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ジブリは音楽とともに【singsジブリ2022.4.23】


注意事項
これからsingsジブリ公演に行かれる方は
ネタバレを含みますので、
もし良ければ公演が終わってから
読んでくださると嬉しいです。

予習したい!
公演は行かないので知りたい!
もう行ったから振り返りたい!
という方に読んで頂けたら嬉しいです。

※備忘録 
※角野隼斗さん贔屓のレポート
※主観を大いに含む
(自分の記憶が薄れる前のアップロード、
お許しください。)

singsジブリ@立川ステージガーデン(2022.4.23)での公演を聞いてきた。
8810FCでの抽選は幸運なことに当選し、ジブリと聞いて『行きたい』と言ってくれた中1になって間もない娘と出かけることになった。娘は角野さんデビュー!

会場に着くと、ステージには今回の公演をイメージしたであろう、青空と草原に佇む1台のグランドピアノ、そして小鳥のさえずる声に出迎えられる。

舞台上にはスタインウェイのグランドピアノが2台。下手側は蓋つき。上手側は蓋なし。
会場に着いたのが少し遅くなったため既に着席されている方々に頭を下げながら座席に着く。座席間はやや狭く、着席されている方の前を通り抜けるのはやや困難。
 定刻になると聞き馴染みのある朗らかな声がアナウンスされる。島本須美さんご本人による会場アナウンスである。贅沢…!よそゆきの声と少女に話しかけられているような声を行き来してのアナウンス。「声優の島本須美でした!」の後は拍手が起きる。
 舞台にはスモークがたかれ、幻想的な雰囲気をまとう。すーっと人影が舞台に流れてくる。まずは角野隼斗さんの演奏だ。

『人生のメリーゴーランド』
piano,pianica:角野隼斗 piano:菊池亮太


YouTubeでも配信されており、楽譜も販売されている今回のアレンジ。ピアニカを右手で、ピアノは左手で弾きこなしてしまう角野さん。今回の公演ではYouTubeとは異なり赤いピアニカ(P-37ERD)を使用されていた。(ごめん、たぶん)
私の中ではジブリ曲は茶色いピアニカ(P-37D)を使うイメージだったので、どのように考えて使い分けされているんだろうなと思いましたが、上手く説明できないけれど今回のピアニカの音色は島本須美さんの声に似ている、なんて思ってしまいました。透明感があって、でも芯が強い。
多重録音している後半はどうするのかなと思っていると、カラスのように(笑)下手側ピアノに菊池亮太さんが滑り込んでくる。菊池さんにとってはほんの指慣らしの高速パッセージが降ってくる。低音がずぉんずぉん来る。
ソリスティックな間奏と対照的に、角野さんのピアニカと菊池さんのピアノはお互いに寄り添えている演奏だった。時々角野さんのブレスが間に合わない箇所もあったけれど、そう言えばこの曲を角野さん自身以外のピアノでピアニカを吹くのは私が聞くところ初めて?

 続いての曲が始まる…前に角野さん、なにやら背中を向けてごそごそ…何かを背負い込む。あれは…!
べべメデューサ!!!
わー持ってきたんだーと心の中で叫びながら、アコーディオンがこのホールでどんな音色で響くのかとてもわくわくしながら待った。


『海の見える街』 
accordion,piano:角野隼斗 piano:菊池亮太

アコーディオンの音色はとても軽やかで、ピアニカのそれとも異なるものだった。装飾音がとても晴れやかに響いてスタッカートとレガートの対比も見事。すご過ぎ…いつ練習したの…絶対日本帰って来てからでしょ…
おいしいところだけアコーディオンで弾き、ピアノに戻るが時折ピアノをパーカッションにする場面も見られる。

 ここで島本さん主導のMCが入る。角野さんは初めてステージでアコーディオンを演奏したこと、今日の緊張のピークは終わったことをお話してくださり、会場は笑いと拍手が入り交じる。4人の関係性などお話してくださる。菊池さんと麻衣さんは10年ぐらい前から世界公演でもご一緒していたそうだ。

 続いては名曲

『カントリーロード』
vocal:島本須美 piano:角野隼斗

島本さんはご自分では〝拙い歌〟とご謙遜されるけれど、まっすぐに飛んでくる歌声。音符というよりもまっすぐに言葉が胸に飛びこんでくる。角野さんのアレンジもやり過ぎず、でもにくいフレーズを差し込んでくる。というかCDと全然アレンジ違う。同じで来るとは思わなかったけれど常にアップデートしている彼だから、この全国公演中にもアレンジを変えてきそうだなぁ。島本さんが困らない程度にお願いします(笑)。

