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ありがとうの気持ち

私が暮らす地域でもリンゴは有名なのに、違う地域に暮らす両親からリンゴが届いた。
この地域に居て地方のリンゴを食べるなんて珍しい事だと思うけど
有名な地域だからこそ、頂く事も多くて、なかなか自分で買ったりしない。
今年はまだどこからも頂かないので、ありがたいです。

病気になって、大きな手術もして、念の為の抗がん剤治療をしている母
今年は本当に大変な年だったと思う。
今まで全くと言っていいほど病気になんてなった事もなく
お産以外入院もしたことが無いと言っていた母なのに
そんな母でもガンになるんだと、家族の誰もがガンという病気を
今まで以上に他人事じゃないと思うようになったと思う。私は思った。

もしかしたらと心のどこかでいつかなるかも?と思っていても
自分か、家族、友達くらい身近な存在にそんな事態が起こらない限り
元気で何もない時に、病気について深く知ろうと、調べたりする事
なかなかしないんじゃないかと思う。私はそうだった。

母が病気になったおかげに、病気についても色々調べたし
母の体から無くなった肛門についても、そんな機能がある場所だったなんて
と今まで知らなかった事を知った事がいっぱいある。
知らなければスルーして、なんとなく過ぎて行く事を知った途端
それが普通に使える健康な体の大切さが、今まで以上に身に沁みた。

昔に比べて知りたいと思う事が、すぐに調べられる環境で
ガンという病気も、昔よりも誰にでも起こりうる病気なんじゃと感じる。
子供の頃の私が思うガンは、本当に特別な人しかならなくて
なったら絶対に死んでしまう病気と思っていたけど
今やガンになっても、元気に復活している人の話も多く聞くので
不治の病でなく、治る可能性がある病になっているように思う。

昔だったら本人にすらガンである事を公表しないなんて
ドラマや映画でそんなシーンを見た事があった私は
もしも自分がそうなっても『違うよ』と嘘をつき通して欲しいとさえ思っていたけど
今やちゃんと本人へ伝えるのは当たり前みたいだし
現状や治療についても、詳しい説明をしてもらえる時代になっている。

だから母が今どんな治療をしているのか、どんな薬をどのくらい飲んでいるのか
全て本人がきちんと説明を受けているから、娘の私の耳にも入ってくる。
母はそれ以上の情報は、自ら調べたりはせず、知り過ぎないようにはしているようだけど
何かもう少し楽になるイイ事が無いかと、母から聞いた情報から
私自身は色々検索してみたり、闘病記を読ませてもらったりしている。

色んな進歩はある時代であれ、やっぱり闘病中の本人のツラさを全部わかる事は出来ない。
そしてもう充分頑張っているんだろうから、頑張れ!とは言えない。
魔法が使えるわけでもないから、治療での痛さやツラさを和らげてあげる事も出来ない。
こんな時どうしてあげるのが一番イイのかを考える日々だけど
無力な私は、ただただ見守る事しか出来ない。
しかも近くに暮らしていないし、コロナの影響もあって
すぐに駆け付けてお手伝いが出来るわけでもない。

そんな中、母と共に暮らす父は、出来ないなりに色々頑張っているようだ。
今までリンゴの皮なんて剥いた事が無かったであろう父が
抗がん剤治療後、数日経つとものすごく調子が悪くなるという母が
ベッドで休んでいると、リンゴをたくさん剥いて持って来てくれるんだそうだ。
しかも歯の悪い母が食べやすいように、薄くスライスしてくれるらしい。
ちゃんと愛されてるねと、良かったねと娘は嬉しく思うよ。

母からこの話を聞いた時、父がそんな事が出来るようになったなんて!
とびっくりしつつ、主人に『ねぇ、リンゴ剥ける?』と聞いてみた。
即答で『ムリ』と言っていたけど、父だってそんなタイプだったと思う。
やれば出来るとはこの事なんだね。
やれないなりに、なんとかやってあげようって気持ちが大事だと思う。
改めて父の優しさに、母はちゃんと感謝しているんだろうか?

何でも自分で完璧にやらなきゃ気が済まない母だけど
今やそれが本当にムリな状態で、危なっかしいながらも尽くしてくれる父に
そうじゃない!と言いたい事もいっぱいあるとは思うけど
ちゃんとありがとうの気持ちを届けてあげて欲しいと思う。

こんな事も病気にならなかったら、死ぬまで経験せずだったかもしれないと思うと
病気にはならない方がそりゃイイけど、こんなありがたい出来事を味わえて
ツライ中で少しは幸せを感じられる時間になったんじゃないかと思う。

私は今元気だし、大体なんでも自分出来る。
そんな毎日だけど、毎日主人に対してありがとうと思う事がいっぱいある。
まだまだ感謝しきれない、小さなありがとうに気付けてない事ももあるのかもしれないけど
病気にならずとも、この毎日のありがとうを大事にしていきたい。

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