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慶應義塾高校監督・森林貴彦氏の取り組みについて

 こんにちは、あるいはこんばんは。のぼ〜る広報です。WBC開催が近づく中、WBCのことを中心に投稿すると言った側から高校野球の話をさせていただきます(笑)。今回は、センバツに選出されていながら野球教室を並行して開講した、慶應義塾高校の監督・森林貴彦氏の取り組みについてお話しさせていただければと思います。

5年ぶりのセンバツ出場が決まった慶應義塾高校

 昨年(2022年)10月に行われた高校野球秋の地方大会でベスト4入りを果たしていた慶應義塾高校(以下慶應)は、今年(2023年)1月27日に発表された春のセンバツ甲子園大会への出場校に名を連ねました。例年では、「選考委員会」が選考した学校に委員会が電話をすることで出場の是非が決まっていましたが、今年からはインターネットでの中継に変わったそう。そのため、発表当日には野球部員70人と学校関係者などを含めた、100人越えの方々が慶應校内の日吉教育棟ホールに集まりました。
 吉報を待つ中でついに中継で「慶應」の札がかかると、前方で待機していた多くのマスコミからの撮影フラッシュもありました。
 「選考委員会」では選出に併せて選出理由も公表されており、以下の通りでした。

「(秋の関東大会の)準々決勝で埼玉1位の昌平高校に打ち勝つなど“ムラのない強力打線”でベスト4に勝ち上がった。準決勝では、準優勝した専大松戸高校(千葉1位)に一度は逆転し、延長までもつれる接戦を演じた」
横浜日吉新聞 2023年1月28日の記事より一部抜粋

 発表が終わると、慶應主将の大村昊澄(そらと)選手は取材に応じ、センバツ選出について慶應の掲げる野球理念も交えながら以下のように答えました。

「95回という記念すべき大会に選出していただいてありがとうございます。日本一をとって新しい形、新しい常識をつくっていくという目標をもって日々練習しています。新しい高校野球の姿であったり慶應の野球を甲子園の舞台で表現し、多くの人々や子どもたちにも野球というスポーツの楽しさや“新しい魅力”を伝えることができれば」
横浜日吉新聞 2023年1月28日の記事より一部抜粋

 慶應の監督である森林貴彦氏も、

「地域の皆様に“ありがとう”や“おめでとう”という言葉を言ってもらえることが、私たちがやってきたことの“証(あかし)”になると思う。生き生きとしたプレーをお見せし、感謝を伝える機会を持つことができれば」
横浜日吉新聞 2023年1月28日の記事より一部抜粋

 と、自身が掲げている「エンジョイ・ベースボール」の理念を甲子園で体現すると語っていました。慶應の甲子園での躍進に期待がかかります。

森林監督ってどんな人?

 「エンジョイ・ベースボール」理念を掲げている森林監督とは、一体どんな人なのでしょうか。
 森林監督は1973年6月7日の東京都渋谷区生まれで、慶應義塾普通部から慶應義塾高等学校に進学、慶應義塾大学法学部法律学科を卒業しました。慶應義塾大学時代には野球部には入部していなかった(Wikipedia情報)ものの、現役時はショートとして活躍。大学卒業後はNTTへ入社しました。
 しかし、高校野球の監督をやりたいという夢を捨てきれず、3年で退職。退職後は、教員免許を取得するために筑波大学へ入学。免許取得のため学部に出席しつつ、近くのつくば秀英高校でコーチも務めていました。
 教員免許(中高の体育教師)取得後は、慶應義塾幼稚舎の募集に応募。これにより森林監督は小学校の担任の教員免許も取得しています。
 その後、2012年に助監督就任、2015年の秋から監督に就任しました。そこから、幼稚舎(小学校)の教員をしながら高校の野球部監督を務めるという"二足の草鞋"を履く生活を送っています。これは高校野球部監督の中では異例だそうで、筆者も激務で大変ではないのかと心配になりました。
 ですが、小学生を普段から教えているからこそ野球教室を開講するなど、小学生により近い視点で野球を見ることができているのでしょうね。
 また、父は無垢材と呼ばれる主に床のフローリングに使われる木材などを取り扱う「株式会社モリバヤシ」代表取締役社長の森林和彦氏です。

テスト明けからいきなり野球教室を開講

 センバツが3月18日に控えており、慶應も徐々に最終調整の段階に入っていきます。そんな中、2月23日に学校のグラウンドにて小学校1〜6年を対象とした野球教室を開きました。この教室にはおよそ150人が集まり、朝9時頃から12時までの3時間で行われたそうです。ベースランニングやティー打撃を行う子どもたちを指導するのは、監督ではなく選手たち。慶應では3年ぶりに開講された教室で、久しぶりに高校球児と小学球児の交流が行われたそうです。
 この野球教室には清原和博氏の息子・勝児選手も参加しており、Yahooニュースではバットを片手に小学生へノックを出している写真が確認できます。
 実は慶應は先日までテストを行なっており、テスト期間でおよそ2週間部活での全体練習ができていなかったそうです。本来ならテスト明けは真っ先に全体練習を行うもの。甲子園出場を間近に控えた学校なら尚更です。しかし、森林監督は練習ではなく、野球教室を開講しました。これについて森林監督は、

「ようやく丸一日練習ができる日に、野球教室をするのは意図があると選手に伝えた。センバツに出るから野球だけをするわけではない。これは、日本一に向けて大事な行事」
Yahooニュース(中日スポーツ) 2023年2月23日 19:10配信の記事より一部抜粋
 

 と、選手たちに「甲子園出場校だから野球だけをするわけではない」ということを説いたそうです。大舞台を目前に控えながらも子供たちとの野球を介しての交流の場を作るところに慶應の「エンジョイ・ベースボール」精神や、地域密着精神が見え隠れしていると筆者は思います。

 小学生に日頃から教鞭をとっている森林監督だからこそ、地域や将来にとって小学生がどれだけ大事なのかを知っているような気がしました。また、「甲子園に出る学校だからといって野球だけやっていれば良い」という考え方をしていない監督をとても尊敬しました。高校野球ファンだけでなく地域からも好かれる学校になってほしいと思いましたね。頑張れ!慶應!
 最後までお読みいただきありがとうございました。

出典

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