『ひこうき雲』
vocal:麻衣 piano:菊池亮太

私、麻衣さんの歌唱を耳にしたのは初めてで、今回一番の衝撃だったかもしれない。麻衣さん一人しか歌っていないのにすごく抱擁感のある歌声。倍音がすごく響いていて鳥肌が立つ。トランペットのように鳴らす歌手もいるけれど麻衣さんはチェロのような息の長さと波のようなヴィブラート。こんな歌手が久石譲さんのお嬢さんで今まで聞いたことがなかったなんて…不勉強な自分を呪ったのと同時に出会えた喜びで胸の高まりがおさまらない…!本当に麻衣さんのひこうき雲素晴らしかった!
これは後述ですが、友人からこの曲の背景を教えてもらい、またも鳥肌が立つ。私にとっては麻衣さんとの出会いの一曲でとてもセンセーショナル!現金なくて麻衣さんのサインつきアルバム買えなかった…

『もののけ姫 組曲』piano:菊池亮太

大地をつんざく打楽器的重低音。原曲の器楽的な入りを忠実にピアノで表現しようとしているのが冒頭から伝わる。アレンジが見事だったのはタタリ神のシーン。和太鼓や摺り鉦をどう表現するかと思っていたがピアノの高音部の金属的な響きを生かして摺り鉦の音として使っているように私は捉えた。菊池さん本人による後述だが、右手でメロディーを拾い、内声で打楽器的なリズムを刻んでいる…らしい。もう1回!もう1回聞きたい…菊池さんのアレンジはピアノの機能を限界まで利用して作られている。音響効果がとても高くレンジの広い演奏だった。でもまだまだいけそうな気がする!
組曲の終曲、アシタカとサンはリトルキャロルのコーラスも入り深いリバーブも効いて、歌声に包み込まれて終わる。

 前半ステージの最後は角野さんによる

『千と千尋の神隠し 組曲』

角野さんのアレンジは原曲に沿っていて純粋に楽曲の美しさ、場面描写が鮮明に脳裏に流れてくる。楽曲の切り替えもとても自然だった。特筆したいのは『ふたたび』に入るために一度音楽を終止させ、麻衣さんが入ってくる。
角野さんのYouTubeにもオーボエの荒木さんと共演している動画がある。


この曲の歌詞入りを私は初めて聞いた。麻衣さんが歌い始めてから角野さん、満面の笑みがこぼれちゃったんです。いつか映像も円盤化したら確認してみて欲しい。ちょっと、角野さん?すごく好きなのね?
ハクが千尋に本当の名を教わり、千尋の涙が上空に飛んでいるシーン。麻衣さんが高らかに伸びやかに歌う。そして大当たり~!のシーンを通り、終曲いのちの名前へ。組曲だから仕方ないのだけど、もっと聞きたい!と名残惜しく終わる。



『ルパン三世のテーマ~サンバ・テンペラード』
piano:菊池亮太、角野隼斗

後半1曲目はまず菊池さんの演奏から…おやお召し替え…ハットとトレンチコートを着込んでいらっしゃる。はっ…!と、とっつぁん!!!

菊池さんのルパンのアレンジはしっとりオシャレに。ほどなく角野さんが入ってくるが、まままさかルパンとか着てくる?…残念、角野さんのお色直しはありませんでした。いやいや絶対今度の公演は赤いジャケット羽織って来なくちゃ。カリオストロだからグリーンのジャケットかな。

お二人のサンバ・テンペラードはもうカッコイイ!の一言に尽きました。角野さんの入りのグリッサンドが音数多いのに速くてめっちゃかっこよかった。意識されてか無意識かは分かりませんが、a-moll(イ短調)だからか時々パガニーニのカプリースに聞こえる箇所も。お二人の2台ピアノを聞いているとねぴらぼを思い出したりもしました。

クラリスと銭形の(カンペありの)小芝居を挟みつつ(爆笑しました。)

『炎のたからもの』
vocal:島本須美 piano:角野隼斗

singsジブリのCDでは圧倒的にジャジーなアレンジでドラムスも入る。今回のアレンジも要所でスイングさせてより洗練されたアレンジに。ピアノソロは徐々にボルテージが上がりそのままの勢いで島本さんが入ってくる。私はワイングラス片手にピアノにもつれながら聴いていたくなりました。

曲が終わり、麻衣さんの懐からキツネリスが現れて、島本さんがシーンを再現。娘がめちゃ食いついた。『え?ナウシカ?本物?』今初めて知ったと。(笑)

