ブレイク・スナイダー・ビート・シート(B.S.B.S)でライオンキングを語る。

 ライオンキング('19)を観てきました。ストーリーはアニメ版とまったく変わりません。B.S.B.Sでライオンキングの物語を解析します。

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①オープニングイメージ
 地平線から日が昇る。朝日に照らされる雄大なサバンナの景色。何かに導かれるように、動物たちがプライドロックに向かう。
 玉座に佇む現王ムファサ。シンバを胸に抱くサラビ。ラフィキがシンバを抱きあげ、玉座でシンバを掲げる。動物たちは歓喜し、平服する。

 薄暗い岩穴でネズミを捕るスカー。王の執事ザズーが現れてスカーに問う「なぜ儀式に参列しなかったのですか?」
ムファサも現れて詰問する。スカーは知らなかったでやり過ごす。
 ここでムファサとスカーの関係(兄弟)、生い立ち(以前戦ってスカーが敗れた)、スカーに反目の意思があることがわかる。

②テーマの提示
 サバンナのタイムラプス。時の流れを表現。シンバは少年ライオンに成長。ムファサを揺り起こしてパトロールに行く。
 パトロールの中でムファサは王とは何かを教える。色々と教えてもらったが、幼いシンバは王は何でもできる(暴君的な)存在だと解釈する。

 サズーが知らせを届けに来る。ムファサは現場に向かい、シンバと別れる。シンバはプライドロックに戻る。
 ここで王とは何か、どうやって王になるのかがテーマとして掲げられる。

③セットアップ
シンバはスカーに禁忌の場所<象の墓場>を教えてもらう。

④きっかけ
母親たちの群れに戻ったシンバ。サラビに毛づくろいされるも、もう自分でできると大人ぶって離脱。ナラを誘って<像の墓場>に行く。

⑤悩みのとき
 王になればすべてが手に入る。しかし、いまは子供だからとたしなめられる。いずれ大きくなれば……っ!子供らしい悩みを抱えるシンバ。
 ネガティブな場面にならないよう、ミュージカル調で明るく表現。ついでに<象の墓場>への道中も描く。サブプロット(Love)も表現されている。

⑥ターニングポイント1
 象の墓場でハイエナたちに遭遇、襲撃される。間一髪のところでムファサに助けられる。

⑦サブプロット
 プライドランドへの帰路。ムファサは息子と二人きりになりたいと言い、ザズーとナラを先に帰らせる。
 ムファサは厳しくも優しくシンバを説教する。

⑧お楽しみ
 スカーは象の墓場に行き、ハイエナたちと共謀を企てる。
 父と仲直りする方法を教えてやると言い、スカーはシンバを谷にいざなう。シンバを谷に残す。
 スカーはハイエナたちをけしかけ、ヌーたちを暴走させる。

⑨ミッドポイント
 シンバは暴れ狂ったヌーの大群に襲われる。
 スカーはプライドロックに戻り、ムファサを呼び出す。スカーとムファサは谷に急行する。
 ムファサはヌーの大群からシンバを救出するも、自身だけヌーに突き飛ばされてしまう。崖に飛びつくムファサ。崖を這い上った先にスカーが待ち構える。スカーに突き落とされる。
 「父さん!」崖から落ちるムファサを目撃するシンバ。シンバの位置からは死角になっており、スカーの仕業だと知る由もなかった。

 ヌーの大群が去り、静寂になった谷。
シンバは力尽きたムファサを発見する。スカーにサバンナを出ていけ、と告げられる。その場を離れるシンバ。ハイエナたちに追われるも、サバンナを脱出したシンバ。

⑩迫り来る悪い奴ら
 スカーが王を名乗り出す。プライドロックにハイエナたちがたむろする。暗雲が空を覆う。

⑪すべてを失って
 砂漠で力つきるシンバ。ハゲタカが肉をついばみに集まる。ティモンとプンバがハゲタカを追い散らす。
 シンバは彼らの住むオアシスに連れていかれる。

⑫心の闇
 オアシスで自由気ままに生きるシンバ。体も立派な大人に成長した。しかし、心には過去の過ちを引きずっている。
 オアシスでの暮らしは自由きままだが、シンバの物語は静止している。この時シンバは死んでいるのと同然だ。

⑬ターニングポイント2
 オアシスでナラと出会う。ナラは助けを求めてここに来たと言う。しかしシンバはここの暮らしが良いと言って、ナラを追い返してしまう。
 ラフィキに泉に連れていかれる。水面にはムファサの面影が出てきたシンバの顔が映る。うごめく積乱雲がムファサの顔を作り出す。ムファサは、シンバを子に持てたことを誇りに思う、と語りかける。シンバは決心してプライドランドに戻る。

⑭フィナーレ
 シンバはナラ、ティモン、プンバの4人で荒廃したプライドランドに戻る。
 スカーと対決。ライオンとハイエナの大乱闘。岩山の上で一対一になり、スカーを叩き落とす。地に落ちたスカーはハイエナたちに攻撃され絶命する。

⑮ファイナルイメージ
 プライドランドに緑がよみがえり、動物たちが帰ってきた。動物たちがプライドランドに集結する。
 王となったシンバと、妃となったナラが玉座に並んで立つ。ラフィキが間をぬって玉座に立ち、子ライオンを掲げる。シンバとナラの子供だ。

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 執筆開始からしばらく経ってしまったので、アニメで復習しました。私は('19)版の方が良い印象。セリフが多いので、より人物(動物)の内面が描かれていたと思います。特にターニングポイント2の魂ムファサの説教。アニメでは王としての自覚を持て、と説教臭いですが、('19)版ではお前は私の息子だ、お前を子に持ててよかった、と言います。王としてではなく、父として息子に語りかける。人間味が出ていてよかったです。

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