父の日になぜ、ひまわり? 父の日にひまわりが使われる本当の理由と歴史
父の日にひまわりが使われる理由を検索すると、ひまわりの花言葉に関する記述が出てきますが、それだけで父の日にひまわりを使うのでしょうか?
そんな疑問を元に、詳しくその理由に迫ってみました。
はじめに
父の日は、父親への感謝を表す特別な日として広く認知されていますが、日本ではこの習慣が始まったのは意外と最近のことです。
そして、日本の父の日には一風変わった風景が見られます。それが、ひまわりの花束です。
では、なぜひまわりが父の日の象徴となったのでしょうか?それにはどんな歴史があるのでしょうか?
この記事では、その魅力的な歴史を紐解いていきます。
1909年 父の日の由来
父の日は、父親への感謝を表す特別な日です。これはアメリカから始まった伝統で、ドッド夫人が母の日を手本に、父親への感謝の象徴として白いバラを贈ったことが起源です。
ドット夫人の深い思いが多くの人を動かしたのです。
1981年 父の日の日本への導入
父の日設立から72年の1981年に設立されたFDC(日本ファーザーズ・デイ委員会)が父の日を日本に導入しました。
そのきっかけは、当時の一般社団法人日本メンズファッション協会理事長、伊藤恭一氏がニューヨークで開催された国際会議に出席したことでした。
その際、伊藤恭一氏はアメリカで行われている父の日のキャンペーンの素晴らしさに触れ、これを日本でも実現すべく動き出したそうです。
そして設立の翌年、1982年に、FDCは「黄色いリボンキャンペーン」を行い日本においての父の日の普及が始まります。
黄色のリボン、理由の考察
何故黄色のリボンなのか?このチョイスにはFDCのサイトに掲載されている一文をヒントに考察をしてみました。
当時、デザインやファッション、演劇などはヨーロッパに強い影響を受けていました。日本で何かを決める際もヨーロッパにある伝統をバックボーンにし権威性を持たす事も一般的だったと思います。
なので、黄色いリボンもまたイギリスを由来にしているのでは無いかと考えています。
黄色いバラ、花屋の動き
「黄色いリボンキャンペーン」に合わせて、花業界では父の日のバラとして黄色いバラを用いた花束を取り扱うようになりました。
これによって、母の日のカーネーションの対として、父の日に花を贈る下地が生まれます。
ここまで、父の日の由来、父の日の導入などを追ってきました。
しかし、まだひまわりについてはどの文献にも出てきていません。
父の日のひまわりについて語る前に、ひまわり業界に起きた一つの品種について触れる必要があります。
1991年 ひまわりの革命 サンリッチの息吹
切り花のひまわりの世界に、1991年に一つの革命が起こりました。その革命の名前は「サンリッチひまわり」。タキイ種苗株式会社が生み出した革命はひまわりに新しい楽しみ方を生み出しました。
そして、その背景には、あるブリーダーの情熱と、緻密な育種の時間と努力がありました。
「サンリッチひまわり」誕生の背景
サンリッチの生みの親である羽毛田氏は、当時のひまわりの状況をこう振り返ります。
その結果、目の高さで楽しめるような矮性のヒマワリを作ることに成功し、それが「ビッグスマイル」という品種の誕生につながります。
しかし、その過程で羽毛田氏は新たな可能性に気づきます。「花形と草姿のよい高性種、それに無花粉の特性を兼ね備えた品種ができれば、おもしろい品種になる」と。そして、その思いが具現化したのが「サンリッチひまわり」なのです。
国内外でも認められるサンリッチひまわり
サンリッチひまわりは、国内外でその存在感を示しました。国内では取り扱い数量の80%以上、オランダの花き市場ではヒマワリ全体の取り扱い数量の90%以上を占めるという、圧倒的な人気を誇り、切り花として店頭で並んでいるものはこのサンリッチひまわりのシリーズと言っても過言では無いようです。
1994年 ひまわりの一大産地の誕生
サンリッチひまわりの誕生とともに、ひまわりの一大産地となる場所が誕生しました。それが千葉県の房総半島、西岬地区です。
