全スプ2022を終えて ―私がスプリントから離れるとき―
私の好きなラジオアナウンサーの吉田尚記さんの発言で、担当の番組において心がけていることの内容がとても印象的で、よく思い出します。
これはスプリント競技においても同様だと思いましたし、もちろんオリエンテーリングについてもそうなのだろうと考えるようになりました。
特に今回の全日本スプリントでは、未熟な私の想像を遥かに超える、多くの発見がありました。
そんな私の全日本スプリントでの発見を紹介していきます。
この記事が、誰かの何かの発見に繋がったら良いなと思います。
発見① まだまだ上位を目指せる
今回のレースでの一番の発見でした。
今回はスタートリスト抽選でグループ3に入り、フォレストでは絶対に敵わないような猛者たちと同じブロックで出走できることに喜びを感じていました。
前の選手からは見えないほど置いて行かれるし、後ろの選手にはあっさり追いつかれ抜かされる展開を想像していました。
結果は真逆でした。
1分後スタートのSg選手は、私が7→8をやっている時に4→5をやっているのが見えて、追いつかれるどころか差を広げていることが分かりました。
1分前スタートのSt選手は、私が8のアタックをしている時に9→10をやっていて、差が縮まっているのが分かりましたし、中盤一瞬だけ追い抜きすらしました。
蓋を開けてみると、昨年度大会の20位から5つ順位を上げて15位。
自分の順位の周りの選手の名前を見て、このメンバーの中に自分がいられることをとても嬉しく思い、自分でもこんな上位で戦えているんだと発見できました。
一方で、ルートが見えずその場で立ち止まってしまったり、ペースを落としたりしてしまった場面が何度もあり、この部分を削ればまだまだ上位を目指せるんだと発見できました。
発見② テレインの魔改造
こちらは「発見」というよりは、「想像を超えた」方になりますが、ここまで多くの人工柵が設置されるとは思っておらず、またここまで難易度の高いコースが組まれるとは思っていませんでした。
想定外だったのは人工柵の量だけでなく、その置き方も想定外でした。
私が特に驚いたのは、ロッカーを壁と捉え、さらに人工柵を繋げることで障害物としての存在感を増していることでした。
想像を大きく超えるプランナーのアイデアに吸い上げられるように、次の大会への意気込みが高まっていきました。
発見③ 見えなかったルート
ME11→12について、私は緑ルートとの比較して黄ルートを選択しましたが、青ルートは全く見えていませんでした。
最短の青ルートを発見したのは、フィニッシュ後に観戦ガイドを見せてもらった後でした。
今思えば絶対青ルートを取りそうなものですが、不思議なくらいこの青ルートは私にとって見つけられるものではなく、実際私を含め多くの選手が気づかなかったと思います。
黄ルートがベストと確信していた自分にとって、青ルートは発見でした。
※※※おまけ※※※
スプリント競技のルート選択について、私が一番好きなオリエンティアアドベントカレンダーの記事の言葉をお借りします。
このように、レース後誰かに指摘されて初めて知るルートがまさに発見であり、スプリント競技を面白くするものであると考えています。
発見④ 自分の強み
レース後、観戦をしていた方々が口を揃えて、参加者の中で私が速かった区間を教えてくれました。
私が得意なのは登り階段と思っていたのですが、皆さんに教えてもらったのは、下り階段でした。
ME7→8で通過した段々になっている小さな階段の下りを、確かに5~6段ほど飛ばし1歩で下っていったのですが、それをやっていたのは私だけだったとのことです。
登り階段を褒められたのは得意エリアなので当然として、下り階段を飛び降りる戦法を褒められるとは。
新しい自分の強みを発見することができました。
これに関しては、みんなに見てもらえる選手権の部だからこそ気づけたことかもしれません。
発見⑤ 観戦
フィニッシュ後、所属しているES関東クラブの皆さんにたくさん声をかけていただきました。
その中で、「自分たちのクラブの子を応援するのは楽しいね」と言っていただけました。
スプリント競技の醍醐味の1つであると考えている観戦を、クラブを軸に楽しんでいただけたのは嬉しかったですし、「発見」の現場に実際に立ち会えたことで、発見が人を幸せにする瞬間を発見できました。
私がスプリントから離れるとき
随分とスケールの大きいタイトルにしてしまいましたが、きっとそんな時は来ないと思います。
何回やっても毎回新しい発見があるからです。
どのような発見があるかは分かりませんが。
それは、予想できてしまう発見は、発見とは呼べない所詮想像の範囲内であるからだと思います。
今回の大会は、そういう意味で多くの選手を引き付ける力を持っている大会だと思いました。
ここには書ききれない多くの発見がまだまだありますし、見つけられていない発見がまだまだあるような気がしています。
想像を遥かに超える素晴らしい舞台を用意してくださった実行委員会のみなさま、本当にありがとうございました!!!
おまけ① 対策地図
基盤地図情報と航空写真をベースに、テレイン内で撮影された写真や動画で答え合わせをしていく形で作っていきました。
プールの水を抜くんじゃないかといった予想もあり、一応調べてみると、
・冬季にプールに水を張ることで、壁面や底面の日焼けを防止し、塗装が剥がれることを防ぐことができる
・消防がプールの水を消火に使うことがある
・張った水が氷ることで体積が膨張→氷が割れる(御神渡り的なアレ)ため、極寒地域では水を張らないこともある
といったことがあると分かり、水は抜かれないだろうなということになりました。一応作図はしたけど。
おまけ② ES関東C作戦会議
予想コースを組んでいる途中でよく分からなくなってしまい、保健室の如くTさんに連絡し、ES関東C作戦会議を行いました。
エリートだけでなく、シニアの皆さんにも立ち寄っていただけたおかげで、プログラム、公式掲示板、対策地図など理解が深まっていきました。この会がなかったらいろいろ厳しかったと思いますし、クラブの皆さんには感謝しかないです。本当に。
だからこそ、Tさんの優勝は嬉しかったです。
本当におめでとうございます!!!
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