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抱きしめながらこの物語を選んだ

楽曲というものはときに、時勢や個人の心境を反映して、新しい意味を持つようになることがある。
様々な文脈の中で異なる姿を見せる、音楽のそういうところが好きだ。

PassCodeの『STARRY SKY』もまたそういう魅力を持っている。
リリースを挟んで半年間のライブ活動休止という長い温存期間を経て、今日、2020年8月29日、初めてワンマンライブのステージで、人前で披露されるに至った。

変わりゆく世界の中で2人そばに立って、2人で背中合わせで戦い、星空に祈り願う。『STARRY SKY』はそういう絆と愛の曲である。

この曲がドラマタイアップ曲として作られたとき、今のような事態は想定されていなかったはずであることは確認しておかなければならない。にも関わらず今やこの曲は、新しい世界の中で新しい意味を持つに至った。それは、緊急事態宣言よりはるか以前にクランクアップしたドラマ『隕石家族』が、「新しい生活様式」の受容と混乱を描き、まるでリアルタイムに時勢を映し出しているかのような不思議な符合を見せたのとちょうど同じだ。

"Get out sluggish world"

"Get to the genuine world"

鈍く低迷した世界から抜け出して、2人で真の世界へ飛び込んでいく。それは決して逃避ではなく、世界にその在り方を問いかけ続けていくこと。

誰にも予測できない不可抗力によって世界は変容した。ライブが、イベントが、顔を合わせて言葉を交わす機会が、場所が、奪われた。PassCodeはそれを言い訳にしない。

見上げた宇宙をなぞって
見つけた星の名を呼んで
抱きしめながら
この物語を選んだ

例え隕石が落ちてきて世界が終わろうと、私たちが生きる今は、私たちが抱きしめながら選びとった私たちの物語であるべきだ。
誰かのせいにも何かのせいにもしない。PassCodeはいつの間にかそんな強さを身につけた。

想いを託した歌が光になって、地図になって、海を越えて、そして夜空に響く祈りになる。
この先どんな世の中が待ち受けていようと、二人なら、PassCodeとなら、ずっと一緒にいられる。こんなに心強いことがあるだろうか。
先のことなんて何もわからないのに、不思議と安心できる気がした。

困難にぶつかった時は夜空を見上げてこの曲を思い出そう。この歌に込められた答えは、夜空の星と同じようにいつも変わらずそこにあるはずだから。

Whenever you look at the night sky
We all come to think of beautiful starlight
And you feel that we got the truth
Deep in time and space

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