【ネタバレあり】スターウォーズEP9を大いに語る。

遠い昔、遥か彼方の銀河系で…
宇宙をまたにかけたスカイウォーカー家のお家騒動が幕を閉じた。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ネタバレ注意。
ネタバレ注意。
ネタバレ注意。
ネタバレ注意。
ネタバレ注意。


その前に前作をすこし語りたい。
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(ep8)は大・不・評。専門家からの評価は高かったが、コアなファンには受け入れられなかったようだ。
しかし、私はep8はディズニースターウォーズの最高傑作だと思っている。作品の持つメッセージを確かに感じ取ったからだ。

ep8では、かつての英雄たちがばたばたと退場する。これは世代交代を示している、と思った。
ラストシーン。少年がフォースを使ってほうきを手に取る。流れ星を見て、ほうきをライトセイバーかのようにぎゅっと握りしめる。
スターウォーズは、子供たちのもの……いや、フォースを信じる君たちのものだ、というメッセージを感じた。
このラストシーンは泣いた…。スターウォーズごっこをやっていた私にとって、このシーンは昔を思い出させてくれる。ダースモールの真似ばかりしてたけど。
類稀なる力を持つレイは、誰の子でもなかった。これは、レイが新たな始祖となる可能性を秘めていることに広がる。

まとめると、Ep8は「世代交代」「子供たちの物語」「スカイウォーカーのいない新たな物語」というメッセージが込められている。ここまでメッセージ性のあるEpは、シリーズ中には他にないのでは?

Ep9の話に戻る。
先に言うとダメだった。点を付けるなら10中の4くらい。ちなみにEp8は10中8。

以下、ここがダメだよEp9!!

1.画面が暗い!
画面が暗く、光の点滅が激しいシーンが多数ある。光過敏性発作やてんかんの症状を引き起こす可能性があると、ウォルト・ディズニー公式が注意を呼び掛けたほど。
演出なのだが、暗くてピカピカ光ってる画面はなにをやってるかわかんない。
CGっぽさを隠すために暗い画面にしているのか、カラースキームに忠実なのか。憶測だが、視聴に耐えられない演出にはブーイングを付けたい。

2.かつての英雄たちに頼りすぎ
死んだものたちが霊体化して生者と交信する場面が多い。前作の世代交代のメッセージをなかったことにするのか!
ハンソロまで出てきたときは唖然とした。
霊体化で出てくるなら、生者に寄り添ってほほ笑むくらいでいいのでは?

3.フォースが万能すぎ
カイロレンが、レイの首にかかった飾りを引きちぎったり、物理的に干渉までできるようになってる。
レイは治癒能力を覚えた。
ライトセーバーを別の場所に瞬間移動させたりもする。
ルークが命を懸けて行った生霊化を、カイロレンはあっさり使う。生霊カイロレンは、レイと剣劇戦まで行う。
フォース万能化はEp8から気になっていた。Ep8絶賛勢でもこの点はキライ。
フォースはなんでもできる、ってのはまだいい。ただ、キャラクターの成長具合とフォース能力がかみ合っていないように思える。

4.レイのほんとうの出自が判明した
レイは……パルパティーンの孫だった!!無名の少女が新たな始祖となる物語はこれで途絶えた。やっぱりお家騒動。
ただ、レイが新たな皇帝になるのでは?という予想が生まれ、それが最後までどう転ぶかわからない緊迫感を与えてくれた。
Ep8のメッセージはなかったことにされたが、皇帝の孫設定はうまく機能していたと思う。

5.剣劇戦がいまいち
主にカイロレンとレイの一騎打ちだが、男性であるカイロレンと、女性であるレイでは動きのメリハリが違い過ぎた。
レイ役のデイジーリドリーはよく動けている。Ep8でのカイロレンとの共闘は良い。シリーズ中の上位に食い込む剣劇戦だと思う。
ただ相手がカイロレンだと、カイロレンが手加減しているように見えてしまう。このフィジカルの差をなくすために、カイロレンも負傷箇所が増えて動きが鈍っているので、ちょっとのっそりした剣劇戦になっている。
レイの動きだけ抜いて速度を上げたり(編集で)、ダブルブレードライトセイバー(ダースモールと同じ。レイは棒術が得意なので相性良さそう)で、剣の軌跡を派手にしたり、もっとかっこよくできる余地はあったと思う。
カイロレン単独の剣劇戦は、画面が暗くてなにやってるのかわかりにくかった。
私は、真似しようのないフォースより、棒さえあればすぐに真似できる剣劇戦がみたいんだ。

6.フィンにテーマがなかった
帝国の兵士からレジスタンスに転向したフィンは、レジスタンスという存在を最も体現できる存在になりえるはずだった。
Ep8でトルーパーの大ボス「ファズマ」を倒したことで、彼の帝国への因縁は決着。あとは彼がレジスタンスの将軍になれば、かつてトルーパーだった男がレジスタンスのリーダー、という胸が熱くなる生い立ちのキャラになれる。
しかし「将軍になる」というテーマは、フィンにはなかった。ポー・ダメロンと共に将軍にはなれたが、テーマがないせいでただの昇進に見えてしまう。
フィンが指揮をとったり、仲間を鼓舞するようなシーンをちりばめてあげれば、「将軍になる」というテーマは達成できただろう。レイ一行とは別行動、という犠牲を払うことになるけれど。
ただ、喧嘩の仲裁をしたり、仲間が弱さを見せたときにやさしく寄り添う姿は良かった。レジスタンスのオカンにふさわしい。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

以上、6点がEp9のダメダメポイント。ほんとはもうちょっとある。
まとめると、Ep8が示したメッセージである
「世代交代」
霊体化した英雄たちがまだ舞台に上がってくる。

「子供たちの物語」
暗かったり、光過敏を引き起こす画面作り、真似したくなるようなワクワク感のない剣劇戦。
特に画面作り。あのディズニーが子供に見せられない映画を作るとはな!

「スカイウォーカーのいない新たな物語」
誰の子でもない、というレイの設定はなかったことに。


これらのメッセージを打ち消した作品と言える。
Ep8絶賛勢からすればがっかりぽんだぁ。さらなる不評を恐れて軌道修正が図られたように見える。
ただ、鑑賞後の喪失感は半端じゃない。帝国は滅び、銀河に平和が訪れる。スターウォーズという物語にひとつの区切りがついた。

レイはルークの故郷を訪ねる。ルークの家の前で、ルークとレイアの愛剣を埋葬した。レイが自分のライトセイバーを抜く。金色の光。何者かに声をかけられる「あなたは誰?」
「私はレイ」
ふと振り返るとルークとレイアがそこにいた。
「……レイ・スカイウォーカー」
レイは、スカイウォーカーの名を背負った。新たなスカイウォーカーの物語がはじまるのかもしれない。

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