしたかというと入社日を5月にずらしてもらった(というかそうするしかない)。つまり4月中に路上教習と試験を終わらせなければいけない。

結果、4月中に免許は取ったのだけどそこからも逆境はつづく。すでにまわりの同期たちは研修を終えて実務に組み込まれている。だけどお母さんは右も左もわからない純粋なる新人。

仕事もわからないし同期たちとの距離感も遠い。みんなが楽しそうにワイワイ群れている中、お母さんはひとりで新入社員研修に向かう日々。

しかもお母さんはアホなので(私が言ったわけではない)物覚えが悪い。遅れて登場したかと思ったらまさかのアホ。ふつうは遅れて登場するのは誰よりも強くてかっこいい主人公に決まってる。

ただ一旦覚えてしまえばテキパキとこなすお母さん。1ヶ月の研修を終えて、そこからさらにそれなりの期間をかけて仕事を覚えていった母はだんだんと同期たちとの距離を縮めていく。

ちなみに免許を取っている期間もあまり楽しいものではなかったらしい。なぜならクラスメイトたちは教習所にいないからだ。4月の教習所にあまり高校生はいない。

そうした大変な過去を振り返って、お母さんは言う。「あのときは大変だったけど今こうして楽しくお話しができるから長い目で見たらプラスだよね」と。

そう、長い目で見たらプラス。人生は長いのだ。他の同期たちに対して1年遅れを取ったところで人生80年、長ければ90年のうちのたった1年だ。

「あのころの1年は大変だったね」と、80歳になったときに縁側でそんなバカ話しができる日が来るのだと想像してみれば、あら不思議、今度は逆にそんな逆境が楽しく感じられるだろう。

1Q84、1巻が読み終わりそうです。