見出し画像

山の上ホテルに泊まった話

山の上ホテルに泊まった。泊まってしまった。ちょっとお手頃価格だったから仕方ない。しかも、都民なら朝ご飯無料にしてくれるという。行くしかない。

山の上ホテルには因縁がある。天ぷらだ。大人になったからにはいい天ぷらが食べたい、と検索してヒットしたのが山の上ホテル内の「天ぷら山の上」。当然予約した。予約して、予約日の一週間前、胸が苦しくなった。食後、胸が焼けるように痛い。心臓が悪いのでは??さては大病では???と病院に駆け込んだら胃に穴が空いて逆流性食道炎だと言われた。

当然天ぷらなんか食べられる状態ではない。

キャンセルした。泣いた。医者に「そこに心臓はありませんよ」と言われたのも恥ずかしかった。泣いた。

天ぷらはどうしても食べたくて、後日日本橋三越の地下の小さい系列のお店で天丼を食べた。またキャンセルするかもしれないと思うと恐ろしく、予約する勇気が出なかった。揚げたての天ぷらはカリッと美味しく、メタメタに傷ついた私の胃もちっとも痛まなかった。

え、これなら胃なんか穴が空いてても行ってもたべられたのでは???

と言う美味しさだったし、かき揚げ丼なんか、かき揚げのくせに小柱と海老がこれでもかと入っていて、私の知っているべしょべしょでうどんのおつゆに沈めて食べるにんじんと玉ねぎ9割のかき揚げとは全然違った。

そして時は流れてあれから3年、感染者数は減ったし緊急事態宣言も解けた、でもあんまり移動するのは怖いと言うタイミングで都内に出る予定が連続していたのでついに泊まることになったのです。

ちょっと坂になったところに建っているけれど、山じゃないな、丘くらい。…と思ったら英語ではhilltop hotelとなっておりました。丘くらい、とはいえまだ暑い時期だったのですっかり登山レベルの汗だく。チェックインの時には麦茶を出してくださり、一息つきました。受け取った鍵のクラシックなこと!

画像1

一気にテンションが上がります。

お部屋はグリーンの絨毯に漆喰の壁。温かみのあるお部屋で、ホテルというよりはもてなし上手の親戚のおうちに来たかのよう。ベッドサイドにはクラシック音楽が流れる有線?が内蔵されていて、これは…!とテレビを消して音楽と静かなひとときを楽しみました。タイトルの画像はアメニティを撮影したもの。明日輝きます、と宣言されてなんだか嬉しくなりました。どのアメニティにも山の上ホテルの看板と同じ手書き風の文字でラベリングされていて、テンションが上がります。用意されていた使い捨てスリッパもふかふかです。

夕食の前の腹ごなしに近くの湯島聖堂へ。

画像2

いい天気ですよね。人もいなくて、草むらには虫取りをする少年とそろそろ帰ろう、と促すお母さんがいて。実家が飛行機の距離の私は急に実家に帰りたくなりました。

そして。

画像3

天丼!やっぱり外食は怖くてルームサービスしました。サクサク。あつあつ。美味しすぎて涙出ました。相変わらず胃は弱い私ですが、全然もたれない。かき揚げにはいつか三越の地下で食べたのと同じように、小柱と海老が満載で、江戸の天ぷらというのは田舎の天ぷらとは違うぞ…と無言で食べ続けました。お味噌汁には立派なしじみが入っていて、ルームサービスで他に人がいないのをいいことにみんな身までほじくって食べました。おしんこも美味しくて、買って帰りたいくらい。天丼はテイクアウトもあるようですが、天丼はルームサービスが限界じゃないかな…サクサクが失われるじゃない…でもまた機会があったら試してみたい…写真は変な画角ですが、あまりに興奮して変な画角のものか震えてブレたものしかありませんでした。iPhone8から13へ替え時なんでしょうか…

食後には備え付けられていたハーブティーを。ロンドンフルーツ&ハーブティーというメーカーのもので、すごく美味しかったので帰ってからAmazonで発注しました。ノンカフェインなのも不眠症の自分にはありがたく。枕が変わると眠りづらいのよね…と考えている間にすっかり眠ってしまいました。


そして朝ご飯。これが無料なんてとんでもない。和食と洋食から選べました。

画像4

朝からご飯なんてしっかり食べられないかも、天丼美味しかったし。と思っていたのに全部完食し、ちょっとご飯が足りず恥ずかしかったです。

こうして私の山の上ホテルリベンジは幕を閉じたのでした。こうやってやり残したことをなくしていくと人生の重荷を下ろしていくようにも、新たなやり残し(天丼持ち帰りとか)を作っていくようにも思えます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?