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カモにハマった話

はじめに
 私はカモが好きです。
 理由はいろいろありますが、大きくて、小鳥と比べると動きがゆっくりで、近くで見れることも多いため観察しやすいことや、亜種含めた種類や羽衣を網羅した日本語の図鑑(決定版日本のカモ識別図鑑)があるため、初心者でも雌雄成幼や羽衣の識別がしやすいということが主な理由です。
 まだまだカモ屋と名乗れるほど雌雄成幼や羽衣の識別が得意なわけではありませんが、今では基礎的なことは概ね分かるようになってきましたし、昨年は恐らく世界初と思われる雑種を発見することができました。
 そんな私が、カモにハマったきっかけについてお話したいと思います。

なんか変なマガモ

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 忘れもしない2017年12月2日。"そいつ"を見た最初の印象は、「何この顔ハゲてるマガモ?」です。写真もその日は2〜3枚しか撮らず、同じ場所にいたマガモの雄化に夢中になってました。
 当時の私をぶん殴りたい。バカか。アホか。
 
Twitterでこの写真をあげて呟いたところ、この個体は数年前からこの場所で確認されているマガモとヒドリガモの雑種であることが分かりました。加えて、かなりレアな組み合わせであることも。私はこの個体について、Twitterの人から"マドリ(間取り・ガモ×ヒドリガモ)ガモ"と言われたことから、愛称で"マドリ"と呼ぶことにしました。

世界が変わった日
 
初めてマドリを見てから2日後の2017年12月4日、私は再度マドリがいた場所を訪れました。幸いなことに、まだマドリは同じ場所に滞在中で、私は芝生に腰を下ろして、ゆっくりと観察することにしました。

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かわいい。きれい。なにこれ。
 マガモ譲りの緑光沢のあるまるっこい頭と、ヒドリガモ譲りの白い雨覆。マガモよりも柔らかく優しい色合いのレモン色の嘴に、長く伸びた尾羽。両親の長所と、足して2で割ることでより魅力的になる特徴をめいっぱい詰めたような、とても美しい雑種だなと思ったのです。顔がハゲたマガモとか思ってごめんなさい。
 そして何よりも感動したのがこちら↓

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はぁぁぁぁぁエモい…。

 翼鏡が外側にいくにつれ狭くなっていくのがヒドリガモに似ていて、でもヒドリガモのような単調な緑色ではなくて、オーロラのようにグラデーションがかった翡翠色がとても美しくて。ヒドリガモを彷彿とさせる最内次列風切と最外三列風切も最高。雨覆もヒドリガモのように白いけど、ヒドリガモよりも白と灰褐色の境界ははっきりしていなくて、それがまた良い。マガモより派手でなく、ヒドリガモより鮮やかな橙色の脚もかわいい。良すぎか。なんだこれは。

他にも面白いカモがたくさん。
 
幸運なことに、マドリがいた場所には、他にも面白いカモたちがいたのです。その子たちも、私がカモにハマった原因のひとつです。

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(手前)マガモ雄化

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(手前)マガモ×カルガモ♂

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ヒドリガモ×アメリカヒドリ♀

ごく普通のカモでも魅力的
 
ここまでは変なカモの話ばかりしてきましたが、変なカモたちを観察していると、自然とその周りの、いわゆる"普通種"と呼ばれるカモたちにも目がいくわけです。
 マドリの近くにいたのは、主に、カルガモ、ヒドリガモ、マガモでした。その中でも、ヒドリガモはとてもかわいいのです。

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 短い嘴も、その嘴から発せられるぴぅい!という高い声も、とってもかわいい。体の大きさも、マガモやカルガモと比べると随分小さくて、カモ界のアイドルです(※個人的な評価)。
 最も身近で見られるマガモやカルガモだって美しい翼を持っていて、改めてみるととても魅力的です。

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 そんなこんなで、世界が変わるような美しい雑種との出会いと、面白いカモたちとの出会いを果たし、普通種の魅力を再確認した私は、ずぶずぶとカモ沼に落ちていくのでした。