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Wikipediaを添削してみた

インターネット百科事典としてお馴染みのWikipedia。

もっともらしいことが書いてあるが、すべてが真実…ということもなく、間違った情報も少なくない。

というわけで、今回は「さんふらわあ こばると」の記事を添削してみた。

冒頭

さんふらわあ こばると
2023年4月13日発の便をもって惜しまれつつ引退した。

まずは冒頭の部分。

さんふらわあ こばるとは、フェリーさんふらわあが運航していたフェリー大阪港大阪南港コスモフェリーターミナル)と別府港を結ぶ航路に就航した。

Wikpedia「さんふらわあ こばると」

ここは特に直すところはなさそう。
しいて挙げるとすれば、もう引退しているので「就航した」ではなく「就航していた」の方が適当では?というぐらいか。

概要

1.就航

さんふらわあの代船として三菱重工業下関造船所で建造され、1998年4月8日神戸(阪神) - 松山 - 別府航路に就航した。

Wikpedia「さんふらわあ こばると」

続いて概要部分。
ここで、いきなり間違いを発見。
1998年4月8日神戸(阪神) - 松山 - 別府航路に就航した」とあるが「こばると」が最初に就航したのは松山寄港便ではなく直行便(大阪‐別府航路)である。

関西汽船(江口寿一社長、本社・大阪市)は八日発の便から別府~大阪航路の(一日二往復)のダイヤ改定をする。新造船「さんふらわあこばると」(九、二五四㌧)就航に伴うもので、神戸に寄港している一往復を別府~大阪の直航便に変更。

大分合同新聞 1998年4月7日朝刊

そのダイヤがこちら。
ちなみに、松山寄港便には「さんふらわあ こがね・にしき」が就航していた。

直行便(さんふらわあ あいぼり・さんふらわあ こばると)
大阪南港フェリーターミナル 19:00発/06:20着⇄別府観光港 06:20着/19:00発

関西汽船のご案内 1998年

というわけで、修正するとしたこんな感じだろうか。

さんふらわあの代船として三菱重工業下関造船所で建造され、1998年4月8日に大阪 - 別府航路に就航した。

東神戸フェリーセンター跡
関西汽船も発着していたが、別府航路ではなく四国方面(高松・徳島)の航路だった。

内容とは関係ない話だが、神戸(阪神)のリンクが別府航路の寄港していた中突堤やポートターミナル、六甲アイランドではなく、東神戸フェリーセンターになっているのは何故だろうか…。

2.松山寄港

続いてはこちら、松山寄港に関する部分である。

松山港への寄港は、下り便が2010年2月、上り便が2011年4月30日で終了した。松山港の抜港により所要時間が約1時間短縮された。

Wikpedia「さんふらわあ こばると」

当初は直行便に就航していた「あいぼり・こばると」だったが、2000年3月1日のダイヤ改定より下り寄港便(大阪‐神戸‐松山‐別府)に就航するようになり、松山への寄港が始まる(上りは直行便のまま)。

2000年3月1日ダイヤ改定時の配船(関西汽船のご案内 2000年)

2008年1月16日のダイヤ改定で、松山寄港便はダイヤモンドフェリー運航便と集約される形で、大阪‐神戸‐松山‐今治‐大分航路という形で再編され、別府を発着する便は直行便のみとなった。ちなみに、直行便には「あいぼり・こばると」、再編された新寄港便には「こがね・にしき」が就航していた。

つまり、別府航路としての松山寄港は2008年1月で終了したということになる。あれ?Wikipediaの記述と合わないぞ??

しかし、新体制は長く続かず、再編された寄港便は2010年1月末で廃止となる。よって、Wikiにある「2010年2月」というのは、この寄港便の廃止のことを指していると思われる。別府にすら行かないこの寄港便を別府航路としてカウントするのはいささか無理があるのでは…。

フェリーさんふらわあ(大阪市)と傘下の関西汽船(同)は8日、別府―松山―大阪のフェリー航路上り便の松山観光港(松山市)寄港を4月末で取りやめると発表した。(中略)昨年1月末に下り便の松山寄港を廃止しており、松山―大阪航路は100年以上の歴史に幕を下ろし、松山と関西を結ぶ唯一の航路が失われることになる。

愛媛新聞 2011年2月9日朝刊

廃止となった寄港便に代わって、2010年2月から別府航路上り便の松山寄港が復活するが、上記の愛媛新聞の記事のとおり、それも長くは続かず、2011年4月末で再び松山への寄港は終了となる。
したがって、上り便の「2011年4月30日」というのは間違ってはいない。

所要時間の部分も検討しておこう。

まずは下り便、松山寄港終了前の所要時間は約13時間半(大阪南港21時発→別府10時35分着・2007年11月)、寄港終了後約12時間(大阪南港18時50分発→別府6時30分着・2008年1月)となっている。松山(と神戸)への寄港が終了したことでおよそ1時間半の時間短縮となっている。約1時間…ではないような…?

次に上り便、松山寄港終了前の所要時間は約13時間(別府18時50分発→大阪南港7時35分着・2010年2月)、寄港終了後約12時間(別府18時45分→大阪南港6時35分着・2011年5月)となっており、こちらはWikiのとおり約1時間短縮されている。

というわけで、松山寄港の部分を修正するとこんな感じだろうか。

松山港への寄港は、下り便が2008年1月15日、上り便が2011年4月30日で終了した。松山港の抜港により所要時間が下り便で約1時間半上り便で約1時間短縮された。

これ以降の部分については、特に問題ないように思うが…

ご覧のように割と間違っていた。

そういうことなので、皆さんもあまりWikipediaの内容を信用し過ぎないようにご注意あれ。

参考

・関西汽船のご案内(1998~2000年)
・フェリーさんふらわあ時刻表(2007〜10年)
・Webアーカイブ(関西汽船、フェリーさんふらわあ)
・「フェリーさんふらわあ 松山・今治減便を検討 原油高要因 1月から上下1便に」(愛媛新聞 2007年11月15日朝刊)


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