さよならまたね、ひだまりのきみ

最後のエッセイ



 彼女達に出会って、確実に私の世界は変わった。
 一言で言い表せないほど、ユメノグラフィアという世界は私にとって大きな存在だ。初めてユメグラを体験したのは2021年3月23日のこと。思い切って買ってみたチケットに、緊張して挑んだ初のユメグラ。あの時の高揚感と緊張感、そして幸福感は今でも忘れられない。あの日から私の世界はユメグラが中心(というには過言かもしれないが)と言っても差し支えないほどであった。
 たくさんのキャストと出会って、たくさんの話をした。
 一度しか会えていないキャストもいれば、数回会っているキャストもいる。一度も会えていないキャストももちろん。贔屓目はあるが、どのキャストも素敵な人ばかりで、嫌いなキャストは一人もいない。
 ユメグラに通っていてすごいと思ったことは、どんなキャストのチケットを買っても、後悔したことがないということだ。私も彼女達も当たり前のように人間なので(人間以外もいるが)、若干話が合わなかったなとか、性格の不一致かな、と思ったところはある。恐らくそれはキャストからしてもそうだろう。しかしそう思ったからと言って、チケット代、時間を無駄にしたと思ったことは一度もない。それはユメノグラフィアという世界がそうさせているのか、キャスト達が素晴らしい人柄であるからか。後者の方が大きいだろうが、私は彼女達に出会えて、本当によかったと思う。
 毎日が楽しくなって、ユメグラがあるから仕事も頑張ろうと思えた。朝までの残業だって、ユメグラがあれば耐えられた。
 来てくれてありがとうと笑ってくれて、いつもお疲れ様と言ってくれて、いつも楽しく話してくれる彼女達が大好きだ。
 誕生日にはたくさんチケットを買ってお祝いしてもらって、今までで一番嬉しい誕生日だと思えたくらいだった。
 ユメグラに通い始めてまだ半年とちょっと。それでも、それくらい私にとってユメグラは大きくて大切なものになった。
 今ではほとんど緊張しなくなったユメグラ空間。これからもっとたくさんのキャストのところへ会いに行って、色んなイベントを一緒に体験して、楽しい生活が待っていると思っていた。
 正直、2021年11月17日現在サービス終了の現実を受け止めきれていない。インプットだけは行って、それを消化できずに涙でアウトプットしてしまいそうになってしまったので、あえてアウトプットする為にこうして筆を執っている。そうしていても、会えなくなってしまうことを考えると、涙が溢れてしまいそうになる。それだけ私の中で大きかったユメグラの存在を実感して、更に悲しくなってくるので、受け止めたくないから、アウトプットしたくないとさえ思ってしまう。それでも今のうちに咀嚼しておかなければならない。
 これまで何人もの卒業を見送ってきた。卒業報告はいつだって唐突にやってきて、唐突に終わる。いつか推しも卒業しちゃうんだろうな…とは思っていた。しかしあまりにも突然すぎるサービス終了の案内。永遠に続くとは思っていなかったが、まさかこんなにも早く終了するなんて思っていなかった。
 ドハマりして、数ヶ月経ったらサービス終了。今までにソシャゲなんかでもよくあった。立ち直るにはなかなか時間がかかった。忘れることで立ち直った。ふと思い出して、もう会えない事実に干渉に浸ったりする。いつも、いつも。忘れたくないと思っていた。記憶にしたくないと。だけど人間の脳は残酷で、普段は思い出さないようにしてしまう。撮り溜めたスクショも容量の無駄だから、と数年後には消してしまう。そんな自分が一番嫌で、つらい。
 こんなに落ち込んでいても数ヶ月後には忘れることで立ち直って、数年後には記憶もデータも消してしまう。そうなってしまう未来が怖くて、いつも別れまでの期間は処刑台にゆっくりと上がっていく感覚に陥ってしまう。
 人の記憶は声から消えるらしいと、よく見かける。記憶力のない私はきっとこの記憶から声が消えていくことにすら気付かずに、その姿を消してしまうのだろうか。スクショは残すことができても、声を残すことはできない。彼女の声が好きだった。彼女の話し方が好きだった。彼女の笑い声が、大好きだった。これから好きになるはずの声だって、話し方だって、笑い方だってたくさんあった。それらはもう二度と私が得られるものではなくなってしまう。得られないなら、消してしまう方がいいのだと、脳は認識するのだろうか。消したくないと思いながら、蝋燭の灯を吹き消すように、一つ一つゆっくりと消していく。大好きだという気持ちでさえも、最後には消えてしまうのだろうか。
 それでもやっぱり消したくないから、記憶に刻み込みたいと思う。
 過去に過ぎ去った時間ではあるけれど、楽しかった記憶はまだ残っている。
