政策保有縮減・売却

金融庁、損保4社に政策株売却要求(2/10 日経新聞)

金融庁が損害保険大手4社に政策保有株の売却を加速するよう求めたことが9日、明らかになった。4社合計の政策保有株は延べ5900社、6.5兆円(時価ベース)でトヨタ自動車や旧財閥グループも含まれる。株の持ち合いを通じた企業とのもたれ合いが一連の不正行為の温床になったとみて、踏み込んだ削減を求める。

損保ジャパン、政策保有株をゼロに(2/15 日経新聞)
損保ジャパンHDは15日、傘下の損害保険ジャパンが抱えている約1.3兆円分の政策保有株式をゼロにすると表明した。株の持ち合いを通じた企業とのもたれ合いが保険料の事前調整行為の温床になったとして金融庁から売却加速を求められていた。東京海上日動火災保険も同日、ゼロにする可能性を示唆した。

政策株、MS&ADは売却加速 3グループ、6.5兆円保有(2/16 日経新聞)
SONPOHDが政策保有株をゼロにする方針を打ち出した。東京海上HDもゼロ化を示唆し、MS&ADインシュアランスグループHDは売却ペースを速める。3グループの保有する政策株は自動車や商社など時価ベースで6.5兆円ある。巨額の株売却の進め方や、売却で得る資金の活用方法にも関心が寄せられる。

【政策保有とは】

政策保有株は企業が純粋な投資ではなく、取引先との関係維持や買収防衛といった経営戦略上の目的で保有している株式。 1960年代ごろから広まった日本特有の仕組みで、株式を相互に保有しあう「株式持ち合い」の形が多い。 片方の企業だけが保有する場合もある。

政策保有株式には海外投資家を中心として機関投資家に極めて厳しい評価が多い。 その理由は、まず、議決権が十分に機能しないリスクである。 政策保有の株主は事業・取引関係を優先するため、現経営陣を支持し、コーポレートガバナンスなどを重視して議決権を行使しないことが想定される。

【議決権行使 政策保有】

政策保有株を理由に経営トップへの反対が膨らむ可能性がある。政策保有株が純資産の2割以上なら取締役選任案に反対といった基準を機関投資家が導入したためだ。

米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)が純資産比20%以上でトップ選任に反対を推奨する。米グラスルイスは同10%以上とより厳しい。

京セラや大成建設など少なくとも約160社で、海外投資家に影響の大きい議決権行使助言会社が株主総会での経営トップ選任に反対を推奨する水準にあることが分かった。

東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)1倍割れ解消へ資本効率の改善を求めるなか、削減余地の大きい企業は対応を迫られる。

政策保有の多い企業・・三菱UFJ、三井住友F、トヨタ、MS&AD、みずほ、東京海上、京セラ、SONNPO、三井住友トラスト、京都銀行、豊田織機、りそな、NTT、三井不動、デンソー、TBS、三菱商事など

【トヨタグループ】

2023年11月1日、トヨタ自動車は中間決算説明会において、資本戦略の一環として、政策株の縮減継続に加え、グループ株式の持ち合い見直しを明示した。

2023年11月29日、自動車部品メーカー大手のデンソーは、トヨタグループを中心とした政策保有株式の縮減方針を明らかにし、同社が保有するアイシン株や豊田自動織機株などの特定投資株式の一部(保有時価約5200億円、2023年9月末時点)を対象に、保有縮減を進めるとした。

トヨタ自動車と豊田織機、アイシンの3社は29日、デンソー株を売り出すと発表した。合計で自己株を除く発行済み株式数の10%にあたり、29日の終値ベースで約6700億円に相当する。同年12月に同社はトヨタ自動車グループの日野自動車や豊田合成など3社の全株式を売却したことがわかった。売却額は足元の株価で換算すると約50億円に相当する。

【東証改革】

「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を東証が昨年、上場企業全社に促した。
そうした事がきっかけで、政策保有縮減・売却が進む。

【エリオット】

米投資ファンドのエリオット・マネジメントが2024年2月に三井不動産の株式を2%以上取得し、1兆円の自社株買いを求めている。三井不動産が保有する東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド株の売却も求めている。(政策投資売却を促す)

また、同社は2023年1月に大日本印刷(DNP)の株主に名を連ねた事がわかった。エリオットはDNPに自社株買いの積極化や広大な保有不動産の売却に加え、株式持ち合いで膨らんだポートフォリオの迅速な処分を迫った。
DNPは同年3月に、2024年3月期から始まる3年間の新中期経営計画の骨子で、資本効率の向上に向けて3000億円程度の自己株取得を最大5年かけて実施する計画を明らかにした。

日本企業に対し自社株買いの実施や政策保有株式の売却など株主価値の向上を求めるアクティビスト(物言う株主)ファンドの動きが活発化している。

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