2024/08/20~24に実施された,京都大学数学教室&数理解析研究所(RIMS)の院試を受験しました.以下のことを目的としてこれを書きます.
事務的な事項(いつ説明会があって…出願締め切りはいつで…出願の注意事項は… とか)は,以下の理由で省略しています.
書くのが面倒 そこまで書くと文量が多くなりすぎる
どうせ受験するときになったらこんなホラ吹きの可能性がある記事じゃなくて募集要項読むでしょ.というか読んで.
こういう記事を読む人(受験生)が求めているのは事務事項の説明ではなくて,対策とか試験本番のことだろう.
(試験内容もそうだけど,)事務事項は毎年変わりうるし,なんか分かんなかったら事務の人に聞いてください.
まず,こんな承認欲求マシマシ記事よりも需要が高いであろう,「対策ゼミで出た専門(解析)の回答集」を貼っておきます.2000年から今年実施された院試の,主に函数解析と測度論の解答を書いています.
院試なんてやめましょう
はじめに愚痴を大事なことを言います.院試はカスです.個人的な院試カスポイント(ド主観)を書きます.
自己紹介
院試対策
院試についてお話したことのある先生全員から「京都の院試は内部でも関係なくバッサリ落とされるから,ちゃんと対策した方がいい」といったことを言われたので,なにかしら対策はした方がいいんだと思います.(とくにQE免除とか数理研を狙うのなら.)
僕(僕ら)がどんなことをしたのか書きます.
基礎科目
所属している,数学をしようぜ~みたいなサークルの友人が発起人となって,基礎問題を解くゼミが始まりました.人によっては最初から過去問を解くのではなく,過去の講義の課題や適当な教科書の演習問題を解くこともあるようですが,(特に理由はなく,)いきなり過去問にしました.
解く年度は毎回ルーレットでランダムに決める.
問題の発表者もランダムに決める.
頻度は週1
という形式でやっていたので,楽しかったです.あまり古いと出題範囲が違うので,2000年以降のもののみをやり,やってない問題が少なくなってきたらQE(院試基礎の親戚みたいなやつ.京大生なら問題が手に入る.なんと!解答も公開されている!ありがたい.)を解いていました.7月あたりに自然消滅?しました.基礎問題って面倒でストレスですからね,仕方ないです.
さて,(最近の)京大の基礎問題はだいたい次のようになっています.
簡単な微積線形,多様体,留数定理は定番なので,少なくともどういう操作をすればいいかは早いうちに把握して,得点源にした方が良さそうです.
あとの2題はお祈りです.気合で解きましょう.
微分方程式については具体的に解が求められる方程式しか出ていないはず(微分方程式解けますか?+微積の議論はできますか? の2点を聞くような問題?)なので,基本的な解法は抑えた方が良さそうです.
群論はシローの定理とか,構造定理を要求されることはあまりないですが,こういう問題,考え方が定番,刺さりやすい!というのも特になさそうで,代数を勉強していない自分にとっては対策しにくかったです.
難しい線形代数はジョルダン標準形,固有値と固有多項式,最小多項式(と対角化可能性)あたりのことを考えるとよさそうだなぁという印象です.微積は知りません.C^1級ってあったら平均値の定理をグッと睨むといいかもしれないくらい?あと「コンパクト上の連続は一様連続」とかもよくつかう?しりません.
計算ミスに目をつむれば5完前後は安定していたので,計算に時間を割けばなんとかなるだろ~とは思いつつも,難しい線形代数とか代数はその場でコネコネしてたらなんかできちゃった(笑)みたいなのばっかだったので,結構不安でした.
あと,過去問演習をするときは時間を計り,(ipadなどではなく)紙に書いてやったほうがいいような気がします.あと,可能なら,途中で切り上げることなく時間をフルに使って解きましょう.理由は以下.
専門科目
4月の頭から基礎と同じ形式でゼミを始めました.こちらもいきなり過去問演習で,新しい方から…とか古い方から…というのは基本的に気にしませんでした.