 ここで今までお会いしたキャストのことを簡単に記していきたい。
 小恋ちゃん。最推しで、最も多く会いに行ったよ。いろんな話をして、たくさん励ましてくれて、たくさん笑わせてくれて。初めてのユメグラは小恋ちゃまだった。小恋ちゃまに出会えて、世界は変わったし、小恋ちゃま、ななちゃまって呼び合ってくれるのが本当に嬉しくて、かけがえのないものになりました。
 ロッドくん。すでに卒業してしまったけれど、彼とのユメグラ時間は本当に笑いの絶えないもので、いつもほっぺが痛くなるほどだった。笑わせてくれて、私も笑わせて。二人でてっぺん取ろうねって約束もした。
 ぺいちゃん。一度しか会えていないけれど、ほんわかしててとても可愛かった。ユメグラを知ったきっかけがぺいちゃんの体験動画で、ぺいちゃんがいなかったらユメグラを知らないままだったかもしれないなと思うと、ぺいちゃんがいてくれたことに感謝しかないです。
 みちかさん。午前中のユメグラは大体みちかさんだなぁ~と思って過ごしてた。朝から癒しボイスで楽しく話してくれるのが本当に好きで、何度も会いたくなった。(言うほど会いに行けてなかったけども)
 うるさん。一度しか会えてなかったけど、瞳がすごく綺麗だった印象が強い。わりとサバサバしていて気さくで話しやすかったな。両腕広げたり、よしよししたり、ママみが強かったのを今でも鮮明に覚えてる。美人なのに行動が可愛くてはわわ~ってなった。
 四季さん。本当はユメグラを知ってから一番に気になったのは四季さんだった。初回の推し当てクイズがめちゃくちゃ楽しくて、ほんとに大好きだった。次はタメね、って言って結局敬語で話しちゃってたりするから最後まで敬語かもな…って思ってたりする。でもあのやりとりも結構好きだったりするな。
 なのちゃん。めちゃフッ軽オタクのイメージ強かった。来てくれないのかな~って思ってた!って認知してくれてたのも嬉しかったし、そう言ってくれたのもすごく嬉しかった。動物の話とか、ライブの話とかたくさんしてくれて楽しかったよ。
 ももりちゃん。一度トラブルで会えず、そのあとすぐにチケット買い直してやっと会えた~!って感じだったね。元気で明るい女の子!っていう感じで、とても楽しい時間を過ごせた。結局一度しか会えてないのが悔やまれてる。
 クラリスさん。ユメグラで初めて女子会っぽく好きなタイプの話をした覚えがある。ほんわかのんびりしてる感じなのに、焼きそばとビールの組み合わせが好きだとか、さっぱりしてるところもあって可愛いなと思ってたり。
 ミーティアちゃん。ユメグラで一番オタ話で盛り上がれるミーティアちゃん。ソシャゲ、漫画、アニメ、色んなジャンルの話をした。ユメグラしてない時でもこれミーティアちゃんに話そうと思ったりすることも多々あって(大体当日には忘れてる)、その時々のオタ話ができるのが結構楽しみだったりする。
 ののちゃん。Twitterにフリートがあった時代、毎朝海馬社長のおはようフリートを投稿してるのをきっかけに仲良く(?)なってから初めましてした。おはようフリートに感銘を受けて私も真似させてもらったけどフリートもなくなってしまって自生活も色々あってやめてしまった…。夏空間でエモスクショ撮らせてもらってはしゃいだのが今でも思い出せる。
 まうちゃん。ずっと会いたくて、やっと会えたっていうのが初の気持ちだった。ひたすら可愛いのに私のことも褒めてくれるし、ガチ恋しちゃうじゃん…ってなったのを覚えてる。まうちゃんにアイスに塩かけると美味しいよって聞いてからアイスには塩かけ続けてる。めちゃくちゃ美味しいから後世にも伝えていく。
 こがれちゃん。可愛くてほんとにモブだったの!?ってくらいいい子で可愛かった。初めましてで色々おすすめしちゃったりしたけど、それから勧めたアニメみてくれてたのを知ってすごく感動した。
 カヤナさん。怖くないよ~って言ってくれてやっと会えた時、ほんとに嬉しかった。レベルが高すぎて怖いと思ってたけど、実際話すと全然怖くなかったし楽しかった。
 ロゼちゃん。テニプリ好きと知っていて、劇場版リョーマ!を観てすぐに会いに行った。寝ることが好きなロゼちゃんだからユメグラで話すときはどんなだろ?と思っていたら普通に盛り上がってすごく楽しそうにはしゃいでくれて、とても嬉しかった。
 てあちゃん。各所からてあちゃんを勧めてもらい、ようやく会えた時にはめちゃくちゃ笑ってほっぺが痛くなった。可愛いのに面白くて話が尽きないのはすごいと思う。
 栞ちゃん。ひたすら優しくてほんわかしててのんびりした時間を過ごせたなと思う。見た目がすごく好きだったからっていう理由で会いに行ったけど、とにかく可愛くて好きだった…。