房総半島、西岬地区のひまわり
西岬地区でのひまわり栽培は、1994年(平成6年)に女性を中心とした方々によって始められました。
この地区でのひまわり栽培は、当時のひまわりの品種改良や育種が革命的な発展を遂げていたことが、その背景にはありました。
西岬地区では、「JA安房ひまわり共撰部会」が組織され、16軒の花農家が参加。彼らは東京市場の30%ものひまわりを生産しています。その秘訣は、地元の土壌条件と、各々の農家が持つ独自の知識と技術にあります。
水はけの良い砂地が育てるひまわり
この地区は水はけのよい砂地が特徴であり、そうした環境的な側面が高品質なひまわりを作り続ける要因となっています。
水はけが良いと通常の植物だと水と栄養不足につながるのですが、ひまわりは水を吸い上げやすい特徴があります。
なので水や肥料を与えすぎた肥満のような状態を起こりにくくし、ひまわり自身が水や肥料の吸い上げを頑張る事で細く引き締まった茎になり、道管の中で空洞が少なく日持ちの良いひまわりになるのだそうです。
2009年5月 タキイ種苗株式会社が行うひまわりのPR
サンリッチひまわりの品種を世に送り出したタキイ種苗株式会社は、広く「サンリッチ」を知っていただき、消費拡大につながるようにという目的で、2009年から「父の日にひまわりを贈る」というPR活動を展開しました。
そして、その活動はFDC日本ファーザーズ・デイ委員会との出会いを生み出しました。
詳しくは、
タキイ種苗株式会社 ニュース 2009年5月21日の記事をご覧ください。
2009年ついに、FDC日本ファーザーズ・デイ委員会と、ひまわりとが結びつきます。
そして、ひまわり=父の日の認知を底上げする企画が行われました。
2009年6月 父の日=ひまわりを行った花屋さんの展開
タキイ種苗株式会社×青山フラワーマーケットが手がけたこのキャンペーンは、花屋さんの間でも大きな波紋を呼びました。
青山フラワーマーケットは、全国の各店舗で「父の日にサンリッチひまわりを!」というコラボレーションキャンペーンを展開。強くて元気なイメージのひまわりを父の日のメッセージフラワーとして世の中に提案しました。
また、特に注目すべきは、サンリッチひまわりのアレンジメントを購入すると、ひまわりの種がプレゼントされるという企画です。これは、「花や緑に囲まれた心豊かな生活」を実現するという目的の下、花束と一緒にひまわりの種をまくことを提案したのでした。
詳しくは、
タキイ種苗株式会社 ニュース 2009年6月10日の記事をご覧ください。
父の日のひまわりについての、まとめ
父の日、ひまわりを贈る理由について紐解いてきましたがいかがだったでしょうか?
父の日=ひまわりのイメージは2009年から始まっているんですね。
ひまわりの魅力が心に届いた
この「父の日=ひまわり」キャンペーンが成功した背後には、ひまわりの持つ魅力が大いに関与しています。ひまわりは元気で力強く、明るいイメージが特徴です。
これはまさに、父の日に伝えたい感謝の気持ちや元気を願うメッセージと完全にマッチします。
そして、その象徴的な黄色は父の日のテーマカラーであり、幸せの象徴とされています。一輪のひまわりが持つこの魅力は、感謝の気持ちを具現化する最高の方法となっています。
この一連の動きにより、「父の日=ひまわり」というイメージが定着し、毎年の父の日には多くのひまわりが父親への感謝のメッセージとして贈られています。
黄色い花が伝える、感謝と元気のメッセージ
企業の努力はもちろん、それを可能にしたのはひまわりの持つ魅力と、父の日にお父さんへ伝えたいイメージが完全にマッチしたからこそでしょう。
いつの時代でも、お父さんに感謝を伝えたい、元気になってもらいたい。そんな人々の気持ちがあるんですね。
今年の父の日には是非、サンリッチひまわりの歴史を合わせて教えてあげてみてください。
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