忍殺TRPGリプレイ【スニーク・イン・ブッダ・テンプル】
ドーモ、@RIGNMです。これは下記のソロアドベンチャーのリプレイです。ネタバレにご注意ください。
成長チャンス
◆ポイズンシャドウ(種別:ニンジャ)
カラテ 4 体力 4
ニューロン 4 精神力 4
ワザマエ 1 脚力 2/N
ジツ 3 万札 11
近接/射撃/機先/電脳 -/-/-/-
回避/精密/側転/発動 -/-/-/-
緊急回避ダイス
即応ダイス
◇装備や所持品
・ZBRアドレナリン注射器:味方蘇生(使い切り)
◇ジツやスキル
☆カナシバリ・ジツLv3:毒系
○生い立ち:サイバネ賞金稼ぎ
◉知識:危険生物
背景タイプ『反骨心や嫌悪』
マキモノを奪い取れ
ポイズンシャドウはソウカイ・シンジケートの命令を受け、とある高層ビルの屋上へ向かった。
そこにはホーリースマイト・オブ・ブッダ・テンプルと呼ばれる、古く由緒正しい寺院がある。
そこに安置されている、ミヤモト・マサシの記したマキモノを取りに行け。ソウカイ・シンジケートの首領ラオモト・カン直々の命令に、悪魔めいた硫黄臭のニンジャは「ハイヨロコンデー」と従った。
なお殺しは最低限にせよ、と出る前に釘を刺された。彼が時折気に入らないモータルをカナシバリ・ジツで窒息死させていることは、当然ソウカイヤには筒抜けだ。もしブッダ・テンプルでも同じかそれ以上に乱暴をすれば、隠蔽が大変だし、上司の話も聞けないサンシタということで大きなビズも回されない。それは裏社会でもっと上を目指したい彼にとって、面白くない事態だった。
彼はZBRアドレナリン注射器をスピンする手を止め、寺院の様子をうかがった。
マキモノは敬虔なブディストである住職が本堂に収蔵しているというところまでわかっている。寺院の中は一般的な警報装置に加えて、サイバネアイと聖職者用拳銃で武装したサイバーボンズが見張りを行っている。
しばらく観察していると、警備システムをハッキングして警報装置を黙らせるだけで、サイバーボンズの巡回ルートに空いた穴から本堂に忍び込めそうだということがわかったので、ポイズンシャドウは両指の関節を鳴らした。
警報装置が停止し、警備ボンズが遠くへ離れたタイミングで、ポイズンシャドウはしめやかに本堂の正面へ侵入した。
本堂の惨事
本堂の中は何百本ものローソクが灯り、奥には大きなブッダ像がある。ポイズンシャドウはその見咎めるような視線を思わず手で払うようにして遮った。
ブッダ像の前には棚があり大量のマキモノが安置されている。住職がモクギョを叩きながら念仏を唱え、横ではミコー・プリエステスが祈りを捧げている。
どれが目標となるマキモノか、ポイズンシャドウにはわからない。目の前の住職にインタビューするしかないと、隠れるのをやめた。
「ドーモ、初めまして。ポイズンシャドウです」彼はアイサツを行った。「アイエエエエ!?」「ニンジャ!? ニンジャナンデ!?」住職とミコー・プリエステスは恐怖に震えている。
「ミヤモト・マサシの記した兵法書のフラグメントがここにあるだろう。そいつをよこせ。さもないと……」
ポイズンシャドウは自分のジツを見せつけさらなるニンジャリアリティショックを与えることにした。だが彼の毒ガスは吸った者の呼吸を奪うので、この手の拷問には実際不向きだ。となると……。
ポイズンシャドウは庭に飼われていたウサギを捕まえると、それにカナシバリ・ジツを吹いた。ウサギは窒息し痙攣してほどなく息絶えた。「どうだ!」住職やミコーは「マキモノを渡さねば次は自分がこうなる」と悟り、ガチガチと歯を鳴らす。
かくしてポイズンシャドウは目標のマキモノを奪い取ることに成功した。そして……気になるものを発見した。デジタル賽銭箱だ。「アイエエエ! やめてください! それだけは!!」住職が泣きつく。
ポイズンシャドウはわざとらしくジツを使うふりをして住職を牽制しつつ、デジタル賽銭箱を強奪した。
キャバァーン! 電子音が鳴り響き、どんどん【万札】が湧き出してきて、ポイズンシャドウの口座に送られていく。「アイエエエーエエエエエ!」「アイエエエ!」住職とミコーが泣き叫び、ブッダ像が盗人を咎めるように見下ろす。
「どうだ? 殺しは最低限にしただろうが? アー?」
ポイズンシャドウは親指で首を掻き切るジェスチャーでブッダ像を挑発し、満足げに本堂を立ち去る……
「アイエエエ…………アイエエエ!!」住職の叫びがむなしくこだました。おお、ブッダ!
エピローグ
「ムハハハハハハ! よいぞ! 見事な働きであった!」
見事マキモノを持ってトコロザワピラーへ報告に上がったポイズンシャドウは、ラオモトから高い評価を受けた。
報酬を受け取り、住処に帰る途中でふと民家の壁に貼り付けられたブッダのポスターと目が合う。
ポイズンシャドウはブッダが「インガオホー」と呟いたような気がして、思わずわが耳を疑ったが、その残響はすぐに街の喧騒にかき消され、どうでもよくなった。
【スニーク・イン・ブッダ・テンプル】終