見出し画像

地方移住はあり? なし? その成功例に学ぶ (4) 最終話

宮崎で様々なメディアやPR事業を手掛けている、恒吉浩之さんとの対談もこれで最終回。恒吉さんは、宮崎市内でちょっとイベントやメディア、文化系の話をすると必ず名前が出てくるという、宮崎カルチャーの立役者的な立場の人である。

地方というのは、その土地に住んでいる人が作り上げた独特のカルチャーというか、文化圏があるものだが、その特徴は中にいるとわからない。だからPRしようにも、自分たちの武器がわからないという時代が長く続いてきた。

だがここにきてようやく、宮崎にもブランディングの概念が浸透しつつある。それはやはり、東京などの都会を知ってから宮崎に戻った人が、PRのセンスや重要性を持ち込んだからにほかならないと思っている。

そういうセンスを最初に持ち込んだのは、2007年から2011年まで県知事を努めた東国原英夫氏ではないかと思っている。宮崎牛を神戸牛に並ぶブランドに仕立てたのは、氏の尽力があったからだ。

そんな県外から見た「気づき」を、恒吉さんは持っている。


小寺:宮崎は基本、食べ物は何でも美味しいですよね。だからこっちに長くいると、太るんですよ(笑)。

恒吉:そう。あ、でもね、料理人の腕も高いと思います。あんまりそういう感覚がないのかもしれないですけど、すごく美味しいと思います。

小寺:それから、珍しい食材があるじゃないですか。東京にいたらそんなに量を食うものじゃない、みたいな高級食材、例えばハモとか、ああいうやつを捌ける人って、そのへんにごろごろいるじゃないですか。

恒吉:そうですね。宮崎は実はハモが獲れるところですから。魚も美味しいんですよね。全然県外の人には知られてないけど。

小寺:そうそう。魚が美味い。あとは鶏も美味いし、豚も美味いし、宮崎牛もあるし。

恒吉:牛と鶏は有名なんですけれども、豚肉が相当美味いです。それは餃子にも反映されてるんでしょうけども。豚肉のレベルの高さはちょっとすごいと思いますよ。

小寺:あんまりブランドが立ってないんですけど、だから宮崎は豚肉が安いですよね。僕、東京から宮崎へ戻ってきて、ここで生活してるわけですけど、スーパーで売ってる食材の価格バランスが、宮崎はちょっとおかしいですよ。

恒吉:ああ。

小寺:というのはね、手羽とか、スペアリブとか、ああいう食肉の端材みたいな食材が高い。でも東京・埼玉だと、スーパーではああいうものってみんな食べないから、でっかいパックで400円とか、398円とかぐらいで、投げ売りみたいな感じで大量に買えるんです。

恒吉:へえ。

小寺:やっぱりね、宮崎って、店がああいう動物の部位の端材みたいなのをばんばん消費するじゃないですか。だから、スーパーにほぼ流通してこない。

恒吉:ああー。ホルモンとかもね、ホルモン焼き屋もめっちゃ多いですもんね。

小寺:そうそう。だから宮崎では、スーパーではそんなに出回ってない。

恒吉:出回ってないですよね、スーパーではね。宮崎に来て、ホルモン焼き屋が多いことはけっこうびっくりしました。で、みんな美味しい。

小寺:うん。ホルモン焼きはね、僕が小学校の頃から、通学路に「ホルモン」と書いた看板はいっぱいありました、あちこちに。小学校の近くにもあるんだよ、ホルモン屋が(笑)。

恒吉:だから、「肉食いに行こう」と言ったらホルモン焼き屋が多いですもんね、宮崎の子とかだとね。焼肉じゃない。

小寺:(笑)。

恒吉:「つぼや」とかで、燻されながら食う。めっちゃ美味いし、酒が進む。

小寺:七輪でね。モウモウと煙が。ああいう店は確かに多いですね。七輪で自分で焼く店って。

恒吉:まあ、ちょっとね、小汚い感じの店がいくつかあって。

小寺:そこがいいんですよね。

恒吉:そうそう、いい感じの。家族亭とかもいいしね。すごく楽しい。

■焼酎文化圏ながら…

恒吉:だから本当に移住してきたばっかりの時には毎日飲み歩いてて。……貯金が底をついた、という。

小寺:飲み歩いて(笑)。

恒吉:一カ月ぐらいで……。1万円にぎりしめると、めっちゃ腹いっぱいで、すっげ楽しい。

ここから先は

4,331字 / 1画像
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?