さぁ来ます。

『ナウシカレクイエム』
vocal:麻衣 piano:角野隼斗

途中、島本さんによる魂が揺さぶられる演技があり、この作品への思い入れを強く感じた。そして満を持して、遠方から微かに聞こえてくるような、あのメロディーが…

鳥肌がぶわわーと広がり思わず目を瞑る。そしてコーラスも入って来て荘厳なアレンジで奏でられる。C-H-C-Des-C-H-Cのピアノのフレーズが耳から離れなかった…この半音をアレンジに入れてくれてうれしい…最後、ピカルディー終止で終わったのもうれしい…(※ピカルディー終止:短調の主和音で終わるのではなく、長三和音で終わる。宗教曲でよくある。)角野さんと麻衣さんのナウシカレクイエムが聞きたかったのでとてもうれしい…素晴らしかった。

『風の谷のナウシカ』
vocal:島本須美・麻衣 piano:角野隼斗

これもちょっと熱が入るんですが。

この曲もCDとほぼ同じアレンジで、ピアノは細かいリズムを刻み、島本さんもリズムを立たせて入って来て、次のフレーズからの麻衣さんはあまりリズムを目立たさせずにレガート調での歌い出しだったんですが、角野さんのピアノも麻衣さんに合わせて同じようにテヌート気味に変えて来たんです。うわぁ角野さん!!空気読める!!…と私のメモに書いてある。(笑) お客様にはこちらがお似合いでございます…と自然に差し出して来るなんて素敵すぎる…

『崖の上のポニョ 組曲』『ひまわりの家の輪舞曲』
piano:菊池亮太 vocal:麻衣

煌めく音の粒子が縦横無尽に動き回る、フランス印象派の香りがするアレンジだった。曲が始まる前にひまわりの輪舞曲について、宮崎駿監督のお母様のエピソードを聞く。私は自分の祖母と重なるところがあって胸がきゅっとした。私が小学生の頃、脳溢血で倒れ、半身不随になった祖母がことあるごとにいつも言っていた。『私が料理を作ってあげられたらいいのに』『体が動けばこんなこと簡単なのに』そう言っては、必ず泣くのだ。世話焼きで料理裁縫が得意で、いつも明るく楽しませてくれる祖母だった。麻衣さんとリトルキャロルさんの歌声と優しい菊池さんのピアノが寄り添ってくれるので温かくて楽しかった今は亡き祖母との思い出を回想することが出来た。

『君をのせて』all member

全ての演奏者で締めくくる。特にこの曲のコーラスは勇ましさもありながら、楽曲の奥行きの深さを感じることができた。心の中で一緒に歌う。

プログラムは以上で終わり、鳴りやまない拍手が響きアンコールへ。

ピアニストの2人だけ舞台に戻ってくる。アンコール1曲目へ。

『Madness』piano:菊池亮太・角野隼斗

紅の豚の音楽はオーケストラが特にかっこよくてストーリーに緊張感、臨場感を与えていると思っているのですが、この曲はミラノの運河から飛行艇が飛び立つシーンで使われる曲。角野さんと菊池さんの狂気に満ちたやりとりはスリリングで最高にかっこよかった。角野さんは思わず声が出ちゃうぐらいこのセッションを楽しんでいたように見えた。

『風のとおり道~となりのトトロ』
all member

幻想的で特徴的な旋律に乗り、トトロが傘を開いている画が脳内で再生される。私の勝手な解釈だけれど、C-Es-Fの上行音形は傘を持ち上げてF音でパッと傘が開くイメージなのだ。だからこのC,Es音はテヌートで弾いて欲しいな、と思っていた。ちゃんと弾いてくれた。(満足)

最後は手拍子をしようか迷うぐらいフィナーレに相応しい思わず笑顔になる『となりのトトロ』アレンジだった。

ジブリの世界を音楽を通して堪能できたこの公演。このピアニスト2人なら生音でも行けると思うので、ピアノに過剰なアンプは必要ないかなと感じている。少し低音が効きすぎて聞きづらい部分もあった。

ジブリについてはにわかだけれど、それぐらいでも楽しめたので安心した。が、少し内容は大人、ジブリファン優先か?子どもに向けられたコーナーがあると尚、良いなと感じた。

結果、しばらくしても脳内はジブリで占められている。未見の風立ちぬでも見ようかな。

ここまで長文の備忘録を読んでくださった方がいましたら、深く感謝申し上げます。ありがとうございます☺️




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