小寺の論壇:ネタバレサイトはなぜ「成立」するのか
先週多くのメディアで取り上げられたニュースが、漫画の「ネタバレサイト」の摘発であった。
・「みんなやってる」許さない=著作権侵害、狭まる包囲網―官民連携、摘発相次ぐ
ネタバレサイトなるものは映画やゲーム、小説など、エンディングまで行くのに時間がかかるコンテンツを要約するものかと勝手に思っていたのだが、今回摘発されたのは、マンガのセリフや情景などを文字起こししたものだという。
マンガというのは、文章で情景描画を読み取るのが面倒であるがゆえに図画でそれを示すことが目的だろうという認識だったのだが、その図画で示されたものを文章にするというのだから、実に回りくどい。セリフはもともと文章ではあるのだが、マンガページ内に図画として貼られているので、それを書き写すにはそれなりの手間がかかるだろう。
一方で読み手側としても、マンガを文字化したものを読んで何が面白いのか。そんな苦労するなら最初から漫画読め、というのが最初の感想であった。
タダでマンガが読めるということで、漫画村のようなデッドコピーのサイトが立ち上がる理由はわかる。だがこうしたまわりくどいネタバレサイトの需要とはなんだろうか。
■どのように作られているのか
「マンガ ネタバレ」で検索すると、多くは先週のニュース記事だが、それに混じって未だに運営を続けているネタバレサイトがあることに気づいた。
調査のために中に入ってみると、複数のマンガの「ネタバレ」を掲載している。試しに「呪術廻戦」のネタバレを見てみると、執筆時点での最新話が「173話」となっていた。
そこでコンビニで少年ジャンプの最新刊(2022年9号)を購入し、最新話を調べてみたところ、173話であった。まさに最新話をタイムラグなく掲載していた。
ネタバレサイトの中身を見てみると、シーンの描写のようなものはほとんど見当たらない。
“〇〇が「xxxxxxxxxxx(セリフの書き起こし)」と言うと、△△が「xxxxxxxxxxxxxxxxxxx(セリフの書き起こし)」と返す。”
みたいな文章とト書きの書き起こしが延々続く。そしてその合間に、マンガのキャプチャが貼られている。全カットではないが、見開き1ページにつき1カットぐらいのペースである。
カットを拡大してみると、印刷のにじみやゴミなどは見られないし、グラデーションも綺麗なので、おそらくデジタルデータからスクリーンショットなどで抜いていると思われる。
ここから先は
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?