【むかで屋さんのこと】

現在、ミニギャラリーで展示中のむかで屋さんが、はじめて店にやって来たのは真夏のことでした。
両腕にびっしりとムカデとイカのタトゥーが入ったイカツイいでたちながら、大変腰が低く、仕草のひとつひとつに育ちの良さを漂わせる青年の出現に、私は仰天したと同時に「いやー。うちの店もいろんな人が来るようになったもんだねー!」と妙に嬉しくなりました。

そんな新井さんが、実は「江戸型彫り」という伝統工芸の職人をめざして修行中であり、型彫りの技術をもっと若い人にも知ってほしいという思いから、比較的手に取りやすい紙雑貨を作っていることを知り、ちょっとずつ商品を店に置いていただくようになって1年半が経ちます。

ぽち袋やポストカードに摺るためのオリジナル型の絵柄は「ヌンチャク」だとか「UFOに連れ去られる牛(キャトルミューティレーション現象?)」「ゾンビ」など、まったくもって「???」ながら、30代以上の人の心にはどことなく懐かしく響くようで、手に取っていただくことも多くなってまいりました。

店にはマメに顔を出してくれるのですが、いつ来ても、礼儀正しく寡黙に佇むだけの新井さんなので、「ムカデと烏賊のタトゥー青年が、なんでまた江戸型彫りなんですか?」とか「なぜ、このモチーフなんですか??」という疑問はずっとぬぐえないままです。

・・・と、まあ、とっても長くなりましたが、そんな青年の人生初の個展をのびのび荘でやっております。

はじめての発表というのは心細いものです。どんな人でも。
よく思うのですが、作品は人に見てもらって話すことで初めて完成するんじゃないかと。そして、作品も人も、人に見られたり言葉を交わすごとに磨かれていくものなんじゃないかとも思います。
だから、初めて展示する人の展示ほど多くの人に見てもらいたいんだよなー。って、いつも思います。

というわけで、2/2までやっておりますのでお時間ありましたらぜひ遊びに来てください。

冬が苦手すぎて少々塞ぎ気味の店主のび子も喜びます。
note見てきたよ!と声をかけてくれたら、頬を紅潮させ喜びの舞を舞うでしょう。(たとえ踊っているようには見えなくても)。

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