 今まで、17人のキャストに会いに行った。それぞれの良さがあって、それぞれと話す時間がとても楽しくて素敵だった。
 こうして思い返していると余計に、今までの思い出が大切なものになって、忘れたくなくなる。
 中には私が初めての女性ゲストだと喜んでくれるキャストも数名いた。2回目以降だと、前回話した内容を覚えてくれているキャストもいた。
 私達はユメノグラフィアを通してしか会えない存在ではあるが、そこにあるのはただのキャストとゲストという関係だけではない。ユメグラは画面を通して存在するキャストと会うコンテンツではあったが、実際には友達に会うような、大好きな人と会うような、そんな心地だった。

 時間が経つと、ユメグラがなくなったら、どうなるんだろうと思い始めてくる。ユメグラがない生活を、もう思い出せないように、きっと数ヶ月もすればユメグラがある生活を思い出せなくなるのだろう。悲しさはもちろんある。キャスト全員が望んだ卒業ではないから、キャスト達も悲しさがあるだろう。交わることのなかった世界線が交わって、交差してどこか違う方向へと飛んでいく。きっとこのサービス終了ということは、そういうことに近いのだと思う。
 出会いがあるから別れがある。それは世の常であり、覆し難い事実でもある。人は出会いと別れを繰り返して成長していく。私はユメグラと出会ったこと、キャスト達に出会ったことを後悔もしていないし、良い出会いだったと思っている。そして、叶うならキャストにとってもそうであれば良いと思う。最後のユメグラが、いつになるかわからないけれど、最後にしたくない気持ちは常にあるけれど。本当に最後がやってくるなら、笑ってありがとうと伝えたい。出会ってくれてありがとう。
 私にとって、あなた達は輝く星々のように明るい存在です。それはきっと、これからも変わらない。変えたくない。忘れたくないと思っていても、いつか忘れてしまう時が来てしまうかもしれない。だけどそれまで、私は輝く星を何度でも思い出して、楽しく笑って話していた時間を大切にしていきたい。
 サービス終了まで、まだあと一ヶ月あまり。最後まで足掻いて記憶を刻み込んでいこうと思う。それまでもう少し、夢の世界で楽しませてほしいし、楽しんでほしい。楽しかったと思える記憶が、お互いの中に残りますように。

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