とあるおばあさんと 猫の話
動物病院でお会いしたおばあさんのお話です。
おばあさんの猫ちゃんは末期癌で病院に来ていました。
おばあさんは以前に犬を飼っていたそうですが、愛犬が亡くなった後、ご自身の年齢的な事と、もう別れを経験したくないと思い新しい子をお迎えするつもりはなかったそうですが、
それでもある日の公園で大怪我を負い、左目を失っても生きようと鳴き続ける猫ちゃんを見つけてしまい、
もう動物は飼わないと決めていたそうですが、せめて治療くらいはと病院に連れてきた縁が今も続いているそうです。
猫ちゃんと暮らしはじめて数年経った時、おばあさんの首に腫瘍が見つかりました。
年齢から癌やその先を覚悟されたそうですが、残していく猫ちゃんの事が気がかりでおばあさんは泣いて数日を過ごしたそうです。
検査の結果、おばあさんの腫瘍は良性。
胸を撫で下ろした時、猫ちゃんの首にしこりがある事に気づきました。
急いで病院で検査を受けましたが猫ちゃんのしこりは悪性リンパ腫、癌でした。
猫ちゃんに出来たしこりの位置は首の右側。
おばあさんの首の腫瘍と同じ位置だったそうです。
私はとっさに猫ちゃんが持っていってくれたんだ…と思いました。おばあさんも多くの人に同じ事を言われたそうです。
ただ、おばあさんは「そんな事、誰も頼んでないのに…馬鹿ね」と。
願わくば、優しいおばあさんと優しい猫ちゃんの毎日が穏やかなものでありますように。
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