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「海外渡航」の今(6)
PC/IT系ライターの矢作晃さんにお話しを伺ってきた「海外渡航の今」も今回で最終回。今回はホテルからの自宅待機篇である。
待機期間中は、「MySOS」というアプリをインストールしておく義務があり、GPSで場所を特定されることになる。以前はLINEによる報告義務だけだったのだが、LINEのデータが国外に出ているという話になり、それまで厚生労働省内で救急通報のためにリリースされていたアプリに急遽、位置確認機能をくっつけたという状況である。誰のためのSOSなのかと、アプリの名前に疑問を持たれる方もあるだろうが、実はそういう事情なのである。
確認スケジュールとしては、朝8時過ぎに位置確認。9時から10時にかけてAIによる自動のビデオ電話が入って、30秒間の録画が行われる。さらにその日の健康状態の確認報告要求が入り、11頃に再び位置確認。
そして午後にう一回位置確認が来て、だいたい4時前後にまたAIビデオ電話。そしてその後にもう一回位置確認が来る。
夕方5時を過ぎるとピッタリと連絡が途絶えるのだが、動作自体も公務員の出勤タイムとリンクしているわけである。逆に夜にこそっと飲みに出たりしてもわからない。
そもそも帰国して2回もPCR検査して陰性なのに、そこまでする必要があるのか、また仮に感染していたとしてもそのようなチェックで本当に拡大が防止できるのか。
帰国後はこうした謎だらけの運用に、強制的に巻き込まれる。
小寺:で、そこから自宅待機なわけですよね。
矢作:そうですね。ここまでで3日目が終わる感じじゃないですか。その時点で、自主隔離が14日(当時)あると。
小寺:うん。
矢作:基本的には部屋にいなくちゃいけなくて、不要不急の外出はダメなんだけど、まあ食料品とかを買うのはギリセーフ、みたいなことは書いてあるんですよね。
小寺:なるほどね。
矢作:ただまあ、痛くもない腹を探られるのもイヤなので、僕は一歩も出てないというか。ただ、縦の移動はしてます。マンションなので。
小寺:一階までは行くと。
矢作:郵便ポスト、集合ポストまでは行って、ポストを漁ったり、ついでに、マンション内でゴミを出せるので、ゴミを出したりはしてますね。
小寺:ああそうか。ゴミ出しとかもしなきゃいけないもんね。一歩も出るな、というわけにはいかないよね。
矢作:ホテルじゃないので、そこは厳しいことはぎりぎり言わない、ぐらいの感じ。ただ、MySOSはちゃんとGPSを見てるっぽくて。
待機ホテルからいったん成田に行ったじゃないですか。で、待機ホテルと成田は離れてるわけですよね。
小寺:もちろんそうですね。
矢作:そしたら警告が出るんですよ。
小寺:それはちょっと、理不尽じゃないですか(苦笑)。お前が出ろ言うたんじゃろが、みたいな。
矢作:そうそう(笑)。理不尽だとは思う。成田にいると警告が出るんですよ、「あなたは待機場所から外れてるから直ちに戻りなさい」みたいな。
それでハイヤーに乗っている時にビデオ通話がかかってきて。しょうがないから出た。
小寺:「どこにいるんだお前」と。
矢作:しょうがないからタクシーの中で映ったんですけど、タクシーの中だし、夜の6時だし、真っ暗じゃないですか。真っ暗のまま30秒映ってて、これはどういう判定になるんだろうな、みたいな。
小寺:(笑)。
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