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持てないから欲しくなる

フルタイムで働いていれば、家は寝に帰るだけの場所なので、雨風をしのげればいいし、社宅なら経済合理性が高いと割り切れる。
でも、家にいる時間が長い主婦は、そうはいかない。子どもがいれば、ママ友同士の見栄のようなものもあるだろう。
素敵で便利で自分のこだわりを詰め込んだ持ち家が欲しい、というのは普遍的な願いだ。お金が潤沢にあればすぐにでも実現したい人が大多数だろう。持ち家を既に持っていたとしても、だ。

私も親に協力をお願いして29歳で持ち家を持った。結婚してなかったし、その予定も無かったし、家を建てる理由は学生の時から飼ってた猫と再度同居するため。経済合理性も人生設計もガン無視。長らく注文住宅を建てたがってた父の意向と一致して、親を勤務地に招く形で二世帯住宅を建ててもらった。その後、結婚出産して同居継続したので、親による育児サポート含めて、私にとっては万事OK状態。
ところが人生はそうそううまくはいかないもので、結婚して12年で、まったく予期できなかった都内への転勤になり、再びの社宅生活。雨漏りと暑さ寒さと、再度の異動で片道1時間以上の通勤時間に耐えかね、さすがにここからの転勤は無いというか、転勤になる前に辞めようと決意して中古住宅を買って今に至る。持ち家にした理由はまたしても猫。猫を飼えるファミリー向け賃貸物件ってほとんど無いから。賃貸物件におけるペット相談可は99%が小型犬1匹のみ。猫は爪研ぎするから仕方ないのだけど。

という経緯で、私自身は割と気軽に家を保有してきたが、経済合理性は圧倒的に賃貸の方が上。最初に建てた二世帯住宅は父が念願の作り付け収納を多数付けたし、土地代もそれなりで、大都市圏で家を持つレベルでお金をかけた。今、資産価値は半分弱じゃないだろうか? 実際に売ると実入りは住宅取得費用の1/4くらいになりそう。インフレを考慮したら1/5規模。
私が今回買った家はほぼ土地代だけみたいなので極端な値下がりは無い見込みだが、近隣にはまとまった空き地のまま年単位で放置されてる区画もあるし、先のことはわからない。
勤務先から何らかの手当てなり補助なりが出るなら、なおさら賃貸の方が良い。転勤の可能性がある場合も賃貸一択。子どもがいる間は広い家、リタイアして子どもも独立したらコンパクトな家に住みかえ、といったことで経済的にもメンテナンスの手間的にも合理的に暮らせる。

でも、何十年も経たないと手に入らないと思うと、なおさら欲しくなるんだよね、持ち家。周りは当たり前に買ってる、というか、当たり前に買ってる素敵なお友達しか見えてない(賃貸派もそれなりにいるのに)。なんで自分は、ってなる。わかるわかる。
それでも家は贅沢品だ。子どもが小さくて、これから金融資産を形成し始めるタイミングで、贅沢品を真っ先に手に入れるのは愚策。素敵な新築に住む素敵なお友達は実家から多額の支援を受けたか、後先考えてないか、どっちかだ。劣化もするから、家を持つのはできるだけ後の方が良い。