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読書ゼミ「日本の景観」で学んだこと

はじめまして、名城大学建築学科佐藤布武研究室修士1年 原田祥吾と申します。

今回は先日行ったゼミ活動、通称「読書ゼミ」の内容を紹介します。

我々の研究室では例年、読書ゼミを行っています。
その目的は読書ゼミを通じて知識を蓄え、建築的感性を養うことはもちろん、意見の共有・議論の場を設けることで、書籍への理解を深め、個人の興味関心の幅を広げることなど多岐に渡ります。

さて、今回の読書ゼミですが、対象の図書は樋口忠彦氏執筆の名著「日本の景観」としました。

企画を行った当時はコロナ禍の真っ只中。
身動きの取れない今こそ、我々を取り巻く環境の1つである景観について考える機会を設けよう、というのが主な目的でした。

内容は大きく分けて2つ
①読書を通じて本書の中で解説されている多種多様な景観への理解を深めること
②各自で解説されている景観に該当する、言わば「私の日本の景観」を探し、発表するというものでした。

ゼミ生たちの解釈は実に幅広く、自分からは出てこないであろう意見もあり、意見を共有することの重要性を改めて認識する機会となりました。
(下のイラストはゼミ生が取り上げた、岐阜県不破郡垂井町の岩手地区の景観。人工物のダムが人々の居場所となっており、ダムからは自分たちの暮らすまちが一望できる。)

読書ゼミ 図_page-0001

また、私個人にとっては気付きが得られたゼミとなりました。
私が初めて本書を読んだ2年前から現在までの間に、ゼミの活動や論文の調査で本書の中で紹介されているような景観を実際に目にする機会に何度か恵まれました。その経験の後、改めて本書を読み返すと「あぁ、あそこのことじゃん。」といった具合に理解度が明らかに高くなり、何より読んでいて楽しい。

知識を蓄え、実際に自分の目で見、得たものや考えたことを反芻する。そうして初めて本書を読む意義が生まれるのではないでしょうか。

様々な見解が得られた読書ゼミでしたが、同時に本ゼミを企画した身としては反省点の多いゼミとなりました。
特にゼミ生の間で本書の読み込み度合いに格差が生まれてしまった点、そして具体的アウトプットを伴っていなかった点が挙げられます。

如何せん、普段の読書は知識のインプットで終わってしまいがち。
そんな実情に対しても、読書ゼミは何らかの形でアウトプットを出すことのできる貴重な機会であると痛感しました。

少し話が脱線しましたが、「日本の景観」は景観工学のバイブルとも言える書籍。建築業界に身を置く我々にとって、景観は常に我々の身につきまとう課題と言えます。

今回の読書ゼミは、そのことを少しでも思案する機会になったのではないでしょうか。

(修士1年・原田)

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