京大の専門科目(解析学)は次のようになっています.
なんと!!!!!!!!確率論の問題がありません!!!!!!つらいよ~確率論専攻はどうしたらいいんだよ~…こら!!!!「積分論あるからいいじゃん」じゃないの!!!!!!!!!!
積分論は傾向も何もないので,日頃鍛えた†解析力†(かいせきぢから)が試されるのかも~という感じ.函数解析はコンパクト作用素の基本的な事項を勉強して,ちゃんと慣れれば(標準的な難易度なら)解けるようになると思います.pdeはフーリエするだけの問題じゃなかったら触らないようにしていました.うまく部分積分やら何やらすればいいらしいですが,うまくできないときが怖いし…
毎年函数解析か積分論のどちらかは取り組みやすい問題だったので,そっちをちゃちゃっと済ませて,残り時間でもう片方をぶん殴る戦法をとっていたらだいたい運よく2完できていて,基礎よりは絶対大丈夫だな,と思っていました.
解析の問題について,ゼミで出た2000~2025の答案を僕がtexで清書したものがあるのでどっかで外に出したいですね.多分僕のnoteで出すと思いますが,もし欲しいのに見当たらない場合はなんか頑張って僕に連絡してください.
起床
本番の開始時刻が9:00とかいう常識では考えられない時間だったので,本番の一週間前から仲間内の何人かで起床チャレンジ(頑張って起きて9:00までに大学に行く.起きられなかったら晒し首.)をしていました.効果あったのかな.
当日のこと
寝坊回避のためにバカデカアラームをかけましたが,アホ豪雨の音で夜中の3時すぎとかに起こされました.無事寝坊回避です.
感覚を忘れないためにこれは筆記試験の日に書いています.やや問題のネタバレがある(かもしれない)ので,そのことを先に注意しておきます.
基礎科目
まずは各問題の所感を書きます.
こんな感じなので,多分4完2半で,よくて230/300?
全体的に``典型題''が少なく,やりにくかったです.全部目を通した上で,1時間経っても3つしか解けていなかったときは本当に最悪の想像をしてしまいました.幸いだったのは,(噓を含んでいたが,)一応正しいと思い込んだ記述を全問に書いたので,わんちゃん満点いけたかも~と思ったまま専門に挑めたことくらい.答え合わせをする過程で満点でないことがわかったわけですが,なんだかんだ満点は無理だろうと思っていたし,こんなもんだろう,という具合.
専門科目
所感を書きます.
なんですかこれ.本番デバフはあるんでしょうけど,どの過去問よりも難しく,「本番でこんなんやらせんなよ,これ試験として機能したんですか?」というのが正直な感想です.先生たちこれ出ると知ってて「頑張ってね」とか言ってたのマジ?どんな気持ちだったんですか.優秀な院試ゼミの全員が破滅していたので,少なくとも試験場で解くにはかなり難しい問題だったんだと思います.
6は,初手は恐らく正しく選べたのですが,そのあとの記述でまごついてしまい,それでも何とか完成はさせたものの,微妙なミスがあって…といった具合.大筋はあってるし高得点くれ~.というかこの問題,小問なしの一発勝負だからやることが分からないと本当に一切の得点が入らなさそうで,かなり厳しそう.
7は,(1)はすぐなんですが,(2)の作用素が謎すぎて(見た目が汚くて)うまく評価できず…そもそもコンパクト性を示すのに何をすればいいのかもいまいちつかめず,アスコリアルツェラは厳しそうだし,完全連続性で示そうとしたけど評価できんし…でかなり難しかったです.正直何も有効打は打てていないと思う.(2)を解けた人,いるんだろうか…いるんだろうな…
これは異様に難しい年を引いてしまった…と思い,フーリエが出てることに賭けてページをめくってpdeの問題を見たんですが,地獄絵図が広がっていて,おしまいです.
