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ミャンマークーデターと共に過ごすカンボジア駐在生活~心のバランスをどう取るか~

2021年2月にカンボジアに到着してあっという間に1年が過ぎてしまいました。カンボジアに赴任する直前に前任地のミャンマーでクーデターが起こり、心が落ち着かず、ようやくバランスが取れるようになってきたように思います。2日前にオンラインでミャンマーのスタッフ達が送別会を開いてくれ、涙でお別れした直後のクーデターに、当初はまさに放心状態でした。

クーデター当日と直後のこと

当日は現地のインターネットが遮断され、スタッフの無事を確認できたのは夕方、この後どうなるのか先が全く見えない中、カンボジアに渡航しなければなりませんでした。到着後、隔離期間中にSNSで見る、ミャンマーの痛ましい写真、デモにも関わっていなかった幼い子どもが巻き込まれ、何かがあるのは常に一般市民。NGO団体が支援した学校が破壊されたニュースには、これまでの活動は何だったのか、、と思わざるを得ず。幸いなことに知っている人達は無事だったものの、離れた地で何もできない無力感に襲われる日々が続きました。
これまで暮らしていた地で、多くの人が犠牲になり、空爆から逃れて穴を掘って生活する姿を知っても、自分は何もできない、何も届けられないということは大きな無力感でした。NGOにいるにも関わらず、なぜ何も届けられないのか、何のために自分はNGOに入ったのかという葛藤もありました。一方でカンボジアでは新しい生活が始まり、カンボジアという国と向き合う必要があり、心のバランスが上手く取れない時があったように思います。

心のバランスが上手く取れない、、そんな時の対処

そんな時どのように対処したかというと、ただただミャンマーのニュースに向き合うことでした。止めようとしても見ずにはいられなかったからです。オンラインで多くの講演が開かれるようになり、改めてミャンマーという国について学び、住んでいるから知った気になっていたと思い知らされました。また、同じ任地にいた方達との情報交換をさせてもらったことも、大きな支えになっていました。
NGOや有志の人達がミャンマー支援に乗り出し、募金活動やクラウドファンディングを実施し始めた時は、積極的に募金をするようになりました。NGOで働いているにも関わらず、それまで他団体の募金にはあまり参加していませんでしたが、どんな活動をなのか理解し、募金をすることが自分の気持ちを相手に託すことに繋がるんだと改めて感じています。

クーデターから1年以上経って、今思うこと

前任地での事業地だった場所は争いに巻き込まれ、人々は今も避難しています。関係者とは連絡が取れ、無事でいることは確認できていると聞いてますが、今後どうなるのかは全く分かりません。そんな中で少しでも支援事業を続けようとしているスタッフ達には本当に頭が下がります。「私達の仕事は困難な状況にいる人達と共に生き、共に学ぶことでしょう。今私達は活動しないといけないのではないですか」といったことを話したスタッフもいたそう。
ミャンマーでの起こっていることから目を離さない、何かのタイミングがあれば支援する、今頑張っているスタッフの無事を常に祈る。できることはこれくらい。だけど、これらを離れたカンボジアですることで、ようやく心のバランスが取れてきている気がします。

暮らしていたミャンマーカレン州パアン。またこの地を踏めることを祈って。


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