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【珠玉の一冊】静止力と使える弁証法と私の宣言の話

静止力

えらいてんちょうさん(さんは私が勝手に付けています。)という方が書かれている静止力という本を読みました。(えらいてんちょうさんのnoteを下記に載せておきます。)

えらいてんちょうさんの活動は色々やっているので見て頂くとして、この方に非常に共感を持ったのは以下の記事でした。

脱社畜サロンとか好きなことで生きていくとか流行ってます。結構なことだと思います。しかし、わたしは地道に場所を維持する、役目を果たす人々のお陰でインフルエンサーだとかなんとかいっていられると思っていますし、その人たちへの敬意を持っていたいし、表明していきたいと思うわけです。

そうだなぁと。

ここ最近新しい考え方や価値観がたくさん出て来ています。それはそれで素晴らしいことだと思います。私はそういう考え方が好きで、堀江貴文さんの著書もたくさん読みましたし(特にゼロ なにもない自分に小さなイチを足していくには感動しました)、西野亮廣さんの魔法のコンパスも大変興味深かったです(ブログも定期的に読んでいますし、絵本もまた素晴らしい)。

でも、こういう新しい考え方が出てきた時に、中には地道に場所を維持している人を馬鹿にしたりする人や意見を目にすることがあってそれは違うよなぁとモヤモヤしたり。

手軽さ、身軽さ、合理性が殊更強調され、今までのものが真っ向から否定される向きに居心地の悪さを感じていたりしていた時もあって、そんな時にこの本と出会いました。そのまえがきにはこうあります。以下引用。

考えてみれば、堀江貴文氏は“究極の子ども”になることを説いている人です。それは、ある種の新しさがあり、正しさがあります。誰もがしたいことをし、したくないことを避けた方が、仕事の生産性は上がる、というのももっともです。自分の仕事のペースを乱すような邪魔は入れるな、という論旨もよく分かります。
しかし、赤子は大人の都合を考えず泣きます。そして、赤子の面倒を見られるのは“大人”しかおらず、社会を持続可能にするのは“自分は大人であるから、社会に対して責任がある”と考える人の数だと私は考えるのです。

折しも今年の1月には娘が生まれ、この感覚はすごくよく分かるんです。

静止力と使える弁証法

本書では静止力を以下のように定義しています。(第1章多動と静止P27)

自分がここだと決めた場所を終生の拠点に設定し、その拠点を中心に活動しながら、成功を収めていくための能力です。

静止力を活かし地元の名士を目指そうというのがこの本の趣旨ですが、読み進める内に、田坂広志さんという方の著書である使える弁証法という本を思い出しました。手元にないため引用が不正確で恐縮ですが、曰く物事の発展は直線的ではなく、螺旋的に発展すると。

例えがまんまですが螺旋階段を昇るようなイメージで、元いた場所に戻って来るように見えて一段上がっている。つまり、付加価値を付けて復活・復古すると。

静止力ではこのようにあります。(第5章地元の名士になるためにP125〜127)

拠点を持った上で「多動力」を発揮する
また、地域でさまざな人と交流するときは、複数の肩書きがあると便利です。
〈中略〉
多動することのリスクは、フラフラした末にどこでも成功できずに居場所を失ってしまうことです。それならば、確固たる拠点を築いていけばいい。拠点を決めてその上で多動すればいい。
つまり、多動力のいいとこ取りで地元を攻略し、名士の座をつかむわけなんですよ。

これを読み、静止力も付加価値を付けて復活・復古したものではないかなと私は感じました。昔からの流れを汲む、伝統・歴史を繋いでいく、墓守になるという発想自体は新しいものではありません。

でも、日本の人口等の構造的な問題、技術の発展等により新しい在り方が可能になってきている。新しく出てきた多動という概念が昔ながらの地元の名士と上手く掛け合わさっていくのは面白いなと思いました。

私の宣言の話

静止力の中でもここが地元だと宣言しろとありますが、私は来月地元である秋田市に移住します。父の会社の承継と、自身の不動産鑑定士資格を使って鑑定部門を立ち上げる予定です。

あまり意識したことはなかったのですが、私は地元アドバンテージ(本書ではドラと表現)を結構持っているのだなと思いました。本書と照らし合わせてみると以下の通りです。(尚、以下の記述の詳細は第4章地元に溶け込む方法P111〜115)

(1)地元出身→○秋田市出身です。
(2)地元の名門校出身→○秋田高校出身(私の出来は悪かったですが、出身てことが大事なはず笑)
(3)名士の子ども→△有名企業ではないものの、私で3代目の事業承継に当たるため、地縁はあり。
(4)子持ちの既婚者→○妻子おります。
(5)マイホームを所有→×

実は秋田移住の話をした時に、
「東京の不動産を一度は見ておくべき」
「証券化系の仕事も一度は経験したら?」
「まだ若いんだからもう一社くらい転職したら?」
というお声も頂きました。

それぞれ親身に聞いて頂いた結果ですし、ありがたいアドバイスではあったのですが、私が優先したのは早い段階で拠点を築くということです。

早いと言っても34歳ですが、事業承継や部門立ち上げには体力を使うし、不動産鑑定業においては秋田で30代の人は独立系では私だけのはずです。そこで、早い段階から地域でポジションを得るのは有用と思ったんです。

この試みが上手くいくかはこれから次第ですが、本書を通じて自分の背中を押された面もあったように思います。非常に学びのある一冊でした。

#珠玉の一冊 #静止力 #えらいてんちょう

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