肉食動物の死骸を漁る野生動物内では、蛹化のためのウジ虫の飛散が成功するのに十分な遅れがある


オリジナル研究
肉食動物の死骸を漁る野生動物内では、蛹化のためのウジ虫の飛散が成功するのに十分な遅れがある

https://zslpublications.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jzo.13103

A. 橋爪明彦・幸田亮・中島康博
初出:2023年7月25日
https://doi.org/10.1111/jzo.13103
編集者 フェムケ・ブロークホイス
副編集長 ローレン・デ・マルトー
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概要

要旨
脊椎動物の死骸はさまざまな生物にとって貴重な資源であるが、その消費率は死骸の種類によって大きく異なる。研究によると、哺乳類の肉食動物は肉食動物の死骸を、特に腐敗の初期段階ではほとんど消費しないため、これらの死骸はクロバエのような屍食性節足動物にとって繁殖資源となる可能性がある。しかし、肉食動物による消費の遅れが、屍食性節足動物が死骸中でライフサイクルを完結させるのに十分かどうかは不明である。本研究では、2016年から2019年の夏季にかけて、北海道南部の八雲町でカメラトラップを用いて69頭のアライグマの死骸をモニタリングし、この疑問に取り組んだ。カメラトラップが捉えた映像を注意深く観察することで死骸の腐敗段階を分類し、ウジ虫の飛散時期を推定した。また、脊椎動物のスカベンジャーの初回訪問と初回消費をモデル化し、ウジが飛散する前に脊椎動物のスカベンジャーが訪問または消費した死骸の割合を毎年求めた。ウジ虫の飛散前に脊椎動物のスカベンジャーが訪れた死骸の割合は、2017年は約50%、他の年は約30%であった。しかし、ウジ虫の飛散前に食された死骸は各年とも20%程度であり、食されたのは部分的であった。最初に死骸を漁った種はアカギツネとタヌキであったが、オオハシブトガラスが最初に漁った2つの死骸は例外であった。これらの結果は、死骸への訪問の遅れが消費の遅れを一部説明する一方で、系統的に近縁な種の積極的な回避がウジ虫の散布を成功させる可能性を高める可能性を示唆している。注意深いビデオ観察と統計的モデリングを用いた我々のアプローチは、様々な生息環境に適用できる可能性があり、カニバリズムのタブーが生態学的にもたらす結果についての理解を深める可能性がある。
利益相反
著者らに申告すべき利益相反はない。
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