見出し画像

第十一曲集「血緑」解説

「血緑」基本情報

2021年10月31日にリリースされた、ヴィジュアル系シンガーソングライター「中村椋」の6曲入りCD。

通販はこちら

曲目

1.血液はなぜ緑色なのか?
2.頭脳室
3.AZILE
4.P-ZOMBIE
5.末期の眼
6.テセウスの人

「血緑」その成り立ちについて

製作開始宣言されたのは2021年6月5日。

当時から6曲入りという枠組みは決めていた。
何故6曲なのか?というと、
Dir en greyがSix Uglyという6曲入りミニアルバムでこれまでとは一線を画するハードでヘヴィな音楽を前面に打ち出してきたことへのオマージュである。
なので「血緑」は全体的にハードでヘヴィ。

8月に仮タイトルを改訂。

音楽的コンセプト

「テクノの文脈でメタルの作法を」

もっと明け透けに表現するのであれば
「平沢進の曲作りをVULGAR時代のDir en greyが真似したら」

物語的コンセプト

「心の哲学」「思考実験」「遺伝」「引きこもり」「常識」

1曲目「血液はなぜ緑色なのか?」

仮タイトル「Garden」→「intro」
いきなり頓珍漢な疑問文の曲名で視聴者の常識を揺るがす。
哲学的思考への導入である「何故?」を突き詰める。

曖昧な導入から叫び声でヘヴィなギターリフを呼び込む。


8/10に公開したデモ


自殺を試みようとした男が、自分の意志とは関係なく車に撥ねられてしまう。

2曲目「頭脳室」

仮タイトル「laser」
モチーフは「メアリーの部屋」

この曲集で一番わかりやすく平沢進をやってるかもしれない。
随所に現れる20人編成のバカコーラス。ただただ繰り返すサビ。

「全てを知るメアリーの部屋=頭脳室」と
「知によって救済を得る=グノーシス」の暗合を見つけた時は震えた。

男は部屋に閉じこもっていた。
外に出なくてもこの部屋の中で世界の全てを知ることが出来た。
しかし男はあえて部屋からの脱出を試みた。さらなる救済をドアの外に求めて。

3曲目「AZILE」

仮タイトル「AZILE」
モチーフは「ELIZA効果」

Bメロの変拍子っぽいところは四拍子で辻褄が合うようにしている。
毎度おなじみの同人音楽情報局で初公開させていただいた、が、CD版とは微妙にアレンジが異なっている。


外の世界は惨憺たるものであった。
それでも男は外に馴染もうと努力した。
何かを知り、救われるために。

4曲目「P-ZOMBIE」

仮タイトル「P-ZOMBIE」
モチーフは「哲学的ゾンビ」

哲学的ゾンビをP-ZOMBIEと表現すると知り、P-MODELとの暗合に感動。
某びじつかんの曲展開をそのまま流用。
自宅で出せる最大限のデスボイスを駆使した。
苦情が来るのでこういう曲はめったに作れない。

歌詞中のキャラメルは「下校時間の哲学的ゾンビ」より。

驚くべきことに外の世界の人間に「知」は無かった。
憐憫にも侮蔑にも意識というものが備わっていなかった。
男は現実に耐えきれずに殺人を犯す。
そして引き抜いた刃物に付着した血の色を見た。

5曲目「末期の眼」

仮タイトル「matsugo」
モチーフは「スワンプマン」

原曲は2時間DTMで作った「地下室の名はLIMBO」
イントロの刻んだ声は新録しようとしたがハマらずに原曲のものを流用。
「まっきのめ」ではなく「まつごのめ」が正しい。

正しいのは外の世界なのか?血液の色の正解とは?
間違っているのは自分ひとりだけなのか?
そう自問自答する男に、ある記憶が蘇る。
暖かな季節、撥ね上げられる自分の体。
男は自分の「死」を自覚した。
では今生きているこの「自分」は何なのか?
自分にもあの色の血液が流れているのか?
あの日に出来なかった自殺を決行する男。
飛び降りた先には血の色が広がった。

6曲目「テセウスの人」

仮タイトル「Inherited color」⇢「iro」
モチーフは「テセウスの船」

この曲集唯一の穏やかな曲。
直前までアレンジを練り直していた。

男の葬儀に参列する人たち。涙を流す人たち。
しかしそれは世界に対していかなる影響も与えない。
結局男は正しかったのだろうか。
正しい血液の色はどちらだったのだろうか。
何も変えることができず、人は死に、焼かれていく。


総括

命の正しさや常識に対する「何故?」
しかし何にもならない無力さ。
救われない物語ではあるが、救われることとは何だろうか?
何故救われたいのだろうか?

零れ話

・ヘヴィなギターだが6弦を使用。DROPというエフェクターで7音下げて弾いている

・ギターは柿渋ギター+Line6 HX stompのみを使用

画像1

・ジャケットでは首に緑色の有機ELワイヤーを巻き付けて発光させている

・ライブで披露したいがギターを弾きながら歌える気がしない。ギタリスト募集中

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?