休学で狂ったあと 投稿者休学生拓也

いつからだろう、拓也がまともに生活できなくなったのは。受験勉強のときは本番の傾向をガタイで分析しながら、センパイがいる大学目指して一日八時間の勉強をした。そして、合格することができた。最初はすっげー嬉しかったぜ。センパイからもマネージャーからも褒められたからな。
「拓也お前はやればできる子だ。よく頑張ったな」「うっす、ありがとうございまっす」
「タクヤ、本当に頑張りましたね。私も来年頑張りますから、待ってて下さいね」「マネージャー!」
ってな訳で、大学に合格できたんだからタクヤの人生はもう薔薇色なんだよね。もう後は遊ぶだけだぜ!!

そう思っていたけど、大学はこれまで通っていたどの学び舎とも違っていた。クラスなんてないし、授業は自分で取らないといけない、友達も自分から動かないと絶対生まれない。いきなり自主性と自己管理を求められても、奴隷として調教されてきた拓也には無理なんだよね。でも、頑張って自主性とか持てたら俺にも自我が芽生えて、ご主人様へ反抗する未来とかあったりするのかなぁ。自慢のサーフ系ボディビルダーの肉体がご主人様の欲望を満たす果実から、自らの欲望のままに相手を食べる食虫植物に変わるなんて、まじもんの変態じゃん。

そんなことばかり考えていたら三年が経っていた。もうセンパイはいない。マネージャーからは縁を切られた。どうしてこうなったのか分からないけど、拓也は人に管理されて、言われたことをやり続けることしかできないんだよね。大学に入ったのもセンパイと同じ空間にいたいっていう思いからだし、拓也は大学で学びたいものなんて何もないんだよね。最初はみんな共感してくれていたけど、学年が上がるにつれて違う反応になっていく。
大学って将来の夢が高校まで見つからなかった人とか、大卒の肩書が欲しい人だけが来るところって思っていたけど、実際は違う。半分くらいは真剣に将来を考えた上で入学しているし、なんだかんだみんな勉強したい分野があるんだよね。いいな、拓也には何もないんだよね。

「空っぽだな」センパイが拓也の拓也を拓也したとき、今までチョーSだよなって思っていたけど、大学に入ってからは違う言葉に聞こえてくる。「お前って、俺とマネージャーとウリを抜いたら何が残るんだ?」
俺って一体何を思って、何を目指して、何を頼って、ナニを何して生きているのかな。
もう分からないぜ。


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