腸内細菌叢 胃の病気馬

腸内細菌叢 胃の病気
馬

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馬の胃腺疾患の発症における馬の消化管内微生物叢の役割について
消化管微生物叢の変化が馬の多くの疾患プロセスと関連していることを示す証拠が増えつつある。
公開日：2023年6月6日
フェデリコ・スコルザ

グラスゴー大学医獣生命科学部のSarah J. Voss, David H. McGuinness, William Weir, David G.M. Suttonが共同で行った研究では、調教中の馬の胃腺微生物叢を調べ、特定の細菌プロファイルがEGGD（馬腺胃疾患）と関連しているかどうかを特定しました。
この研究の副次的な目的は、これらの馬の腺粘膜の細菌集団が経時的に安定しているかどうかを評価することでした。
Journal of Equine Veterinary Science誌に掲載された得られた結果は、EGGD病変の細菌による因果関係を示すものではありませんが、サルシンと馬のEGGD病変との間に新たな関連性が確認されました。
これは、この細菌が他の種の胃病変に関与していることを考えると、興味深いことである。ヒトの胃排出遅延率とサルシン量との間に関連性が認められたことから、腺粘膜病変のある馬とない馬の胃排出遅延率を調査することが推奨されます。これらの要因と胃内細菌叢の相互関係をさらに調査することで、EGGDの病因の理解が深まる可能性があります。
技術的な状況
馬の胃潰瘍症候群（EGUS）は一般的に馬で診断され、病変の解剖学的位置に応じて馬扁平上皮胃症（ESGD）または馬腺胃症（EGGD）としてさらに定義されています。ESGDとEGGDは明確に異なる疾患であり、ESGDの病因、危険因子および治療はよく定義されているが、EGGDの病因および胃内細菌叢の役割はよく分かっておらず、治療失敗の割合も高くなっている。
微生物叢の研究にはハイスループットシーケンス技術がますます活用されるようになり、培養に依存しない手法の使用により、我々の知識は著しく拡大しました。これまで、ウマの胃腺微生物叢に関する発表された情報の多くは、死後の研究に由来するものであり、微生物組成は生きたウマのそれとは大きく異なる可能性があります。
EGGDの病因における細菌性病原体の役割は、決定的なものではありませんでした。最近、ESGDとEGGDを区別することなく、EGUSに関連した胃内細菌異常症を示唆する予備的な証拠がいくつかあり、別の研究ではEGGDに関連した病変とグローバルな胃内細菌異常症が確認されています。どちらの研究もサンプル採取に経内視鏡的生検鉗子を使用しており、非常に限られた、おそらく代表的でない表面領域を採取しています。
経内視鏡的細胞診ブラシを用いたサンプル採取は、この問題を軽減し、組織損傷やDNA汚染を最小限に抑えることができると考えられ、ヒトの研究でも優れていることが示されている。
英国での研究
本試験では、スコットランドの1つの血統に所属する2歳から5歳のサラブレッド競走馬5頭を対象としました。馬は、最近の成績が悪く、局所の臨床的徴候がなかったため、調教師のもとで胃カメラによる評価が行われました。
すべての馬は、調教中でないときに初めてサンプリングされ（S1）、さらに6ヶ月後（S2）、調教に復帰した後に5頭すべてでこの手順を繰り返した（S3）。
サンプルは鼻食道チューブから胃に到達した後、ブラシで採取し、馬の福祉への影響を最小限に抑えるため、介入時間を制限した。
合計34のサンプルは、採取後、DNA配列決定に回されました。合計19の細菌門が同定され、特定の門に割り当てられなかったリードはわずかな割合（0.3%）にとどまりました。群集の多様性に関する3つの異なる指標から、正常粘膜サンプルと病変粘膜サンプルの間で多様性にほとんど差がなく、2つのグループ間でかなりの重複があることが示されました。
腸内細菌異常症とEGGD
本研究は、ウマの胃内細菌叢に関する現在の知見に加え、EGGDに関連する細菌性ディスバイオシスの証拠を提供します。
さらに、本研究では、ヒトの研究で有用性が証明されている16S SSU rRNAシーケンスのためにウマの消化管から粘膜サンプルを収集するための経内視鏡細胞診ブラシの使用について検討しました。細胞診ブラシは、経内視鏡生検鉗子よりも広い範囲の粘膜を採取するのに有効で、侵襲性が低い。
さらに、クロスコンタミネーションを最小限に抑え、サンプリング精度を高めるために、コーティングされた器具が好まれる。粘膜と管腔の微生物相は比較できないため、粘膜疾患の研究においては、標的サンプリング技術の重要性が増している。
また、腺粘膜病変から採取したサンプルでは、サルシン（ファーミキューテス門に属するグラム陽性菌）の相対量が高いことが指摘された。
Sarcinは正常な粘膜試料でも確認されたが、全体の0.2%に過ぎず、特定の条件下で過剰増殖する正常な胃内細菌叢の一部である可能性が示唆された。サルシンは、胃排出遅延のあるヒトにおいて重要性が増していることが分かっており、腺潰瘍や紅斑、気腫性胃炎、肥満手術後の穿孔性胃潰瘍、胃破裂や腹膜炎と関連し、胃炎/十二指腸炎の2例でヘリコバクター・ピロリと併存することが発見されています。
サルシンは、胃疾患のあるヒトの病理組織標本に認められる頻度が増加しており、原因としては考えにくいが、機能的または構造的に胃排出を遅延させるマーカーとなる可能性があると考えられる。
結論
EGGDにおけるサルシンの関与に関する良好な予備的証拠が得られた。EGGDの病因におけるこの細菌および他の細菌の潜在的役割をさらに理解するために、より大規模な研究が必要である。
各馬からより多くのサンプルを収集することは有益であるが、胃カメラのような長時間の診断手順が福祉に与える影響により、これは制限される。
本研究のデータは、馬によって胃内細菌叢の構成が異なることを示唆している。胃の微生物相は病気の胃で大きく影響を受けると考えられるため、今後の研究ではEGUSのない馬も含めるようにする必要がある。
また、微生物相の縦断的研究の必要性も指摘されており、微生物集団の経時的な動態を理解することは、より一般的に行われている横断的研究のデータの解釈を助けることになる。特に、馬の胃腸内細菌叢を研究する際には、季節ごとに食餌が変化し、胃腸内細菌叢に影響を及ぼすことが合理的に予想されるため、このことが重要である。
参考文献
参考文献：Voss, S. J., McGuinness, D. H., Weir, W., & Sutton, D. G. (2022). 鞘型経内視鏡細胞診ブラシで採取した健康な馬と病気の馬の腺胃微生物叢を比較する研究。Journal of Equine Veterinary Science, 116, 104002. https://doi.org/10.1016/j.jevs.2022.104002.
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