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庄司昌彦教授に聴く、行政DX最前線(5)

毎月専門家のゲストをお招きして、旬なネタ、トレンドのお話を伺います。


武蔵大学社会学部メディア社会学科教授の庄司昌彦さんに、地方行政DXの今を伺う最終回。

とりあえず共通基盤の上に乗りましょう、というところから始まった地方行政DXだが、そのゴールだったり、その先に展開されるものが見えにくいところがネックになっている。

DX化されることで、国民にも手続きが簡単になるとか、全部オンラインで終わるといったメリットはあるのだが、行政への手続きを行なう機会が少ない事から、あまり関心が寄せられない様子が伺える。

その最たるものが、マイナンバーカードではないだろうか。何の役にも立っていない、無理矢理保険証にされるといった不満が爆発している。

行政DXは、マイナンバーカードをどう巻き取っていくのだろうか。


小寺:そろそろ最後の質問にしたいんですけど。マイナンバーのポジションとか扱いとかみたいなのは、将来的に、この標準化の中でどういう役割を果たせるようになるんですかね。

庄司:マイナンバーは、税と、社会保障と、災害対応にしか使わないということになっていて。そこは去年かな、マイナンバー法の改正があったんですけど、結局そこを広げるにはやっぱり国会を通さなきゃダメとなったんで、基本目的は限定的であるというのは変わらず。

ですけど今回、これで標準化が進めば、自治体をまたがってとか、制度やシステムをまたがっての情報連携とかはもっとスムーズにできるようになるはずですね。だから、河野大臣が呟いてましたけど、確定申告が最初から全部入力されてて、チェックするだけでいいです、みたいな世界には近づきやすくなる。なんなら申請しなくても勝手に給付金が振り込まれるとか、そういう世界に近づくところで、裏側で使われるでしょう、というのがひとつです。

小寺:いやもう、早くそうして欲しい。そもそもなんで仕事する相手にいちいちマイナンバー教えてるかっていうと、コイツにいくら払って源泉いくら、みたいなのを吸い上げるためでしょう。それをなんでもう一回集計しないといけないのかというね。

庄司:そう。それから、マイナンバーカードのほうですね。カードのほうは、マイナンバーが書かれてますけど、それはそれとして、電子署名のほうは本人確認証明書ですから、そういうのを使って、使えるサービスみたいなのはどんどん増やしていくんでしょうね。

だから、今回の避難所で本人確認するためにとか、それこそいろんな手続きをするときに、「あなたは誰ですか」みたいなことを確認する時に使うとか。そういうところで、どんどん使い道は広がっていくんですね。それも標準化されているので、ベンダーさんも、自治体ごとにカスタマイズした用意をしなくてよくなるので。

小寺:うん。宮崎の都城市ではすでに、マイナンバーカードで避難所登録のシステムを独自開発しちゃってますし、なんなら公立図書館の貸出カードにも使っちゃってる。

庄司:多分、この標準化が終われば、本当にそういうものがどんどん加速して整備されていくようになるんだとは思います。

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