0.8完+0.5完で,130/200あれば御の字(多分7-1の配点はほぼ無いので実際は100あるかないか?)という感じ.この難易度を考慮したらだいぶ善戦した方だと信じたい.
英語
これやる意味あるんですか?試験時間15分て
筆記が終わってから
院試ゼミのメンバーと学生控え室に集まって答え合わせ&解き直しをしました.専門も含めてここですべての答案が出そろいましたし,口頭試問で解けなかった問題の解き直しをさせられるという噂があるので,これはやって良かったです.
口頭試問
筆記試験の翌日に口頭試問対象者が発表されます.
発表当日の朝起きたとき,前日の筆記を振り返って,ちゃんと解き切れなかったことが情けなく,応援してくれた人に合わせる顔がなくて泣いてしまったので,口頭試問では泣き落としをすることにしました.
(一次合格者発表までの待機時間)
とりあえず数学教室も数理研も口頭試問への挑戦権はもらえていたので安心しました.本当に安心しました.基礎があんまよくないので,専門ひとつ取ったのがデカかったのかな.
数学教室には落ちたが数理研には進んだ人がいるのを見る限り,
とかなのかなぁ,と妄想しました.(あくまで個人の妄想ですからね.)
発表の15分後に面接の人とかいて大変そうだぁ~って思いながら口頭試問の時間割を見ていたら,「待機部屋&集合時間が僕と同じ人」が僕以外に存在しないことに気がつきました.なんですかこれ,拷問確定演出???しかも,数学教室の面接に進み,3号館を待機部屋に指定された数理研志望者のうち,僕だけ違う部屋(151号室.他は109号室.全体で見ても151号室は少ない.ちなみに数理研志望者で6号館を指定された人は1人だけ.)なのがもっと怖い…これはどういう意味なんだ…この文を書いてるのは面接前日なので,明日になったらどんなんだったか書き足します.
数学教室の口頭試問
受けてきました.1時間弱かかったので,いわゆる「詰められ」をされた側になるんだと思います.試問の流れと受け答えを大雑把に書きます.口頭試問当日にこれを書いていますが,既に記憶がやや曖昧なので(主に会話した順序と発言した教員について)事実と違うところはあると思います.
う~ん,長いですね.個人的な感想としては
といったところです.解析系の教員がほぼ全員?いたので迫力がありましたが,結局メインでお話ししたのは最前列に座っていたA先生だけでしたし,立ちながら数学の話をする(eg.ゼミ発表)は楽しめるタチなので,思ったよりは緊張せずに済みました.
他の友人は「QEに通らなかった場合どうしますか」みたいな質問をされたのに僕は何もなく,なのに結構質問されて,なんですかこれはって感じ.QEとか考える権利もないくらい筆記の出来が悪かったのかもしれない.う~ん,まぁ明日の数理研に備えます.
数理研の口頭試問
受けてきました.こちらも1時間くらいでした.数学教室と同様にやり取りを書きます.
F先生の後半の質問はやや高度で,E先生から2,3度(?)「まぁ専門的なことですから…」とフォローして頂きました.
以下,感想です.
数学教室と数理研の口頭試問を比較すると,
といった感じ?
結果発表までのこと
口頭試問で答えられなかったの悔しいし,結果発表まで確率解析の勉強するぞ~と思ってたら,試験が終わった翌日からあり得ないくらい体調を崩してしまい,なんもできませんでした.→コロナでした.マジかよ.
受験者データ
合否発表まで暇なので(これを書いているのは発表の90分前です.),最後に受験人数とかその辺のことを書こうと思います.欠席者がいたかもしれませんが,そこまで覚えてないので,そこは考慮していない記述になります.
また,「hoge番台」(hoge=00,500,1000,1500)は受験番号を表し,たとえば受験番号が3の人,501の人はそれぞれ00番台,500番台です.
結果
数理研に合格しました.安心.よかった.嬉しい.すごい笑顔.