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UK : FEET

今年の夏は音楽に忙しかった。
世界各国のシーンでギグをやるために新曲がバンバンリリースされていくのを肌で感じたのは僕だけではないはず。
このパンデミックの中で、UKではまたブリットポップが始まろうとしている。

その中でも注目せざるを得なかったバンド、イングランドはコヴェントリーの5人組、FEET

彼らを知ったのはフルアルバム『What's Inside is More Than Just Ham』

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シングルカットされた曲『English Weather』

うん、いかにもなサウンド感は、UKロックリスナーなら直ぐに感じとれるに違いない。ダルめな雰囲気のボーカルと愉快なサウンドメイク。

English Weather
English Weather, You better pack an umbrella
English Weather

1年を通して雨が多いイギリスならではのリリックではあるが、単純明快で心を掴まれた。ライブでは観客全員で歌うことができるナンバーだろう。これさえ聴けばこれからイングランドへ行く人はみんな傘を持つ(笑)

ポップロックの中にどことなくパンクやプログレッシヴな雰囲気が見え隠れするバンドがインディーではかなり増えてきている印象はあり、その中でもFEETは輝きを放っていた。

このコロナ禍でリリースしたEPでは、そのパンク精神やプログレ感はより強くなっている

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その中の1曲から『Busy Waiting』

音楽が持っている感情的な部分がより目の前に寄ってくるような感覚と、ポップス精神のバランスがすごくいい。
こういう感覚は学生の頃、初めてブラーを聞いた時のそれに似ている。明るくハッピーなコード進行の上に絶妙に変なギターリフが乗って、グルービーなベースラインと、シンプルな構成のドラムは、まさにブリットポップの再来を感じさせた。

彼らは共同で生活しており、そこで音楽が生まれている。その部屋は何度か映像で見ることができる。

緻密に構成された曲が揃う1stと、パワーや鋭利さ、勢いを前面に出した2nd。どちらもライブで楽しませてくれることは間違いない。この違いについてはリードボーカルのGeogeがインタビューで答えている。

1stアルバムでは、基本的なことをすっ飛ばして、高価なスタジオに飛び込んでしまったので、自分たちが深みにはまりすぎていたと思います。多くのことを学びましたが、今はバンドの初期の頃を再現しようとしているのだと思います。

強い後ろ盾の元でじっくりと構成を考え作る曲…それはもちろん素晴らしいものではあるが、彼らはもっと、オーディエンスの心に刺さる…いわゆるライブ感のあるものを現在は求めているのかもしれない。


散々ブリットポップの再来と言ったが、本人たちはそれを否定しており、影響されたアーティストはFrank Zappa, Parquet Courts, The Kinksなどを挙げている。

だが、それでいいでは無いだろうか、90年代のブリットポップと全く同じムーブメントが起きても面白くない。若い世代が色んな道を通って作り上げるシーンはいつでもエネルギッシュでパワーに溢れている。
それが結果ブリットポップと評価されたとしても、中身は全く違うし、それはその箱を開けたものしか分からないのだ。

2月にはツアーが控えているFEET、その今後に注目である。

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W.V.M

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